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2014年5月 7日 (水)

売った後に3倍稼ぐビジネスモデル

もうだいぶ前の記事だが、日経新聞にこんな記事があった。
「殻を破る(3)売った後、3倍稼ぐ 生涯 顧客とつながる
 「ベアリングの油圧が高め。整備を早めては」
 アジア系の航空会社に最近、メールが届いた。成田空港に向かう航空機から送られたエンジンの数値に小さな異変が見つかったという。
 メールを発信したのは英国中部、ダービーにある航空機エンジンメーカー、ロールス・ロイ140507mente スのモニタリングルーム。室内には同社製エンジンを載せた約4000機の運航状況が映し出され、エンジンに設置したセンサーを通じて温度や油圧、振動音など数十項目を監視する。
 航空機の整備は費用の発生時期が読みにくい。だが同社は「1時間当たり数十ドル」でエンジンの保守を受託、別料金を払えば運航中のモニタリングもする。航空会社は費用の発生が平準化されて予算が立てやすくなり、固定費削減につながる。
 サービス開始から約10年。同社の顧客は世界の航空大手にも広がり、民間航空機エンジン部門の収入の7割がサービスになった。もはや単なるメーカーではない。「エンジンも造るサービス会社」が実態に近い。
 航空機だけではない。米ゼネラル・エレクトリック(GE)会長のジェフ・イメルト(58)は最近、株主への手紙で「ソフトウエアへの重点投資」を明言した。イメージするのは「高度化した製造業(アドバンスト・マニュファクチャリング)」。発電、医療機器でも売った後の課金型サービスの拡大を狙う。
 「課金型」は欧米企業に一日の長がある。
 「荷物の重さ(トン)と運んだ距離(キロ)で請求します」。独ダイムラーがそんな手法で商用車を売り始めたのは1990年代初め。冷戦終結で欧州域内の市場統合が進み、商用車の価格競争が激化した。それを回避しようと考えたのが整備と金融サービスを組み合わせた事業だった。
 最近は機械や製品をネットでつなぎ、稼働状況を把握する「IOT(インターネット・オブ・シングス)」の技術が進歩し、製造業のサービス化を一段と促す。英国、ドイツでは国を挙げて技術開発を後押しする動きも出てきた。
 ボストン・コンサルティング・グループのシニア・パートナー、太田直樹(46)は「製造業の将来はライフタイム・マネジメントにある」と話す。製品が使われる間は顧客とつながり続け、手数料も入る。製品を売り切って終わる従来のメーカー型取引に比べ「1.5~3倍の収入増が見込める」と試算する。
 火力事業を2月に統合した三菱重工業と日立製作所。「経営資源の有効活用」を掲げ、それぞれが人員などを集中的に振り向ける対象は「顧客とつながる」事業だ。
 日立は米空調大手と共同で2月、海外でビルの省エネ支援サービスを始めた。ビル管理の世界市場は年間50兆円超。IT(情報技術)でコストを減らし、一定割合を対価として得る事業で高収益を狙う。
 「日立の顧客リストを変えていく」。会長の中西宏明(68)は話す。現在の主要顧客には「売り切り型」の自動車や通信大手などが並ぶが、今後は世界の資源エネルギー会社やデベロッパーなどを開拓、「深くつながり稼ぐ」に軸足を移す。中期でめざすサービス事業の売上高比率は4割。巨艦日立の事業モデル革新が始まった。」(
2014/04/09付「日経新聞」p1より)

売った後に、そのサービスで長期間商売をする、というビジネスモデル。
ロールス・ロイスのオンラインによるサービス体制(オンコンデイション・メンテナンス)については、何度か聞いたことがある。しかしその事についての記事はあまり目にしたことが無かったので、メモしておく。

ジェットエンジンメーカーのロールス・ロイスが、既に7割がサービス事業になって、「エンジンも造るサービス会社」に変貌しているとは、想像以上。まあ1960年代からの歴史があるというので、そんなものかも知れない。
それにしても、最初にこのビジネスモデルを考えた人はスゴイ・・・。メーカーにとってだけでなく、何より顧客にとっても、保守にかける時間の節約につながるため、実に有り難いサービスであろう。まさにWin-Winのモデル・・・
日本でも小松製作所(コマツ)が有名。wikiによると、建設機械の情報を遠隔で確認するためのシステムであるKOMTRAXは、2010年現在で、世界で15万台が稼働しており、その情報は無償でユーザーに提供しているという。(ここ

昔、会社で、協力会社(外注)との間でCD(コストダウン)活動が活発だった。外注からのCD提案でメリットが生まれると、その利益は発注者と受注者が折半で享受した。
結局、何事も“長続き”がキーワード。顧客との付き合いも、いかにして長い付き合いを確保するか・・・。

我々の友人関係も同じ。特にリタイア後の・・・
長続きしている友人関係がどの位あるか・・・。それは自分(の人生)を測る指標になってしまうのかも知れない。

140507rikyuu <付録>「ボケて(bokete)」より

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