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2014年3月28日 (金)

3軒分の実家の遺品を30万円で整理した話

空き家になった実家の3軒分の遺品(家財)を、市役所から紹介してもらった「一般廃棄物収集運搬許可業者」に頼んで30万円で廃棄した。今日は、その遺品整理の体験談である。

田舎でひとり暮らしをしていたお袋が、2年半前に老人ホームに移り、この正月に老衰のため92歳で亡くなった。
四十九日と納骨が済んだ後、誰も住まなくなった実家と家財をどうするかが次の課題となる。(この辺りのことは(ここ)に書いた)
我が家の結論は、ゴミ屋敷になる前に家財だけでも処分しよう・・・。

ウチの実家は、昔祖母が同居したときに持ち込んだもの、親父が亡くなった後、伯母が一緒に住んだときに持ち込んだものがあり、タンス類だけでも13個もあった。もちろん家電製品から台所道具、本や机からソファー、ベッドまで、まさに一通りのものがある。
さてどうしよう。幾ら子どもの時に住んでいた町とは言え、場所が離れているので、整理に通う訳にもいかない。もちろん現地の分別廃棄の方法も知らない。すると業者に頼むしかないか・・・

Netで「遺品整理」を検索すると色々な業者が並ぶ。費用の相場はどの位か? 雑誌には140328gomi 「・・・また遺品を含め、処分費は2tトラック4台分で100万円を超え・・・」(「週刊現代」2014年4月5日号p12より)という記述もある。Netには、1軒分35万円というものも・・・。
それに、カミさんの友人からの口コミでは、横浜で1軒分の家財道具を廃棄するのに60万円かかったとか・・・。
そこで思い出したのが、いわゆる生活保護者の孤独死の場合、市が業者に頼んで遺品を整理していたテレビの場面。そうだ、市に聞けば、どこか適当な業者を紹介してくれるかも知れない・・・。
さっそく、実家のある市役所のホームページを開く。廃品処理については「環境対策課」という部署が担当らしい。もしここに聞いてダメなら、生活保護の担当に聞こう、と思って、とりあえず「廃屋の家財の廃棄についての相談です」というメールを打ってみた。内容は、「両親が亡くなって、実家に誰も住まなくなったので、空き家になった実家の家財の廃棄をお願い出来る業者を紹介して欲しい」。
すると、早速次の日に、市役所から回答のメールがあった。「・・・不要な家具の搬出、処分でしたら当市の一般廃棄物収集運搬許可業者をご紹介させていただきます。・・・なお、ご参考までに市内にあります業者を記載します。<収集運搬業者 参考>・・・」
メールにあるアドレスに入ってみると、その市の「一般廃棄物収集運搬許可業者」のリストがある。市内だけではなく、周辺の市の業者も載っていて、どこが良いのか分からない。それで、メールに紹介のあった、2社のうち、1番目の実家に近い会社に電話をしてみた。
「市から紹介されて電話しているのだが、空き家になった実家の家財道具を全て廃棄したいのですが・・・」「やっていますよ。一戸建てだと、10万円位は掛かってしまうが・・・」
予想より、はるかに安い! さっそくお願いする事にして、今後の段取りを相談・・・。

かくして、約束した日時に実家で現場調査。業者が2人来て、各部屋を廻り、「家の中だけでも4トントラックで2台半から3台分はあるな・・・」。
「市から「処分の際はトラブルを未然に防ぐためにも,立会いをお勧めいたします。」と言われているのだが・・・」「とても1~2日では終わらない。付き合うのは大変だよ」「では鍵の隠し場所を教えるので、日程はそちらの都合でやってくれる?」「そうしましょう。それに消費税の関係があるので、3月中に終えた方がお互いに良い。来週から始めましょう・・・」

