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2014年1月21日 (火)

「脱原発」と「秘密保護法の撤廃」~地方議会の意見書

今朝の朝日新聞の「天声人語」は、こんな記事だった。
「「お呼びでない」は、いわずと知れた故植木等(うえきひとし)さんのギャグである。お門違いな場にしゃしゃり出て、お門違いなことを言い、そこにいる人たちから白い目で見られる。そのときに繰り出すセリフだ▼こんな一片の紙など、お呼びでないよ。国はそう言い捨てるのだろうか。「脱原発」を求める意見書を可決した地方議会が、全国で455にのぼっている。おとといの本紙が報じた。地方自治法に基づくもので、衆参両院の議長や首相らに出す▼たとえば高知市議会は3・11直後に動いた。原発は安全面で「技術が未確立」、自然災害にも「無防備」だとして、政策の抜本的見直しを求めた。長崎県議会は「放射線の恐ろしさを経験した被爆地として」原発に頼らない社会づくりを訴えた▼拘束力はない。受け取った側に回答する義務があるわけでもない。国策であるエネルギー政策によけいな口出しをするなと反発する政治家や官僚もいるかもしれない。それでも全国の3割近くの地方議会が声をあげた事実は重い▼電力供給のあり方は地域住民のくらしに直結する。放射能の危険は原発に近い自治体だけの問題ではない。住民を代表する議員が、政府と電力会社と立地自治体にまかせきりにせず、自分たちで考え、行動しようとするのは当然だろう▼声のあげ方はさまざまでいい。こうした動きは日本の民主主義を分厚くする。お呼びでないといわれても、植木さんよろしく「こりゃまた失礼いたしました」と引き下がる必要はない。」(2014/01/21付「朝日新聞」「天声人語」より)

上に出てくる意見書の記事を、改めて読んでみる・・・。
「「脱原発」の意見書、455地方議会で 原発事故後
 東京電力福島第一原発の事故後の3年間で、全国の455の県や市町村議会が、原発に頼らず電力供給する「脱原発」を求める意見書を可決したことがわかった。都道府県を含めた全自治体の3割近くに達し、大半の意見書が、原発に代わって太陽光や風力など自然エネルギーを大幅に増やすよう求めている。
 「脱原発」は23日告示の東京都知事選で争点になっているが、全国各地の地方選挙でも重要テーマとなる可能性がある。
 国会に提出された地方議会の意見書を、朝日新聞が独自に集計した。参院事務局によると、原発・エネルギー問題の意見書は、事故後の3年間で計1475件あった。このうち、賠償や汚染水対策などの意見書を除き、「脱原発」を求めているものを調べた。
140121ikensyo  都道府県別では、泊原発がある北海道が54自治体と最も多かった。原発事故の起きた福島と隣り合う山形は25、栃木は22、茨城は19。伊方原発のある愛媛のとなりの高知は23あり、県内の自治体の過半数に達した。原発が多く立地する福井のとなりの京都も17あった。原発の立地県に隣り合う府県で「脱原発」の意見書が多いのが特徴だ。
 「安全性の未確立な原発依存の見直し」(高知市議会)、「原発に依存しない社会への転換」(東京都国立市)、「原発ゼロをただちに求める」(埼玉県深谷市)など、提出された意見書はエネルギー政策の大幅な転換を訴える。原発からの「撤退」や「脱却」などと、わかりやすい言葉を掲げる意見書も目立つ。
 意見書は、地方議会の議員が提案し、議会内で討論して可決される。平和・非核団体などが議員に呼びかけることもあり、可決された文書の数や内容は、地域によってばらつきがある。
 事故前まで、自治体はエネルギー政策を国に任せてきたが、事故後は住民の安全を守る立場から国に意見する事例が増えている。(中川透)」(
2014/01/19付「朝日新聞」p1より)

