「フォーチュン500」2014年版と原発再稼働
先日の日経でこんな記事を読んだ。
「「フォーチュン500」が映す米欧の厚い壁 編集委員 西條都夫
売上高順に世界の企業を番付する米フォーチュン誌のグローバル500社ランキングが発表された。今年ランクインした日本企業は前年から5社減って57社にとどまった。2000年には100社を超える日本企業が名を連ね、全体の2割以上を占めたが、年を追うごとに数が減り、今では1割強になってしまった。
何が原因なのか。日本勢がほぼ半減する一方で、巨大国有企業を中心にした中国企業は増え続け、今年は95社がランクインした。日本が中国に逆転されたのは2011年で、その後は差がじわじわと広がっている。GDP(国内総生産)と同じ、日中の逆転劇がここでも起きている。
■日本の優勢、自動車くらい
だが、筆者が最も気になるのは中国の台頭ではない。むしろ「古くからのライバル」である米欧企業との差が再び開きつつあるのではないか、という点が心配の種だ。中国企業は一部の例外はあるが、多くの企業は中国国外におけるプレゼンスが小さく、世界市場で日本企業としのぎを削るところはまだ少ない。
だが、欧米企業は違う。日本勢に先駆けて世界市場に展開し、高いブランド力や技術力を誇る、日本企業にとって正面からのライバルである。この稿では、グローバル製造業に絞って、日米のチャンピオン企業の比較をしてみよう。
ランキングをざっと見渡して日本が明らかに優勢なのは、自動車だ。トヨタ自動車以下富士重工業まで6社がランクインし、部品メーカーもデンソーなどが名を連ねた。500社全体に占める順位でも、日本トップのトヨタの9位に対して、米国トップのゼネラル・モーターズは21位にとどまる。
だが、それ以外で日本が優勢な分野は少ない。あえて探せば、1つは新日鉄住金が184位にランクインした鉄鋼産業だろうか。この業界でトップ500に名を連ねた米企業はない。また、487位に入った富士フイルムも、かつての最大のライバルである米イーストマン・コダックが破綻に追い込まれた事実を踏まえれば、「勝ち組」に分類してもいいだろう。
だが、「勝ち組」リストはこれで終わりだ。それ以外の日米比較を列挙してみよう(カッコ内は500社のなかでの全体順位)。
キリがないのでこのへんでやめておくが、日本企業が規模の競争で劣後している現状を実感してもらえただろう。IT(情報技術)や金融、石油メジャーなど、今回の比較からあえて除外した米国の得意分野をカウントすれば、日米の産業力の厚みの差はさらに顕著なものになるはずだ。
■欧州の「小国」も有力企業を輩出
一方で欧州企業も手ごわいライバルである。たとえば、一般的には「小国」と分類されるオランダはロイヤル・ダッチ・シェル(2位)以下フィリップスやハイネケンなど12社が、スイス はネスレ(72位)など13社がランクインした。オランダの人口は1660万人、スイスの人口は795万人と日本よりはるかに小さいが、それでもこれだけの有力グローバル企業を輩出する。日本企業としても、欧州勢のブランド戦略やグローバル化への意気込みなど見習うべき点は多い。
日本企業の足元の業績は好調で、経営者にも明るいムードが漂う。それ自体は悪いことではないが、しかし、業界再編など残された課題も多い。グローバル市場で米欧の巨人と伍(ご)して対等に競争できるだけの経営基盤が自社にあるのかどうか、経営者は問うべきである。
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西條都夫(さいじょう・くにお) 87年日本経済新聞社入社。産業部、米州編集総局(ニューヨーク)などを経て企業報道部編集委員兼論説委員。専門分野は自動車・電機・企業経営全般・産業政策など。」(2014/07/15付「日経新聞」「ニュースこう読む(西條都夫)」より)
この順位は企業の売上高である。つまり事業規模であり、大会社のことである。
この記事は、日本の地位の低下を嘆いているが、上の円グラフを見て、自分はむしろ感心した。まあ、つい最近までGNP世界第2位であり、先年3位に落ちたとは言え、規模からすると日本の経済力はまだまだ一流と見える。
つまり、まだ英独仏の2倍であり、韓国の3倍の企業数を保っている。確かに断トツの会社は自動車位しかない。それに続くのは、上のリストを見ても、重電インフラ位しか目立たない。
でも、2000年では100社を超えていたというから、当時の日本は凄まじい経済力だったわけだ。
さっきのニュースでは、いよいよ原発の再稼働に向けた動きが始まったと言っていた。膨大な火力発電のための化石燃料の輸入増加を考えると、経済的には原発再稼働が現実解なのかも知れない。
しかし一方では、福島から非難して家を追われた人の自殺者が増えているとも聞く。つまり原発事故では、直接的な死者はゼロだなんて言っているが、避難した人の死者の数は怖ろしいほどの数になっているのだろう。
それら都合の悪い数字は発表されていないが、もし事故が無かった状態での福島県民の死亡率と、事故によって上がってしまった死亡率の比較の数字が公表(研究)されたら、世の中の原発に対する評価は激変するかも知れない。
「脱原発」と、言葉では簡単。しかし代替エネルギーをどうするのか・・・。新設原発は論外としても、リスクの少ない新しい原発までも廃炉にするのか・・・。
経済のための原発と、それによる多くの国民の命に直結するリスク・・・。
何とも答のない難しい議論ではある。
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