久保木幸子、桑名貞子、田中聖子の童謡「月の沙漠」
先日、面白い音源を見付けた。童謡歌手の大御所である、久保木幸子、桑名貞子、田中聖子が歌うステレオ盤の童謡「月の沙漠」である。
<久保木幸子、桑名貞子、田中聖子の童謡「月の沙漠」>
「月の沙漠」
作詞:加藤まさを
作曲:佐々木すぐる月の沙漠を はるばると
旅のらくだが 行きました
金と銀との くら置いて
二つならんで 行きました先のくらには 王子さま
あとのくらには お姫さま
乗った二人は おそろいの
白い上着を 着てましたひろい沙漠を ひとすじに
二人はどこへ いくのでしょう
おぼろにけぶる 月の夜を
対のらくだは とぼとぼと
砂丘を越えて 行きました
だまって越えて 行きました
この録音は、1964年(昭和39年)だそうだが、ステレオ初期によく見られた二人の音声を左右に完全に分離させた録音。ステレオ録音に対する意識過剰?? まあそれだけに、二部合唱の旋律は良く分かるが・・・。
ところで、ここで歌っている桑名貞子さんは、前に「母の歌」で紹介したことがあった(ここ)。この歌はほとんど音源がない貴重な録音だった・・・。
桑名貞子さんは、作曲家・河村光陽氏が主宰していた児童合唱団「子鳩会」の出身だが、wikiにはこうある。
「桑名貞子(1952年 - ) - 現在はシャンソン歌手。日本シャンソンコンクール他多数受賞。ライブやディナーショー等で活躍中。」
そして彼女のHPには、子どもの頃の思い出の、こんな記述もあった。
「童謡の録音風景(その1)
BBSのご要望にお答えし、これからしばらく、かつての童謡の録音風景を少しずつ記憶を繋ぎ合わせて書いてみようと思います。
録音風景を思い出そうとすると、まず目に浮かぶのは、分厚い灰色の大きな扉です。
これを開くと、独特の空気感の、雑然とした広い録音スタジオの風景が広がります。
オーケストラのための何十もの譜面台とイス、その右寄りの前方が合唱用のマイク、端にソロ用マイク、真ん中に指揮者席がセットされていました。
やがてバイオリンやチェロの調弦の音が暫く続き、指揮者との打ち合わせが始まります。
作・編曲者がタクトを振ることが多く、富田勲さんや草川啓さん、佐々木すぐるさんなどが自ら振ってくださいました。今考えると、凄く贅沢だし、ある意味、そのころ録音された童謡の音楽的な質の保証でもある気がします。
打ち合わせが済むとまず通しで合わせてみてから「テスト」を何回か、それをみんなで聞きます。問題がなければいよいよ「本番」です。
ここでは咳やコトッなんて小さな物音も勿論ご法度。心地良い緊張感の中、録音が始まります。一度に2曲とってしまうこともまれにありました。
そしてディレクターから「OK」がでれば「お疲れ様!」。帰り支度しながら「OK」の録音が流れます。この時、スタジオ全体がほっとした空気に変わり、話し声やいろんな物音が戻ってきます。わたしの記憶では内幸町のビルは茶色で窓が多く、苔むした洋館造りだった気がします。
コロムビアが現在の赤坂見付に移転する前、内幸町にあった頃の話です。」(桑名貞子さんのHP:2006年4月の記事(ここ)より)
一方、久保木幸子さんは皆川和子が主宰する「ひばり児童合唱団」の出身で、その後、横浜国立大学教育学部へ進んで音楽を専攻したという。また同合唱団からは、安田祥子、安田章子(由紀さおり)、本間千代子、そして女優・吉永小百合を輩出したという。(出典:田中修二氏)
かつての童謡歌手たちも、年代的には我々シニア族と同じ。
まあこの記事を読む人も、自分と同じような世代の人が多いのだろう。還暦という言葉もある。ぐるりと一回りして、子どもに還って平和な時代を懐かしむのも一興か・・・!?
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