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2014年1月16日 (木)

「年収630万円で親へは最大41万円」~大阪市の生活保護仕送り基準

だいぶん古い記事だが、先日、Netでこんな記事を見つけた。
年収630万円で親へは最大41万円 大阪市の生活保護仕送り基準巡り賛否両論
  生活保護受給者の親族が仕送りすべき援助額の「めやす」を大阪市が作り、その概要を報道発表した。親族の年収によってめやすを決めており、ネット上では、その内容について賛否両論になっている。
  改正生活保護法が今国会で成立して、2014年7月の法施行から、行政が調査権限を持って、年収や資産などの報告を受給者の親族に求めることができる。
「色々な事情がある親族がいる場合も無視?」
  大阪市のめやすは、そのときに親族に求める仕送りの基準となるものだ。
  市の保護課が作った報道資料によると、市職員の平均でもある年収630万円の場合は、受給者の親に最大で月に3万4000円程度までの仕送りを求める。これは年間にすると、約140116siokuri 41万円の負担だ。また、年収1000万円の場合は、最大で月に4万9000円程度までの仕送りを求めることになる。
  資料では、母子家庭の子供の父親が仕送りすべき援助額も出している。これは生活保護を受ける場合は、親権がなくても養育費も出すべきということだ。
  子供が義務教育を受ける10歳なら、年収630万円で月に6~8万円、年収1000万円で月に10~12万円の仕送りが適当だとしている。
  市職員については、受給者の親族になっているときは、報道発表された13年12月12日の時点から仕送りを求めていくとした。市の調査では、10月末現在で対象者が156人いたが、仕送りしていたのは13人だけだった。橋下徹市長はこの日の会見で、「節約してサポートしてもらう」と職員の自覚を促した。
  こうした内容が報じられると、ネット上では、賛否が分かれる議論になった。仕送りの基準額を示したことについて、「合意するよう促すまでなら問題ない」「大阪市職員から手本を見せないとね」と好意的な声も出た。一方で、「色々な事情がある親族がいる場合も無視?」「成人後も個人の自立はありえないようだな」などと心配する声も上がっている。
「親族の続き柄や関係性などくんで額決める」
  報道発表時には、大阪市がさらに詳しく9段階ある年収ごとなどに説明したらしく、メディアごとに断片的な情報が流れている。
  報道によっては、受給者の兄弟でも、年収630万円で最大41万円の仕送りが求められるとされた。また、年収300万円なら親兄弟に最大で月に2万2000円も仕送りすべきと紹介したケースもあった。
  大阪市の保護課に取材すると、年収ごとなどの表があることを認めながらも、「数字の一人歩きが怖い」として、ホームページ上などで表を公開していないことを明らかにした。
  親と兄弟とで求める仕送り額を同じにするのか、親族間の関係がよくない場合はどうなのかについては、市の保護課では、こう説明する。
「確かに、親と兄弟では違う部分があります。また、親族間で何十年も連絡がないときは、関係を壊すことにもなりかねません。ですから、親族の続き柄や、関係性、経済・家庭事情をくんで、求める仕送り額を決めていきます。表は1つのツールとして使うだけで、仕送りを強制するものでもありません」
  親族が関係を偽るなどして協力を得られない可能性もあるが、「丁寧に話を聞いてお願いしていきたい」と言っている。
  厚労省の保護課では、大阪市のめやすについて、こう話す。
「年収だけでなく関係性なども考慮すると聞いており、特段間違いではないと思います。ただ、強制と受け取られる恐れもあり、画一的な対応がなされるなら望ましくないでしょうね」
  自らがめやすを示すことについては、「仕送りを求めるかは総合的な判断になりますので、その基準額を今後示すことは考えていません」と否定している。」(
2013年12月13日J-CASTニュース(ここ)より)

こんな記事を読むにつけ、行政(国)が益々“個人の心”の領域に入り込んでくる現状に、危惧を抱く。家族間の付き合いは実に難しい。“家庭の平均値”を出すことなど出来るはずもないのに・・・。
言うまでもなく、どんな家庭も、問題を抱えていない家庭など無い。つまりどんな理想的に見える家庭でも、ちょっと横から覗けば色々な悩みを抱えている。これは、“良い”とか“悪い”とかの問題ではないのである。
よって、貧しいながらも必死に働いて生きている人たちの、家族への仕送りの問題など、まさに両者の心の問題なのだ。良い関係であれば、幾ら苦しくても仕送りをするだろうし、良くない関係であれば、どんなに金銭に余裕があっても仕送りしないだろう。
そんなナイーブな“個人の心”の領域に、行政は表を作って「仕送り額」を指導するのだそうだ・・・。

先日別の記事で、こんな一文も見付けた。
「餓死者」が出る経済大国・日本。「悲劇」を防ぐ手段はどこにある?
電気、ガス、水道が止められ、冷蔵庫にはマヨネーズなどの空容器のみ……。そんな大阪市の団地の一室で昨年11月中旬、31歳の女性の遺体が発見された。死因は餓死か衰弱死とみられ、死後1~2カ月経っていたという。
報道によると、この女性は約4年前に生活保護の相談で区役所を訪れたものの受給には至らず、最近は「お金がない」と親族に訴えていたという。経済大国といわれる日本だが、餓死や孤立死などの悲惨なニュースは絶えることがない。生活保護に対する風当たりは強まり、行政による窓口対応の問題点も指摘されている。・・・」(
ここより)

行政は、安易に生活保護に逃げ込むケースを避けたいのだろう。しかしそれによって餓死者が出る可能性があるとすると、運用を緩めてでも絶対にそれを避けるべきでは?
つまりこの問題は、犯罪における「推定無罪」、または「疑わしきは被告人の利益に」という考え方のように、例え生活保護認定の基準が下がって“上がり~”の人が増えたとしても、餓死者は絶対に出さない、というスタンスが正しい気がする・・・
それによって我々の税金が多少高くなっても、それは国民が理解するのではないか、と思うのだが・・・。

140116otsuri <付録>「ボケて(bokete)」より

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