“報道”を自分の目で見ることの難しさ・・・
最近どうも、“報道”を自分でどう受け取るか・・・について、思うことが多い。テレビや新聞の報道を「信用出来ない」とするにしても、それでは真実をどう知るか・・・
下記にふたつの記事を挙げる。
「(Media Times)新会長発言、報道に開き NHK、国会の模様だけ紹介
NHK新会長の籾井勝人氏が就任会見で、従軍慰安婦問題や首相の靖国参拝などに関して「持論」を述べたことについて、大手メディアの間では報じ方に違いが見える。また、NHK自身は会長発言について、国会で取り上げられる模様を紹介する形にとどめている。
■連日伝える民放も
NHKは会長の就任会見があった25日夜のニュースで、籾井氏が「不偏不党や公平をうたった放送法の順守に努める」などと述べたことを紹介した。だが従軍慰安婦や領土問題など、政治的中立性が疑われるとして各メディアが報じた発言は伝えなかった。
28日夜のニュースで、民主党の海江田万里代表が衆議院本会議で、籾井氏の従軍慰安婦についての発言をただしたことを伝える形で、初めて報じた。
籾井会長が参考人として出席した31日の衆院予算委員会については中継し、同日夜7時のニュースで放送。特定秘密保護法について籾井会長が「まあ通っちゃったんで」などと発言したことを民主党の原口一博氏が「放送法第4条に違反する」と指摘し、籾井会長は「何回も聞かれたので私見と断った」「非常に不慣れであったこと。これは誠に申し訳ない」などと答えた模様を伝えた。
籾井氏の発言についてのNHKの報道姿勢について、同広報局は朝日新聞の取材に「会長は、個人的な見解を放送に反映させることはないと述べている。報道にあたってはこうした点を踏まえ、適宜、判断している」と文書で回答した。
民放はどう報じたか。
テレビ朝日広報部によると同局は27、28日、朝や夜の5番組で籾井会長の発言について取り上げた。
TBSは26日から31日までほぼ連日、昼と夕方のニュースで報道している。
フジテレビは27日夕方のニュースで取り上げ、日本テレビは31日のニュースで籾井会長が発言について陳謝したことを報じた。
■各紙社説、批判と擁護
朝日新聞は就任会見の翌26日から1面や社会面などで連日、籾井会長の発言について報じてきた。
28日の社説では「(籾井氏は)政府の立場に寄り添うような発言を繰り返した。(中略)NHKが向くべきは政府ではなく、受信料を納める国民の方である」と指摘した。
毎日新聞は26日朝刊1面で「政治的中立を疑われかねない不用意な発言」とするなど連日記事を掲載。29日朝刊では、公共放送のあり方についても「政府見解と正反対の事実についても取材を重ね、伝える義務があり、それには政治との距離が問われる」とした。
東京新聞も「公共放送トップ見識疑問」(26日)、「揺らぐ『政治的中立』」(28日)などの見出しで展開。社説では「どこかの専制国家の国営放送のように、権力側の言い分を押し付けるのなら存在意義はない」(同日)と批判した。
読売新聞は26日朝刊で尖閣諸島などの領土問題や慰安婦問題の発言内容を紹介。30日の社説では「元慰安婦への補償問題は、1965年の日韓請求権協定で法的には解決している」などと、籾井氏の見解に理解を示した。
産経新聞は26日、「NHKのボルト、ナットを締め直す」という籾井氏の発言を引き、「偏向是正へ問われる手腕」と展開。30日、社説にあたる「主張」で国際放送において「国益に沿った情報発信を行うのは当然の姿だ」とした。(清水大輔、今村優莉)
◆NHK、公共性否定 林香里・東大大学院教授(ジャーナリズム研究)の話
NHKは就任会見を伝えるニュースで籾井氏の発言を報じなかった。視聴者への役割を放棄したのか。あたかも(政治的中立性が疑われるような)発言がなかったかのような報道の仕方に驚いた。価値判断をするしないはともかく、言及したことは触れるべきで、報道機関としての公共性を否定したに等しい。
◆民放、腰引けている 碓井広義・上智大教授(メディア論)の話
NHKは、国の統制からも距離を置くべき報道機関だ。だが籾井会長の発言は、NHKが国営放送の道を進むのではないかと心配になる。これを報じた新聞各紙は、濃淡はあるが一定の批判をしている。一方、民放は腰が引けている。公共放送トップの発言が安倍政権とほとんど重なっていることへの危機感が足りない。」(2014/02/01付「朝日新聞」p37より)
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「(池上彰の新聞ななめ読み)取材される立場になって 「裏を取る」大切さ再認識
一方の当事者からの取材だけで原稿を書いてはいけない。私が新人記者時代に叩(たた)き込まれた原則です。今回取材される側になって、その大切さを再認識しました。
1月10日付の産経新聞(東京版は朝刊のみ発行)に「都議会自民が舛添氏推薦 細川元首相、出馬を検討」という見出しの記事が出ました。本文には、次のような文章が掲載されていました。
〈細川氏周辺によると、細川氏は今年に入ってジャーナリストの池上彰氏(63)と会談し、出馬を打診したが、池上氏は逆に「細川氏が出た方がよい」などと立候補を促したという〉
