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2014年3月22日 (土)

おぞましい入管の強制送還での殺人

最近、このニュースほどおぞましさを感じたニュースはない。自分は、あえて殺人事件と呼びたい。
「(社説)強制送還 死への経過、再検証を
 日本で20年以上暮らし、日本人の女性と家庭を築いていた。
 だが入管は、在留期限が切れたとの理由で拘束し、猿ぐつわをして国外に出そうとした。
 その途中、このガーナ人男性は死亡した。4年前に成田空港で起きた事件をめぐり、東京地裁は入管の責任を認めた。
 入管職員による過剰な制圧が男性を窒息死させたと断じた。硬直した入管行政を考え直す契機とすべきだ。
 この強制送還の手続きで、いったい何が起きたのか。だれが責任を負うのか。法務省は再検証をしなくてはならない。
 同省は、本人の持病による病死と主張し、入管職員の制圧に問題はなかったとしていた。
 だが判決は、男性は飛行機内でほとんど抵抗しておらず、入管の制圧のやり方は違法だったと結論づけた。
 千葉地検は2年前、職員たちの不起訴処分を決めている。今後の検察審査会の判断を待つまでもなく、検察は見直し捜査を始めるべきだろう。
 そもそも入管の手続きは、外部の目にさらされることが少ない。国内の容疑者らの拘束をめぐる刑事手続きと同様に、きちんと監視の目を行き届かせる仕組みを検討すべきだ。
 国外退去を命じられる人の中には、在留期限を過ぎてはいるが、犯罪に手を染めることもなく、仕事や家族などを通じて日本の社会にしっかり根をはった人が少なくない。日本で教育を受けた子をもつ人もいる。
 様々な事情を抱える人びとを一律に犯罪者を見る目で扱うことは避けるべきではないか。
 退去の対象となっても、法相が特別に在留を認める制度はある。法務省は06年から、考慮される事情を示したガイドラインを公開しているが、認められるかどうかは当局の裁量にまかされている。
 事件後、法務省は本人の同意がない送還を控えていたが、その後再開した。以前は民間機で一人ずつだったが、現在では、ほかの一般客への影響を考慮して、チャーター機で一斉送還している。
 一人ひとりの事情を勘案するよりも、一つの便で多人数を送還する効率が優先されがちだ。在留を求め裁判を準備しているさなかに対象になったケースもあるという。
 どの国籍の人が、世界のどの地にいても、人間としての権利をもつのは同じはずだ。多様な理由で日本に生活の基盤をもつ人びとを、できる限り受け入れ、共生する寛容な社会でありたい。」(
2014/03/21付「朝日新聞」社説より)

入局管理局のHPの冒頭にある言葉は・・・
「法務省入国管理局では,「ルールを守って国際化」を合い言葉に出入国管理行政を通じて日本と世界を結び,人々の国際的な交流の円滑化を図るとともに,我が国にとって好ましくない外国人を強制的に国外に退去させることにより,健全な日本社会の発展に寄与しています。」(ここより)

まさに「我が国にとって好ましくない外国人を強制的に国外に退去させることにより」という文言に、今回の殺人事件の背景・土壌が読み取れる。もともとそのようなことをする組織なのだ・・・
「我が国にとって好ましくない外国人」とは「ルールを守って」いない外国人。つまり今回のケースでは「在留期限が切れたとの理由」だ。
この社説でも言っているように、平和に日本人と20年以上暮らしていた人が、そんなに悪人か? それこそ、鬼の首を取ったように、猿ぐつわをして引き回すほどの悪人か?

最近、朝日新聞には、脱北者の談話が連載されている。どの話も、日本人では信じられないような、人権無視の話ばかりである。
しかしこの入管の殺人事件の話は、日本も決して人権的な先進国ではなく、一皮むけば、北朝鮮同様の人権無視の国家権力の実態があるということ・・・。
たまたま仕事として国家権力を握った人の暴力。そして、事実がバレれば、組織ぐるみで保身に走る法務省・・・。
日本人として、あまりに恥ずかしい事件であり、二度と聞きたくないおぞましい事件ではある。

140322bakugeki <付録>「ボケて(bokete)」より

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コメント

不法滞在は罪かもしれませんが、死刑と同じ結果になるほどのことですか?この事件は世界中に知られるべきです。人の命をなんだと思っているのでしょうか?アフリカ人だから軽い命とでも思っているのでしょうか。最悪ですね。江戸時代以前に戻って反省するべき。
日本ではまだまだ同じような野蛮人的価値観がいたるところにはびこっていると思います。COOL JAPANなんて嫌味なほど自慢してヘラヘラしている場合ではありません。

【エムズの片割れより】
今日(2016/01/18)の高裁の判決は「男性の死因は心臓疾患による不整脈で、入国管理局の職員に過失はなかった」とか・・・
日本の裁判官は、鑑定書で死因を“決定”するんですが、真の事実がどこにあるのか・・・。
所詮、裁判官も官僚。そして、うっかり格好良い判決を出そうものなら、直ぐに飛ばされる・・・。
とても民主国家とは言えない。それが今の日本ですね・・・

投稿: まま富士 | 2016年1月18日 (月) 17:51

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