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2014年7月10日 (木)

「はなちゃんママの七回忌」~料理は子育ての必修科目!?

今日の昼食時、会社近くのそば屋で、朝日新聞の「天声人語」に目が止まった。ショッキングな言葉で始まっていたから・・・
「はなちゃんママの七回忌
レントゲンで左肺に小さな影が映った。CTでも調べた。結果を待つ間、亡き妻を思った。「助けてよ」。一人娘を置いて死ねるわけがない。後刻、医師は告げた。「なーんも、ありまっせんね」。えー! あの影は? 「なんやろね。乳首かな?」▼福岡市の新聞社勤務、安武信吾(やすたけしんご)さん(50)が昨年つづったブログから引いた。家に帰り、娘のはなちゃん(11)に一部始終を話すと、「めっちゃウケる~」と大笑いしたという。妻の千恵(ちえ)さんはがんと長く闘い、08年に33歳で死去した。父子2人の暮らしになって丸6年になる▼140710hanachann 信吾さんが一昨年に出した『はなちゃんのみそ汁』は多くの人に読まれた。闘病記であり、子育ての記録でもある。掃除や風呂洗いや洗濯物干しを教え、5歳になったら朝ご飯のみそ汁づくりを任せた▼なぜそこまでしたのか。〈いつどこで自分がいなくなっても大丈夫なように〉〈ムスメが一人でも強くたくましく生きていけるように〉。すでに全身に転移していた千恵さんの残した文章が胸に刺さる▼はなちゃんの健気(けなげ)な姿も読む者の鼻の奥にツンとくる。葬儀後も立ち直れない父に5歳の娘はいった。「パパ、また悲しい顔しとるよ。大人のくせに、つまらんねえ」。いわれた父は「はなは時々、大人になった」と書く。思わず微笑を誘われる▼あすは七回忌だ。生前の仲間たちがあさって、音楽の先生だった千恵さんの追悼コンサートを福岡市で開く。題して「いのちのうた」。はなちゃんも舞台で歌う。」(
2014/07/10付「朝日新聞」「天声人語」より)

この記事によると、『はなちゃんのみそ汁』という本が出ているらしい。Amazonにはこの本の紹介にこんな事が書いてある。
「『はなちゃんのみそ汁』 内容紹介
はな、毎朝のみそ汁つくり、がんばってるよ。
天国のママとの約束だからね。

がんで逝った33歳の母が、5歳の娘に遺したもの――

《きっかけは、私の病気でした。
私がいなくなっても、料理ができる旦那なら、安心です。
なぜなら、ご飯を作ることは、生きることと直結しているからです。
ムスメにも、包丁を持たせ、家事を教えます。
勉強は、二の次でいい。
健康で、生きる力が身についていれば、将来どこに行っても、何をしても生きていける。》

人気ブログ『早寝早起き玄米生活~がんとムスメと、時々、旦那~』の一家の物語を、 夫の手記・妻のブログ・娘の手紙でつづります。千恵さんが乳がんの手術を受けたのは、結婚直前のまだ25歳でした。抗がん剤の副作用で諦めていたのに、奇跡的にも妊娠。出産で再発リスクが高まるため、「命がけで産んだ」のが一人娘のはなちゃんです。
ある日、はなちゃんがおっぱいを飲まなくなり、肺がんの再発がわかりました。千恵さんと信吾さんは治療とともに、「食べることは生きること」と食生活の改善にとりくみ「玄米ごはんとみそ汁」の和食生活に。そして、肺がんはいったん消失したのです。
ところが、全身転移が発覚。千恵さんは、はなちゃん5歳の誕生日に約束をします。「毎朝、自分でみそ汁をつくること」。遺していく娘が、一人でも生きていけるように――。」

そして天声人語が引いた氏のブログも読んでみた(ここ)。

家に帰って、天声人語をカミさんに読ませると、この子のことは知っていた。前に評判になったとか・・・。

140710jyoseigan それにしても乳がんは怖い。(ここ)によると、30~64歳で女性がガンで亡くなった原因は、1位が乳がんだという。
もっとも発見しやすいと言われている乳がんだが、遺伝的な要素も多く、若くして命を落とす人も多い。

それよりも、これらを読んで自分が感じたのは、死に逝く母親の心情である。
「ムスメにも、包丁を持たせ、家事を教えます。勉強は、二の次でいい。健康で、生きる力が身についていれば、将来どこに行っても、何をしても生きていける。・・・」

こんな一文を読むと、日々食べることの重要性を、改めて感じる。
確かに「ご飯を作ることは、生きることと直結」しているのである。しかし、普段はあまり意識しない・・・。
そして食べることが当たり前の事でなくなった時、思ってもいなかった自身の生存に深く響いてくる。
小学校の頃だったか、家庭科の授業で「粉吹き芋」を作った。それは我が人生初めての料理だったかも知れない。しかし、それっきりだった。
この、「健康で、生きる力が身についていれば、将来どこに行っても、何をしても生きていける。」という言葉を噛み締めると、男女にかかわらず、子どもの時から「ご飯を作る」ということを日常的なこととして親が教えるのは、子育ての大切な必修科目かも知れない。
(なお自分はその必修科目の単位がまだ取れていないので、今ごろカミさんから特訓を受けているのさ・・・!?)

140710denki <付録>「ボケて(bokete)」より

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コメント

こんばんは。

はなちゃん、千恵さんのことを初めて知りました。
年代はやや違いますが、私の友人のことを想起させる闘病生活…。友人は30代前半で大腸がんを発病、「子供のことだけが心残り…」と言った言葉が忘れられません。
玄米食に変え、一切の甘味を断ち、自然の甘味を生かしたデザートを工夫していた彼女でしたが、2人の男の子を残して40歳になるかならずに亡くなりました。
彼らは今では立派に成人しています(37歳と35歳)。

乳がんは本当に多いです。かく言う私も15年前に手術しました。乳がんには卒業は無く、年に1~2度の検診は欠かせません。
私の場合は子供たちは21歳と18歳だったので、何とか生きて行けるだろうと…。

その時我が家には2匹の犬がいて、この子たちのためにまだ死ねない!と本気で思っていました。ベッドサイドにわんこの写真を貼って、退院したらすぐにでも散歩に行けるようにと病院の廊下でウォーキングをしたものです。

その後メイ子さんの食欲はいかがですか。

【エムズの片割れより】
自分など、気が弱いので、再発の恐怖など、とても耐えられそうにありません。
メイ子は、最近食欲がランダムになってきて、完食の時と、ほとんど食べない時があり、困っています。獣医さんからは、ストライキの場合もあるので、30分で食べなかったらサッサと片付けなさいと言われていますが・・・

投稿: アンディーのママ | 2014年7月11日 (金) 23:47

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