これには驚きました。記事は伝聞調。「促したという」になっています。新聞記者だったら、伝聞調の記事など書かず、本人に直接当たって確認をとるものだと思っていたのに、私への取材がないままの記事だったからです。
ジャーナリストが、選挙で特定の人物に立候補を促す。中立であるべき立場の者が、決してやってはいけない行為です。心外な記事でした。
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事実は以下のようなことです。
私は去年暮れに『池上彰が読む小泉元首相の「原発ゼロ」宣言』という本を出しました。この中で細川護熙氏にもインタビューしようとしたのですが、私の都合がつかず、編集者が代わって話を聞きました。お礼とおわびのあいさつをしなければと思っていたところ、細川氏から人を介して「会いたい」という話がありました。これはチャンス。1月6日、東京都内のレストランで食事をご一緒しました。このとき細川氏から「都知事選挙に出ませんか」との発言が出ました。私は、「出ませんよ。当日は都知事選挙のテレビの特番に出るんですから」と答えた上で、「それより細川さん、あなたこそ選挙に出るのではないかと週刊誌が書いていますが、どうなんですか?」と問い返しました。
この部分のやりとりが、産経の記事で「細川氏が出た方がよい」となってしまったのです。「細川氏周辺」は、「池上に促されたから選挙に出る」ということにしておくといいと考えた人がいたのでしょうか。だとすると、それに乗せられた記事です。
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この記事が出ると、真っ先に読売新聞の記者から、続いて朝日新聞、NHKの記者から、事実関係確認の取材がありました。事実を説明すると、「なーんだ」と、記者たちも納得してくれました。
ところが11日付の朝日新聞朝刊の記事でも〈細川氏に「立候補を」、池上氏からも提案〉と出てしまいます。どこで行き違いがあったのか。産経新聞と同じニュアンスになってしまいました。
この後、東京新聞の記者は、綿密な取材にもとづき、私に関する部分についての事実関係の確認を求めてきました。業界用語で「裏を取る」という行為です。基本に忠実な取材態度でした。
ところが産経新聞は、1月12日付でも、こう書きました。
〈細川氏が白羽の矢を立てたのはジャーナリストの池上彰氏。説得を進め、6日には直接会って出馬を要請したが、逆に自らの立候補を促された〉
伝聞調が消え、断定されてしまいました。
このままでは、産経の記事が独り歩きしてしまう。産経の記者に事実関係を説明しておこう。産経新聞東京本社の代表電話にかけたら、12日は日曜日。留守番電話です。さて、困った。おっと、社会面に「ニュースはこちらへ」とメールアドレスがある。ここにメールを送りました。何の反応もありません。困惑して、休み明けの14日と15日の2回にわたり、東京都庁記者クラブに詰めている産経新聞記者に、都庁の代表電話経由で連絡。「事実関係を説明したいので担当者に連絡を取りたい」と伝言を依頼しました。
それ以降、私は産経新聞記者からの連絡を待っているのですが。」(2014/01/31「朝日新聞」p17より)
これらは「朝日新聞」の記事なので、まあ“それなり”の観点で読む必要はあるものの、要はマスコミの報道姿勢で、かくも書いている事が違う、という事実。
分かり易く“左右”で言うと、朝日/東京と産経が左右の両端に位置付けられているようだ。
どうも自分は、“扇動”に弱いらしい。家では、カミさんが言っていたことを、自分が知らぬ間に“自分の言葉”として喋っている・・・、というのがカミさんの自分評。つまり自分の考えなど無く、カミさんが言うことが知らぬ間に自分の体に染み込んでしまい、それをあたかも自分の意見としてしゃべっているようなのだ・・・。自分ではそんなつもりは無いのだが・・・。しかしこれは、自分がテレビニュースや新聞報道に簡単に踊らされる、ということを意味している。よって怖いこと・・・。
つまり自分は、新聞は日経と朝日、ニュースはもっぱらNHKしか見ないので、その毒に侵されている・・・??
打開策はある。朝日新聞の反対側にある産経新聞も取って、一緒に読む事だ。すると左右混ぜこぜになって、バランスが保たれるのかも・・・。でも朝日以外は読んでいて面白くない。どうも記事に反発してしまうので・・・。
スポーツ紙で、巨人ファンは報知を読む。それは巨人側に立った書き方なので、巨人ファンとしては読んでいて楽しいから・・・。自分にとっての朝日も、まあそれと同じようなものかも・・・
サーテ、それにしても偏向報道(?)からどう我が身を守ろうか・・・。まあ、そもそも自分も偏向しているので、偏向×偏向=正常・・・かも知れないが・・・!??
まあバカなことを言っていないで、まずは「報道の半分はウソ」との前提で報道に接するしかないな・・・。
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