腸、腎臓は短命~臓器の寿命にそなえよ
最近、「文藝春秋」に追われている。オトナになったら「文藝春秋」くらい読まなくっちゃ!と思っていたが、いっこうにオトナにならない。それで、先日、定期購読を1年だけ申し込んでみた。すると毎月送られてくるのは良いのだが、そのピッチが速い。前の月の分を読み終わらないうちに、次の号が届く。それで追われているのである。
その「文藝春秋」の2014年6月号に慶大の伊藤裕教授による「腸、腎臓は短命~臓器の寿命にそなえよ」という記事があった。
気になった文言を拾ってみると・・・
・それぞれの臓器にも「寿命」があり、その寿命は臓器ごとに格差がある。
・心臓も脳も、腸も肝臓も、すべての臓器が「砂時計」を持っていると考えて下さい。時計の砂は生まれた瞬間から落ち始め、すべてが落ち切った時に、その臓器の寿命は尽きます。
・もともと砂時計の速度が速い臓器もあれば、砂がゆっくり落ちる臓器もあるのです。
・心臓のように常に動き続けている臓器は寿命も短いと思われがちですが、意外にもそうでもありません。また、脳はすべての臓器の機能を支配して疲れが早いように思われていますが、寿命という点では決して短くはないのです。
・そもそも心臓と脳には「がん」は起きません。その理由は二つあります。
一つの理由は「心臓と脳を構成する主な細胞は分裂をしないから」。もう一つの理由は「体の外の世界と直接触れていないから」――です。
確かに心臓も脳も仕事はタフですが、体の外の世界と接することがないので、外敵からの攻撃に晒される心配はありません。そのため黙々と本来の仕事に打ち込むことができ、臓器としては長生きの部類に入るのです。
・では、どの臓器が短命なのでしょう。実は、人間の体の中で「臓器の時間」が短いのは、腸と腎臓なのです。
血液が臓器の機能維持の生命線であることは言うまでもありませんが、腸の血液消費量は全身の血液の30%、腎臓は20%を占め、血液消費臓器ランキングの第一位と第二位です。
・腸と腎臓は、なぜそれほどまでにエネルギーを使うのかといえば、ともに“吸収”という、骨の折れる仕事を担当しているからです。
・腸は、食べたものから体に必要な栄養を吸収します。一方、腎臓は、いらないものを捨てる臓器と思われがちですが、実は、一日当たり百リットルも生産される原尿(汚くなった血液が濾過されてできる尿の素)から、尿として最終的に排泄される1~2リットルを除いたほぼすべてを再び吸収しています。異物を体内に取り込む作業は、大量にエネルギーを消費し、臓器に大きな負担をかけるのです。
・ちなみに、心臓の血液消費量は、全体の5%に過ぎません。死ぬまで長持ちして規則正しく動いてもらわないといけない心臓は、省エネで済むようにできているのです。
・腸の本来の仕事は大きく二つあります。一つは「食物の消化吸収」、もう一つは食物と一緒に体内に侵入しようとする外敵の排除、つまり「腸管免疫機能」です。腸の老化が進めば、腸の免疫力が落ち、様々なバイ菌ななどの外敵が侵入しやすい環境ができます。過食するとそれだけ多くの外敵が体への侵入を試みることになるのです。その結果、体内では様々な臓器で炎症が、軽いけれどもだらだらと慢性的に続き、そして示し合わせたようにそれぞれの臓器の障害が起こります。すると、体は栄養素をうまく利用して消費することができなくなって、どんどん肥満、メタボの病態が進んでいくのです。
腸の老化のスピードが速まりメタボが進むと血管が障害されて、各臓器で酸素不足となります。この段階で最初にダメージを受けるのが、酸素不足に最も敏感な腎臓です。腎臓は心臓と密接な関係があります。腎臓に不具合が生じると、その情報は腎臓神経によって脳に伝えられます。すると脳から心臓に行く神経がその変化を感じ取り、興奮することで心臓をフル回転させるようになり過剰な負担がかかります。