ちなみに家の広さは、平屋建てで7部屋120㎡位、それに別棟で13㎡(8畳弱)ほどの納屋(物置)がある。
廃棄したものを列記してみると、洋服ダンス2個、整理ダンス7個、茶だんす(食器棚)3個、押入ダンス1個、ベッド2つ、机2つ、椅子5つ、金属書類ロッカー1つ、本棚5つ、その中の本数百冊、仏壇2つ、鏡台1つ、椅子型マッサージ機(これが重い)1台、石油ストーブ2つ、テレビ台とビデオ類、応接セット(ソファー3つとテーブル)、下駄箱と靴類、冷蔵庫2つ、洗濯機2つ、ガスコンロ、電気ポット、電子レンジ、電気釜、鍋類、ステンレス浴槽、風呂釜、布団類(3.5間分の押し入れ)、庭の植木鉢数十個、等々。その他に納屋の中にもコタツ2つ、タンス1つ、そして本が多数・・・。
まさに3軒分の家財があった。業者もその多さにビックリしていたが、一緒に住んでいた伯母が持ち込んだ、と言うと納得してくれた。

業者とは逐次電話で連絡を取り合ったが、片付けはこんな状況で進んだ。
・まず「産業廃棄物処理委託契約書」が郵送されてきた。200円の収入印紙を貼った正式の契約書で、廃棄物を持ち込む各種の最終処分業者の社名・住所も載っていた。
・期間的には丸2週間かかった。正味でも4~5人で6日かかった。特に別棟の半屋外の納屋は予想以上に大変で、2日もかかり、ムカデとの戦い・・・。中にあった本はボロボロでリサイクルが無理なため、ゴミに。
・タンスなどの木製の家具は庭でバラしてトラックに積み込み、木くずとして処分場に持って行く。木はシュレッダーでチップにして再利用するらしい。今回は木くずだけで1トンもあった。
・全てを分別して、一般ゴミと産廃に分けて出す。布団は可燃ゴミで、衣類はリサイクルに出した。衣類でも、ストッキングや毛布などは資源にならないので、一般ゴミで出す。
・鏡台や額などのガラス類はすべて外して、陶器クズと一緒に不燃ゴミの日に出す。
・本は資源ゴミとして紙屋さんに納品するので、お金はかからない。ほとんどが分別の手間代・・・。
・家具を運び出したあとの、掃除もキチンとされていた。

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結果、業者さんが言うには、納屋も含めて3軒分以上の家財があったが、普通にトラック1台幾らで計算すると大変な金額になるので、今回は手間代(人工)として計算して、安くなるように努力します・・・。
そして送られて来た請求書は、「30万円はかからないと思うけど」と言っていたのを守ってくれて、見積が33万円だったが、値引きをしてくれて、ちょうど30万円だった。予想よりも遙かに安く済んだ。
それにしてもビックリしたのは、それぞれの項目の最終処分業者の領収書がすべて、請求書と一緒に同封してあったこと。廃棄した重量も最終業者に払った処理金額も・・・。もちろん冷蔵庫等の家電リサイクル券の領収書まで・・・。このキチッとした仕事ぶりには驚いた。(実際に検討する方の参考に、資料を(ここ)に置きます)

<今回のポイント>
・市役所から何とか“推薦の業者”を教えて貰う。
・どの市でも、必ずゴミ収集のための「一般廃棄物収集運搬許可業者」が登録されており、市と業者との関係は深い。そしてたぶん業者は市には弱い・・・。(市は「あくまでも個人の責任で業者を選べ」と“建前”を言うかも知れないが、粘る・・・。どうしても紹介してくれない場合は、市のリストの1番目? または現地と住所の一番近い業者?)
・業者への連絡は、必ず「市役所から紹介されたのだが・・・」と言う。(何かあったら、市役所に駆け込んじゃうぞ!?)
・事前に家族で家財道具を調べ、必要な物はあらかじめ回収しておく。通帳やアルバムなど。
・当日は、出来るだけ立ち会う。「これは取っておく」「これは棄てる」の判断。棄てた後で取り返すことは100%無理。今回は、「建具と電灯以外は全て廃棄」と分かり易かった。
・遠方の場合は、実家の鍵の隠し場所を教えて、業者の都合に合わせてやって貰う方法もある。それでも進捗状況は電話で確認。特に費用面は逐次確認しておいた方がよい。予想以上に多かった、等の状況変化があるので。今回も納屋で予想以上に苦戦。
・事後は必ず現地を確認する。処分し忘れ、等があると困るので・・・。もちろん費用の支払い前に。
・もし頼んだ業者に満足した場合は、市役所に紹介のお礼のメールかFAXを入れましょう。これが業者にとって励みになるし、誠意を持ってやって頂ける動機付けになる。(電話は感謝の気持ちが直ぐに消えてしまうので避けたい・・・)