これは「脱原発」だが、前に「秘密法」についても同じような記事があった。

秘密保護法の撤廃・凍結、41議会で意見書可決
 昨年12月に成立した特定秘密保護法に対し、40以上の地方議会が成立後に撤廃や凍結を求める意見書を可決していたことが、参議院事務局への取材で5日、分かった。特定の法律に反対する意見書がこれほど多く可決されるのは異例だという。
 同法を巡っては、成立前にも北海道釧路町など各地の地方議会が廃案や慎重審議を求める意見書を可決していた。
 意見書は地方自治法に基づき、地方議会が国会や行政機関に提出する書面で、回答義務はない。撤廃や凍結を求める意見書は昨年末までに北海道や福島、長野、沖縄など14道県の41市町村議会で可決され、参院が受理した。衆院や首相官邸などにも同じものが送られているとみられるが、衆院は国会閉会中は受理しないことになっている。
 抜本的見直しや慎重な運用を求めたもの、反対を表明したものなどを含めると、同法に関する意見書を可決した議会は参院受理分で、岩手、新潟両県議会をはじめ、17都道県の68議会に上る。これ以外にも、可決されたが年末年始の休みのため未受理の意見書もあるとみられる。〔共同〕」(
2014/01/06付「日経新聞」p42より)

言うまでもなく国会議員は国民の代表であるが、同様に地方議員も国民の代表。つまりどちらも国民の代弁者なので、言うことは同じはずだが、政権・国会のやっている方向と、地方議会の方向は全く違う。特に秘密法に関しては、「成立後に撤廃や凍結を求める意見書を可決」していることは重い。普通は、成立前は色々な動きがあっても、いったん成立してしまうと、潮が引くように議論は下火になるのが常・・・。しかし今回の秘密法は違う・・・。成立後の動きなのだ。

話は変わるが、沖縄の辺野古反対の現職市長が、名護市長選で勝った。これこそ民意。しかし政権はそれをも無視する構えで、調査の入札を発表したという。
確かに、民意だけで政治を行うことは出来ないかも知れない。ポピュリズム(大衆迎合)には限度がある。しかし、真に必要な施策であれば、心ある人は理解するもの・・・。そして歴史という裁判で、勝つ。
しかしこれほどハッキリと民意が反対であるにもかかわらず、一方的に「理解を求めていく」と言いながら突き進む現政権の姿勢はどうなのだろう・・・。そこには「もし理解が得られない場合は引っ込める」という姿勢はみじんも感じられない。永遠に「理解が得られるまで・・・」と言い続け、突き進むのだろう。そして歴史という法廷でどのような判決を受けるのか・・・

原発に関しては、自分の心も揺れている。昔、原発の仕事をしたことがあるので、どうも原140121iten 発反対と言うのに抵抗がある。でも、前に「福島第一原発4号機~東京を救ったのは、東電の工事の不手際だった」(ここ)という記事を書いたが、もしこの不手際という偶然が無かったら、米国が自国民に対し80キロ以内からの待避勧告をしたと同様に、「50キロ圏内は速やかに避難。汚染レベルが高くて移転を求めるべき地域が110キロまでの範囲の中に生じる。移転希望の受け入れは200キロ圏が対象になる」となっていただろう。これは福島市もとより、水戸・仙台・山形市も移転。そして東京23区ギリギリのさいたま市、そして新潟市、前橋市近くまでが、希望者は移転の対象・・・という事態。

まさに小説の「日本沈没」なみの事態が有り得た、という事実。それを思うだけで、先の太平洋戦争同様、もうこりごり、と思うのも自然・・・。

政権の手先に成り下がっている国会議員に期待するつもりは毛頭ないが、地方議会が民意を汲んで決議をしているこれらの動きに、やりたい放題政権にブレーキをかけるエネルギーを感じ、日本の将来に少しだけ明るさを期待したいが、どうだろう・・・。

(関連記事)
福島第一原発4号機~東京を救ったのは、東電の工事の不手際だった 

140121simasen <付録>「ボケて(bokete)」より

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コメント

名護市長選挙を勝ち抜いた稲嶺さんと名護市民のみなさんに本当に頭が下がります。
「 安全保障はお国がきめること」札束で顔を打つ行為に等しい「沖縄振興アメ」のばらまき・・・・人間の尊厳を試すがごとき安倍政権の攻撃に怯まないその姿勢に心うたれます。
 今回はわずかなカンパを送ることしかできませんでしたが自分のできることを探してゆきたいものです。人の足を踏みつけておきながら、「そんなつもりはありません」。「痛い」といっても踏みつけている足をのけることをしないのが安倍政権の常識のようですが。
 
【エムズの片割れより】
都知事選で、政権に対する批判票が多く出ると良いのですが・・・

投稿: todo | 2014年1月22日 (水) 04:40

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