「お墓をどうする?」~「樹林墓地」10倍の申し込み
お盆である。昨日は親父の18回目の命日だった・・・。
先日、日経新聞の「春秋」に、お墓についてのこんな記事があった。
「3代前から東京で暮らしている。祖父母が生まれた広島に、今はつき合う親戚もいないけれど、先祖代々の墓は広島の寺にある。東京で亡くなった祖父母も、広島に長く住んだわけではない父も、そこに眠っている。墓参りに行かねばとも思うが、足が遠のいて久しい。
墓とは誰のためにあるのだろう。3.11から半年たった頃、津波の被災地を走った折の光景が忘れられない。建物の跡形もない土地が延々と続く中で、太陽を反射してキラリと光る一画が所どころに現れる。真新しい御影石の墓石が整然と並んでいた。地元の人々が何よりも先に再建したのは、失われた命の居場所だった。
親鸞は、墓の下に死者の霊が集まることなどないと教えた。自らの死期が近づいたときに、こう語ったと伝えられる。「某(それがし)閉眼せば賀茂河にいれて魚に与うべし」(改邪鈔(がいじゃしょう))。それでも人は亡き親や友に手を合わせる所がほしい。墓とは去った者のためでなく、残された者が己の心に向き合うための装置であるに違いない。
ならば墓は近い方がよい。豪華な本堂の改修やら行事やら、高額の寄進を催促する手紙を送ってくるばかりの寺との関係には、いささか疲れてしまった。そう嘆く声が少なくない。不義理を気に病むより、思い立ったら行ける近場で簡素に樹木葬を、という人も多い。親鸞が現代の宗教の姿を見たら、なんと言うだろうか。」(2014/8/14付「日経新聞」「春秋」より)
話は飛ぶが、今朝のNHKニュースで、こんな放送をしていた。
「 「樹林墓地」10倍の申し込み
樹木の下に遺骨を共同で埋葬する「樹林墓地」について、東京都がことしで3回目の募集を行った結果、1600人分の募集に対して10倍を超える申し込みがあり、特に、生前に本人などが申し込むケースが目立っています。
「樹林墓地」は樹木の下に遺骨を共同で埋葬するもので、自然葬への関心の高まりや、管理費がかからないことなどから、人気を集めています。
東京都は、この樹林墓地を多摩地区の都立小平霊園に整備していて、先月ことしで3回目の募集を行いました。
その結果、1600人分の募集に対して、10倍を超える1万6929人分の申し込みがあり、高い人気が続いています。
申し込みの内容を見ますと、▽家族の遺骨を遺族が埋葬するケースは3倍前後の倍率にとどまっている一方、▽生前に本人などが申し込むケースは、最大でおよそ20倍となっていて、生前での申し込みに人気が集まっています。
東京都は「家族などに迷惑をかけないよう生きているうちに自分で墓を決めておきたい」という思いから生前の申し込みに人気が集まっていると見ています。
樹林墓地などの都立霊園の抽せん会は今月27日に東京都庁で行われます。(2014/08/16朝のNHKニュース:ここより)」
このサイトでも、お墓については色々と考えてきた。今回もお盆なので、また・・・
お墓は、お骨を納める所、という他に、普通なら**家の家族が一緒に眠る場所、という事になろうか・・・。しかしそれが崩れている。上にある、「豪華な本堂の改修やら行事やら、高額の寄進を催促する手紙を送ってくるばかりの寺との関係には、いささか疲れてしまった。」という話には、心当たりがある人は多いのでは?
故人を偲ぶのは、お墓に行かないとダメか? 自宅で線香を上げてお参りするのではダメか?・・・
ウチのカミさんは、「形が大切なのではなく、お参りする心では?」と言い、自分の作業机の後に、亡くなった近しい人たちの写真を飾り、手元供養で毎日お線香を手向(たむ)けているという。
確かに、立派なお墓を作っても、誰もお参りに行かず、草ぼうぼうより、例え、正式な仏壇は無くても、亡くなった人を忘れず、偲んでいる人が居る方が、故人には供養になる気はする。
前に、今日ニュースで言っていた小平霊園に、昨年(2013年)行ったことがある(ここ)。
都立の霊園は初めて見たが、好印象だった。何よりも宗教色が無いのが良かった。今日の ニュースで言っていた、H26年度の募集要項を見てみた(ここ)&(ここ)。
やはり管理料は安い。しかも、「合葬埋蔵施設」や「樹林型合葬埋蔵施設」は、ニュースで言っていた通り、管理料は無い。
それでは、それぞれの埋葬方法で、遺骨の行く先はどうなっているのだろう?
都の説明サイトにはこうある(ここ)。
「•一般埋蔵施設
一般的な平面形式の墓地で、区画割された土地を貸し付けします。墓石等は設置されていません。
•芝生埋蔵施設
芝生の平坦地に等間隔に埋蔵施設を配置しています。カロート(納骨施設)のみあらかじめ設置されています。
•長期収蔵施設
使用期間30年間の納骨堂です。期間満了時に更新が可能です。
•立体埋蔵施設
使用許可日から起算して20年間は、遺骨を地上のカロートに個別に埋蔵し、その後は地下に共同埋蔵します。
•合葬埋蔵施設
一つのお墓に多くの方々の遺骨を共同埋蔵する施設です。「一定期間後共同埋蔵」とは、使用許可日から20年保管後に共同埋蔵するもので、「直接共同埋蔵」とは、納骨時に速やかに共同埋蔵するものです。
•樹林型合葬埋蔵施設
樹林の下に、ご遺骨(粉状でお預かりした遺骨を含む)を直接土に触れる形で共同で埋蔵する施設です。」
これらは、個人の考え方で選択される。自分や家族の遺骨が、他人の遺骨と一緒に合葬されることに対する抵抗感があるかどうか・・・。それは「速やかに」または、「20年後」かも知れない。
そして人気の「樹林型合葬埋蔵施設」は、「遺骨1・2体用」「遺骨・生前2体用」「生前1・2体用」と3種類あるらしいが、場所はちゃんと並んで確保されるのだろうか・・・。でもそれ以外の周囲の人は、他人さま・・・。個別の従来型の墓地以外は、全てお隣さまをどう捉えるかが問題となる。
それを気にしないなら、遺族にとっても、これは非常に有り難い形かも知れない。そして「家族などに迷惑をかけないよう生きているうちに自分で墓を決めておきたい」という気持ちも理解出来る。しかしこれも、事前の家族(遺族)の賛成が必要となろう。何せ、お墓は残された家族のために存在する側面もあるので・・・
年に一回、お盆を機に、夫婦で自分たちのお墓をどうするかについて、話し合って置くのも良いのかも・・・ね。(何?ウチ? お盆と言わず、自分たちのお墓に関する討議は、連日行われているのであ~る)
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