河村順子の「ほととぎす」
聞き慣れた歌だが、先日、河村順子の「ほととぎす」を聞いた。
<河村順子の「ほととぎす」>
「ほととぎす」
作詞:近藤朔風
作曲:ライトン小暗き夜半を ひとり行けば
雲よりしばし 月はもれて
ひと声いずこ 啼くほととぎす
見かえるひまに すがた消えぬ
夢かとばかり なおも行けば
またも行く手に 闇はおりぬ
この歌は学校で歌ったことがある・・・と調べてみると、昭和22年の中学2年の音楽の教科書に載っていたらしい。(ここ)
またこの歌は「暗路(やみじ)」という題も持っている。「暗路」というタイトルでは、自分は2つの音源を持っている。
<山本健二の「暗路」>
<鮫島有美子の「暗路」>
この歌の背景について、Netで検索してみた。すると、鮫島有美子のCDのブックレットには「近藤朔風(1番)と志村建世(2番)の歌詞による「暗路」として歌われているが、それ以前に「秋夜懐友」(犬童信蔵作詞)として大正3年に発表された唱歌のひとつだった。もちろん、現在は「暗路」のほうが親しまれている。ライトン(1816~1880)の作曲」という記述があるらしい(ここ)。
上の鮫島有美子の2番が、野ばら社元編集長の志村建世氏の訳詞だというので、JASRACのデータベースをたたいてみると「消えぬおもかげ」という題で載っていた。それで、氏のblogに何か載っていないかと検索したが、ちょこっとしか載っていなかった(ここ)。
そして(ここ)のサイトには詳しく解説がある。原詩は「Her Bright Smile Haunts me Still」といって(ここ)に原詩の直訳があるが、まさに愛の詩である。しかし聞き慣れた近藤朔風の1番の歌詞は、どうも原詩と違う・・・。では作詞?? でもJASRACのデータベースには「近藤朔風“訳詞”」とある・・・。
でも近藤朔風の2番は、
「別れし友よ 今はいずこ
今宵の月に 君を想えば
心はうつろ 思い出消えず
悩める胸に 帰るは彼の日
星影だより 共に語りし
昔の言葉 今ぞしのぶ」
というらしいので、何となく原詩の訳かな・・・とも思う。
何とも訳詞の世界は難しい。
ともあれ、この「ほととぎす(または「暗路」)」は、転調の妙で頭から消えない旋律ではある。
| 0
コメント
エムズ様 懐かしいの一言です、半世紀以上も前ですしもうすっかり記憶の外だったのですが出だしを聞いただけですらすらと唄えると云う事はきっとこの歌が大好きだったのでしょう。もうそのことすらも忘れています。
ここに来ると懐かしい日本の歌を思い出す事ができ本当に嬉しい限りです。ありがとうございます。
【エムズの片割れより】
子どもの頃に覚えた旋律は頭にしっかりと記憶されていますよね。自分にとって映画「しいのみ学園」の歌もそうでした。
投稿: 名前?わすれた | 2014年3月 9日 (日) 06:18
本当に懐かしい歌ですね。小学校か中学校かどこで習ったのかも分かりませんが、「名前?忘れた」さんと同じで最後まですらすらと歌えました。ただ、私の記憶では「月はもれて」でなく、「月影もれて」になっています。「月影」もなかなか良いでしょう。こんな名曲がYou Tubeに1曲も出てないのは残念ですね。
【エムズの片割れより】
確かにNetで検索すると「月影もれて」という歌詞もあるようですね。こっちの方が歌いやすいかな・・・?
