ピンク・ピクルスの「一人の道」
今日のテレビニュースでは、計画から68年経ってやっと開通した「マッカーサー道路」のことを報じていた。この道路は、都心とオリンピックの競技施設が建設される湾岸地域を結ぶものだという。段々とオリンピックムードも盛り上がりだした??
今日初めて、ピンク・ピクルスの「一人の道」という歌を聞いた。一度聞いて、直ぐに自分の心に入り込んだ。この歌は、1972年(昭和47年)の発表で、東京オリンピックのマラソンで銅メダルを獲得し、その後に自ら命を絶った円谷幸吉選手を歌ったものだという。
<ピンク・ピクルスの「一人の道」>
「一人の道」
作詞:今江真三郎
作曲:茶木みやこ
ある日走った その後で 僕は静かに 考えた
誰のために 走るのか 若い力を すり減らし
雨の降る日も 風の日も 一人の世界を 突っ走る
何のために 進むのか 痛い足を がまんして
大きな夢は ただ一つ 五つの色の 五つの輪
日本のための メダルじゃない 走る力の 糧なんだ
父さん 許して下さいな 母さん 許して下さいね
あなたにもらった ものなのに そんな生命を 僕の手で
見てほしかった もう一度 表彰台の 晴れ姿
だけど 身体は動かない とっても もう 走れない
これ以上は 走れない
円谷幸吉選手の、あの有名な遺書については、前に書いた(ここ)。あの「美味しうございました」の繰り返しによる切々とした遺書は、何度読んでも涙が出る。
繰り返しになるが、もう一度下記してみる。
父上様 母上様 三日とろろ美味しうございました、干し柿 もちも美味しうございました、
敏雄兄、姉上様、おすし美味しうございました、
勝美兄姉上様、ブドウ酒、リンゴ酒美味しうございました、
巌兄姉上様、しそめし、南ばんづけ美味しうございました、
喜久造兄姉上様、ブドウ液、養命酒美味しうございました、又いつも洗濯ありがとうございました、
幸造兄姉上様 往復車に便乗さして戴き有難うございました、モンゴいか美味しうございました。
正男兄姉上様、お気を煩わして大変申し訳ありませんでした、
幸雄君、秀雄君、幹雄君、敏子ちゃん、ひで子ちゃん、良介君、敬久君、みよ子ちゃん、ゆき江ちゃん、光江ちゃん、彰君、芳幸君、恵子ちゃん、幸栄君、裕ちゃん、キーちゃん、正嗣君、立派な人になって下さい。
父上様 母上様 幸吉はもうすっかり疲れ切ってしまって走れません
何卒 お許し下さい。
気が休まる事なく、御苦労、御心配をお掛け致し申し訳ありません、
幸吉は父母上様の側で暮らしとうございました、
校長先生 済みません、
高長課長 何もなし得ませんでした、
宮下教官 御厄介お掛け通しで済みません、
企画課長、お約束守れず相済みません
メキシコオリンピックの御成功を祈り上げます、
一九六八・一、
この遺書を読みながら、この切々とした歌を聞くと、オリンピックというプレッシャーが人間に与える苦しみが、どれほど大変かが分かる。先の冬季オリンピックもそうだが、選手たちはこれを乗り越えて活躍している。その精神力は我々の想像が及ばない世界・・・。
人間の悩み、それは誰もが持つものだが、一人で抱え込むと深い闇に陥る。しかし誰か一人でもその悩みを分かち合える人が居ると、世界は大きく変わる。そして決して自死には走らない。
この円谷選手も、当時奥さんが居て、その苦悩を話せたら、自死を食い止める事が出来ただろう。
ひとりと二人・・・。この歌を聞きながら、人間は一人では生き抜けない・・・と、改めて思った。
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