(感想)
・費用については、最初の電話では「1軒だと、10万円位かかる」から始まったが、タンス13個でも分かるように、確かに我が実家は3軒分以上の家財があった。結局、「30万はかからないと思うけど・・・」という電話での話をムリに守ってくれた。4~5人×6日間という規模の割には、満足。たぶん、一般の遺品整理屋さんでは100万円はかかったかも・・・(後日の電話で、「金属類を処分した(売った)お金が見積に落ちていた。6千円位だが、戻す」と言うので、「値引きまでして貰ったので、そのお金は戻さなくて結構です」と言った)
・Netでは、実家の場所を営業範囲とする業者が見つからなかったために市役所に頼ったが、結果として市役所登録の業者に頼んで良かった。業者も、バックに市がいるとヘタなことは出来ない。
・業者は、タンス・ベッドから台所の油、醤油まで、あらゆるものを分別するのが一番の仕事。そして電化製品、本、衣類、木くずなど、リサイクルできるものはそれぞれの扱い業者に引き取って貰い、ゴミは分別して市のゴミ処理場で廃棄する。引っ越し業者はただトラックに積んで運ぶだけだが、廃棄業者は、自分で分別してからトラックでそれぞれの最終処分業者まで運んでくれる。頭が下がる・・・ (繰り返しになるが、市登録の業者は、「収集運搬許可業者」とあるように、分別と運搬だけをしてくれる透明性の高い仕事。「家財の分別」と「家と処理場間のトラックでの“引っ越し”」をしてくれる)
・実家の遺品整理(廃棄)で、我々素人は、家財道具の圧倒的な物量に、まずたじろぐ。自宅でさえ分別・廃棄に気が重いのに、実家の大量の家財道具の分別など、初めからあきらめた方が良い。そして必要な物だけは引き取って、残りは全て地元の業者に頼んで、問答無用で捨てて貰った方が、気が楽。
・キレイになった実家を見て、本当に助かった、と思う。市の「一般廃棄物収集運搬許可業者」さんは、まさに“人助け”の仕事なのである。

(参考)Wiki「一般廃棄物」より
一般廃棄物の収集・運搬および処分は、市町村に処理責任があり、市町村自らが行うのが原則である。(法6条、6条の2)
ただし、市町村で行うことが困難な場合に限り、市町村長は一定の要件を満たした業者の申請により、ごみ処理基本計画に基づいて一般廃棄物処理業の許可を与えることができる。(法7条5項および10項)

(関連記事)
親の遺品整理について思うこと~心の澱 
実家の空き家を「業者買取」で処分した話 

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コメント

※はじめまして
記事とても参考になりました。
私、今、困っている真っ最中です。
終わりましたら、同じように悩んでいる方への
役に立てればと思っています。
ありがとうございます。

【エムズの片割れより】
先日、同じように処分された方から報告のメールを頂きました。
それによると、行政のHPから見付けた業者3社にあたったところ、35万円から16万円と差が出たそうです。結局16万円の所にお願いしたとか。
業者さんには悪いですが、下記のようなコツ?がある気がします。
・市役所に言う時に、もし紹介を渋った場合は、「他の市では、紹介してくれた!」と粘る。
・そして業者さんへの最初のアクションは、「市から紹介して貰って電話している」と力説することが大事。
・業者さんは、“市のご機嫌(評価)”は非常に気になるらしいので、事ある毎に「市に後でお礼をしなくては」と市をちらつかした方が、ちゃんとやってくれるかも・・・
・実際に、自分の場合は、後で市に紹介のお礼のメールを送り、業者さんにもそのFAXを転送して、「市にこんなお礼をしました」と感謝の意を表しました。
・値段も含めて、“自分の背後に市がいる”ことはちらつかせた方が、良心的にやってくれるような気がしました。図々しいですが・・・

投稿: もとくり | 2017年3月10日 (金) 07:38

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