もともと、この仕組みは、腎臓が弱って水分や塩分を排泄しにくくなっている時、そのことを脳に知らせ、心臓を頑張らせることで、ポンプ機能を高めて水分と塩分を何とか排泄させようとする調節システムで、生体にとっての防衛反応です。ただ、それが過剰になると心臓を疲れさせてしまうのです。
こうして、腎臓病の人は心筋梗塞、心不全の発症リスクが高まることが、最近の研究でわかってきました。
はじめは内臓脂肪が溜まる肥満だけだったのが、それが高血圧を呼び、脂質代謝異常症、糖尿病、動脈硬化などと拡大していく。一つの臓器が病気になると、関係する他の臓器にも機能の低下が起こっていく関係は「臓器連関」と言われています。その「ドミノ倒し」のような現象を、私は「メタボリックドミノ」と呼んでいます。
しかし、逆に言えば、キーとなる臓器の老化を遅らせることができれば、それに連動して他の「臓器の時間」もゆっくりになる。そのキーとなる臓器こそが、腸と腎臓なのです。
腸と腎臓にはそれぞれが原因となって起こる代表的な病気があります。それは、腸=糖尿病、腎臓=高血圧です。この二つの病気を防ぐため、過食や塩分の取りすぎ、運動不足を解消するなどして、腸と腎臓に対するケアを確実に励行することで腸と腎臓の時間の進行を遅くすることができます。そうすれば、体の他のさまざまな「臓器の時間」も遅くすることができるようになり、長寿に結びつくのです。」(「文藝春秋」2014年6月号p177~179、慶応義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科・伊藤裕教授「腸、腎臓は短命~臓器の寿命にそなえよ」より)
今朝、メイ子(ウチの愛犬・ヨーキー)が朝食を食べない。カミさんが心配して「病院に連れて行こうか??」「いや、動物は、食べ過ぎた時などは吐いたりして、自分で調整すると、獣医さんが言っていたのでは」「では様子を見るか・・・」
結局、夕方には食欲も出て来て、夜にはいつもの通りに戻ったので、一安心。メイ子も12歳。今後も老化で何が起こるか分からない・・・。
愛犬同様、自分の体も、先日の不整脈以来、すっかり自信を無くしてしまった。発作から3日間再発し易いので注意!と言われていたが、何とか無事に過ぎた。それにしても“発作”はやっかいだ。いつ起こるか分からないので、不安になる。心臓神経症という言葉もあるくらいなので・・・
そんな事を思いながら、最近ご無沙汰の仏教について思った。自分の意志ではコントロールできない事への心の対処の仕方・・・。まさに哲学の領域。人生の生き方の問題。
ハッキリ言って、自分は自分の心をコントロールする事が出来ない。女性陣と違って、異常値に対して、パニックになってただオロオロするだけ・・・。
上の記事も、例によって、読んでいて「ヘエー」と思った。機械もそうだが、たった一つの部品の不具合で、機械全体が動かなくなる。もちろん肉体も同じ。
腸と腎臓を労(いたわ)るのは当然として、自分の場合、どうすればこの心臓がおとなしく動いてくれるのか・・・。解は無い・・・
解のない課題に、どう自分の心が、向き合うのか・・・。老化に伴う「臓器の寿命」という人生の大きな課題が、立ちふさがってきたこの頃である。
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コメント
臓器連関に加えて、交感神経と副交感神経のバランスを上手くとる生活のリズムが大切だと、私も還暦過ぎたこの頃になっていくつかの本を読み、今更ですが勉強している次第です。
運動は、ただ歩くにしろ、少なくともなくしてはダメですね。さぼった途端に体各部の動きがぎこちなくなります。
【エムズの片割れより】
その通りですね。自分も昔から自律神経失調症があるのでは?と疑っています。
心の状態は、体に直ぐ表れますよね。
投稿: ケンカバ | 2014年6月 3日 (火) 11:52