「7回結婚したら8回起きあがれ」
先日の日経夕刊にこんな記事があった。
「(プロムナード)7回結婚したら 越川芳明
日本には、「七転び八起き」という諺(ことわざ)がある。
「人生には浮き沈みが多い」ということの喩(たと)えで、失敗にめげずに立ち直ることの大切さを説いたものだ。
実は、キューバにも似たような格言がある。ただし、日本の諺より、ひねりが効いている。それを教えてくれたのは、僕の師匠だ。
「7回結婚したら8回起きあがれ」という。
結婚が「転び」というか「失敗」の喩えになっている点が面白い。
さて、まわりを見渡すと、ハバナの下町に住む友人たちは皆、妻の家で暮らしている。
漫画の『サザエさん』で、磯野家に同居する、サザエさんの夫マスオさんの立場に似ている。
60代の大学教授ロドリゴは、高級住宅地に自分の小さな家がありながら、住んでいるのは、同じく大学教授である妻の、下町にある家だ。妻の父母や娘も一緒に住んでいて、3世代が同居している。ロドリゴはすでに4度も、結婚と離婚をくり返し、そのたびに宿をかえて、ヤドカリ歴も長い。
30代後半のロベルトは、僕が黒人信仰の司祭になるための秘儀を一緒に行った友人だ。彼は年上の妻マリの家に寄居している。ヤドカリ歴は分からないが、マリが最初の妻でないことだけは確かだ。家には妻の連れ子の10代の娘、妻の父母が同居している。ロベルトは家計を助けるために、夜遅くまでレストランで働いている。僕の心配は、彼が仕事に追われて、修行をおろそかにしていないかということだ。
40代半ばの僕の師匠は、先ごろ、新しい寄居先を見つけたばかりだ。最初の妻は、若くして火傷で亡くなった。2人目の妻とは、娘に恵まれたが、協議離婚。3人目の女性とは結婚の手続きを経ずに7年間生活を共にした。いずれの場合も女性の家で暮らし、ヤドカリ歴は25年近くになる。僕が尊敬するのは、とにかくモノへの執着がないという点だ。
師匠の息子マヌエルは、火傷で亡くなった妻とのあいだにできた子だ。祖母の家で、優しい叔母(母の妹)によって育てられた。いま20代半ばで、大学1年生になったばかりの女の子と恋仲になり、いま彼女の家に身を寄せている。そこは大家族で、彼女の父母のほかに、祖母、叔母が一緒に暮らしている。
あるとき、いつも陽気なマヌエルが浮かない顔をしていた。
僕が、どうしたの? と訊(き)いてみると――
恋人の母親がつらく当たるのだ、という。
マヌエルは、以前、別の恋人の家に寄居していた。だが、半年もたたないうちに、彼女が家族と一緒にマイアミに移住してしまった。それで、急きょ、いまの恋人を見つけたのだ。
マヌエルは司祭になってまだ5年だが、儀式のときの祈りや歌をはじめ、さまざまな約束事をマスターして、師匠の信頼を得ている。まじめに修行を積んできたからこそだが、逆に言えば、わずかなお布施しか収入がないということだ。それが恋人の母には不満のタネかもしれない。
マヌエルは、司祭としては立派だが、まだヤドカリ歴が浅い。
僕の師匠みたいに、「7回結婚したら8回起きあがれ」の境地には、まだ達していないようだ。(米文学者)」(2014/05/09付「日経新聞」夕刊p7より)
何とも珍妙な(?)一文・・・。(失礼) そもそも米文学者 越川芳明氏とは?とNetで検索すると、れっきとした明大教授だという。そしてwikiによると「90年代半ばより米国とメキシコとの国境地帯で混交文化をめぐるフィールドワークを行ってきたが、2008年より、キューバのアフロ文化の調査研究に出かけている。2009年夏、キューバのアフロ信仰、サンテリアの入門儀式(マノ・デ・オルーラ)を体験。2013年夏、イファ占いの司祭ババラオの資格を獲得。守護霊(サント)はエレグア。」だという。
やはり普通の人ではないな・・・!?
それにしても、文化の違いは実に面白い。キューバのマスオさん生活も、日本の文化からすると面白いが、キューバからすると当たり前なのだろう。そして結婚は何度でもやり直しがきくという文化・・・。
でも、このような女系家族の文化(?)は、たぶん世界でも各所にあるのだろう。
男の妻宅へのヤドカリ生活・・・。そしてその元となる「モノへの執着がない」という男の価値観・・・。
まあ、「ヘエー」で終わる話だが、どうも自分は御免蒙むりたい話である。
それよりも、7回も結婚するとしたら、それぞれの子どもに対する親の責任がどうなっているのか、つい心配してしまう。それとも、初めから男親の存在は子どもの養育に関してアテにされていないのかも・・・
まあ自分は、やはり日本でいいや・・・
| 0
コメント