投稿: 山下仁平 | 2014年3月 9日 (日) 11:03
エムズ様
横を失礼致します。
山下様、私は詩までは覚えてないんですが確かに「月影もれて」の方が陰影がある様に感じますね
題名は「ほととぎす」ではなかったような・・・
エムズ様 これからも埋もれてる良い歌を如何か宜しくお願い致します。
投稿: 名前?忘れた | 2014年3月 9日 (日) 14:36
ああ、なんて今日は良い日なんでしょう、私、この歌が大好きでかれこれ48年前、中1の音楽の教科書に出ていたんです。
今まで頭の中で思い出して、今日、パソコンで検索をしたら、こうして出てきました。
「暗路」とも言うんですね。ありがとうございます。
【エムズの片割れより】
結構、検索でヒットするのですね。
この旋律は、まさに学校の音楽の授業を思い出させますね。
投稿: セブン | 2015年5月16日 (土) 21:44
2番の内容がほととぎすから突然内容がかわってしまいま。「原詩の訳か」とのことですが、多少内容は異なっても原詩を意識していることは確かでしょう。それより訳詩者はなぜほととぎすをここにもってきたかが問われます。古来、ほととぎすの鳴く声を聞くと、昔を懐かしく思い出すという共通理解がありました。ですから2番の歌詞の前にほととぎすの声を聞いたということを歌い、そして旧友を懐かしむという流れを作っているのです。詳しくはブログ「うたことば歳時記」で検索し、「唱歌『ほととぎす』」をご覧下さい。
【エムズの片割れより】
読みました。なかなか学術的な分析(解説)で・・・
投稿: miik3 | 2015年6月20日 (土) 19:46
戦後生まれの私は素晴らしい歌を久しぶりに聴きました ホトトギスのCDが出たら購入したいです 暗路は時々ギターで弾きますがこれがホトトギスとは! 鮫島有美子様お願いします
追記:鮫島様のコロラドの月はハワイアンの歌と違って悲哀を感じます これが私は大好きです
【エムズの片割れより】
「コロラドの月」をNetで聞いてみました。旋律は知っていました。アメリカの歌なのですね。
投稿: BIN | 2016年1月29日 (金) 21:03
暗路(歌:鮫島由美子)やっと見つけました
ウォークマンに入れて楽しんでいます
タイトル ローレライ の中に入ってました
やっとホトトギスをゲットしました(68歳)
投稿: T.M.ne.jp | 2017年7月13日 (木) 19:07
エムズ様
懐かしい曲に出会えて感無量です。
~小暗き夜半を~ひと声いずこ 啼くほととぎす~
何の脈絡もなしにふっと思い浮かぶ旋律と歌詞です。転調の部分が印象深かったのでしょう。
昭和21生まれの私が中学2年の時に音楽の教科書で出会いました。
こうして お2人の歌を聴いていると
あの当時の自分に還れます。
音楽室への渡り廊下を吹き渡っていた風の感触さえもが甦ります。
【エムズの片割れより】
音楽は時代を越えさせますね。
投稿: りんご | 2017年7月14日 (金) 09:41
1年前に16ギガのウォークマンを買いましたが
残り1ギガになりました。
どの曲を削除しようかなと今、検討中です
投稿: TM | 2017年11月 8日 (水) 20:49
昭和26年生まれの私も懐かしく思い出しています。
私がまだ小さく、家がラジオしかなかった頃、『伸びゆく若葉』というNHKのラジオドラマの主題歌として流れていました。家族はみんな楽しみにして聴いていました。ですから物心ついた頃からこの曲とドラマの題名は、生涯身にしみついて忘れられないものとなっています。
後で知ったのですが、番組はNHK盛岡放送局制作で、農村向けのドラマとして作ったものだということでした。当時盛岡放送局を受信できたところは、みなさん同じような思い出があると思います。
これも後で知ったことですが、この番組は昭和26年から12年間ほど、600回も続いたということで、あの地方局で、こんなに偉大な番組だったのかと驚いています。
曲名は『暗夜(やみじ)』と『ほととぎす』の両方同時に覚えたと記憶しています。今も時間を見つけては楽器で吹いています。
【エムズの片割れより】
誰も、ラジオしか無かった時代の番組は、覚えていますよね。
ふと、安西愛子・松田トシの「歌のおばさん」を思い出しました。
投稿: 高橋虫麻呂 | 2020年2月 9日 (日) 17:47
近藤朔風は英独伊3か国語がペラペラで、当然、原詩は熟知していました。また明治時代に原詩(特に恋愛詩)の内容を無視して日本の風物や忠君愛国の歌詞を当てはめた歌が多かった時に、原詩に近い歌いやすい訳詞を始めた先駆者です。
ただ、この歌の場合、一番のホトトギスに類似した箇所は原詩には皆無なので、この場合は「作詞」に近い作品と考えたほうが良いでしょう。
また1番も原詩では「別れた友」よりも更に強くシリアスな「死んだ恋人」のような内容ですので、(彼女の声はそよ風に中に生き続けている…等)、やはり原詩とは別の創作として味わいたいと思います。
蛇足ながらワタクシメが中学生(!)の時に英語の辞書と首っ引きでデッチあげた試訳を…
別れし日より 早や幾歳ぞ
忘れ得ぬ我が 心ぞあはれ
そよそよ風の中 君が声して
心はるけく 帰り来ん
夢の海原 遥かに遠く
君が微笑み 我を離さず
オソマツデシタ!
【エムズの片割れより】
(滅多に無い!?)アカデミックなコメントをありがとうございました。
勉強になりました。
投稿: 通りがかり | 2020年10月 5日 (月) 00:36