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2013年12月 7日 (土)

「政権のNHK支配 監視を」~12/6「秘密保護法案」デモ風景・各局の放映時間比較

先日の朝日新聞にこんな記事があった。
政権のNHK支配 監視を 露骨な人事、情報統制の発想
    メディア研究者・松田浩

 公共放送NHKが、安倍政権の“政治的人事”で、危機に立たされている。さきの経営委員人事で、安倍首相が新任の4委員を自らに極めて近い、“安倍一族”で固めたためだ。
 半世紀以上、NHKと政府との関係をウオッチしてきたが、このような露骨きわまる人事はみたことがない。これは単なる「お友達人事」の域を超えている。安倍政権による“NHK乗っ取り人事”とでも名づけるべきではないだろうか。
 12人の委員でなる経営委員会はNHKの最高意思決定機関で、会長の任命権限をもつ。その経営委に、憲法改正や歴史認識などで首相と政治信条を共有する委員たちが送り込まれた。さしあたり、来年1月に任期を迎えるNHK会長人事の行方が気になる。だが、それだけではない。伝統的に権力の意向を“忖度(そんたく)”することにたけたNHKの体質を考えれば、原発、教育、歴史問題、集団的自衛権などを報じる際の現場への萎縮効果は計り知れない。
 NHKの歴史は、政府・与党による介入の歴史でもある。だが過去、自民党は経営委員の人選には一定の抑制をみせ、国会同意をめぐり与野党間で大きくもめることはなかった。この流れを大きく変えたのが、第1次安倍政権だった。
 安倍首相は、菅義偉総務相(当時)とのコンビで首相を取り巻く財界人グループの一員である古森重隆・富士フイルムホールディングス社長(当時)を経営委員長に送り込み、「改革」を託した。古森委員長は自民党の要求通り受信料の値下げを断行する一方、編集権に踏み込む発言を行い、物議をかもしている。
 官房副長官時代の01年、従軍慰安婦を扱った番組の放送前に、NHK幹部らに持論を展開した上、「公正中立の立場で報道を」と指摘したのも安倍氏であった。
 参院選で一人勝ちし、国会のチェック機能が弱められたのをいいことに、政権の奢(おご)りは今、エスカレートしている。安倍首相は経営委員人事をテコに、NHKの直接支配に乗り出したのである。
 時あたかも特定秘密保護法案が衆院で強行採決された。共通して底流にあるのは、国民に与える情報をコントロールしようという安倍政権の発想である。
 かつて新聞記者出身の前田義徳会長がNHKを去るにあたって残した言葉が、あらためて思い出される。「政府の介入に大きく余地を残した現行放送法制の問題点を、諸君、どうか真剣に考えてくれたまえ」
 ただでさえ、日頃から政権寄りの報道が目につくNHKである。「みなさまの公共放送」が戦前と同じ「国家の公共放送」に変貌(へんぼう)することがないよう、視聴者・国民による厳しい監視の目が必要だろう。
     *
 まつだ・ひろし 1929年生まれ。メディア研究者。日本経済新聞社で25年間、放送担当の記者や編集委員を務めた。著書に『NHK 問われる公共放送』など。」(
2013/12/04付「朝日新聞」p31より)

メディア、特にテレビの力は大きい。「秘密保護法案」についても、政府の見解を主に伝えれば、素朴な国民は、賛成になるかも知れない。逆に国民のデモ風景をたくさん伝えれば、この法案には問題がある、という認識に立つかも知れない。
政権にとって、一番放送して欲しくない風景は、反対デモの風景だろう。益々国民の反対が増え、政権の支持率が下がる契機になるので・・・
そこで、国民のデモや反対集会などを、テレビ各局はどの程度伝えているのか・・・。タイムマシンシフトレコーダで、昨夜の各局のニュース番組のデモ風景の放映時間を測ってみた。(これは早送りでチェックしただけなので、正確ではない。もし抜けていたらゴメン)

★12/6「秘密保護法案」デモ風景・各局の放映時間比較
<NHK総合>
~延べ55秒
19:00「NHKニュース7」:25秒、
21:00「ニュースウオッチ9」:20秒

<日テレ>=延べ27秒
16:50「news every.」:15秒
23:58「NEWS ZERO」:12秒

<TBS>~延べ6分21秒
15:50「Nスタ」:1分06秒+20秒+1分36秒+1分18秒+1分25秒
23:30「NEWS23」:56秒

<フジテレビ>~25秒
16:50「スーパーニュース」:25秒

<テレビ朝日>~5分03秒
16:53「スーパーJチャンネル」:28秒+1分38秒
21:54「報道ステーション」:50秒+21秒+1分46秒

<テレビ東京>~30秒
16:52「NEWSアンサー」:30秒

明らかなのは、TBSとテレビ朝日が生中継を含めて積極的にデモや反対集会の風景を伝えていたが、他の局はこんなもの。報道の姿勢が良く分かる。自分の信じていた(?)NHKも、ま、こんなもの・・・。

ついでに、新聞とテレビの比較で、新聞の発行部数を調べてみた。
「2011年世界の新聞発行部数トップ10」ここ)によると、
1位 読売新聞(日本) 1000万部
2位 朝日新聞 (日本) 750万部
3位 The Times of India(インド) 380万部
4位 毎日新聞(日本) 350万部
5位 参考消息(中国) 310万部
6位 日本経済新聞(日本) 300万部

だそうだ。

一方、NHKの受信契約数はH25年10月末で「41,218,330」とある(ここ)。

つまり、4紙合わせても2400万、対してNHKは4100万。いやいやこの比較は間違い。新聞は1紙でも読む人は1~2人。対してNHKは子どもも含めて国民の大多数が見る。
つまり影響度は、新聞の比ではない。
そんなNHKが政府の道具と化したら、日本はどうなって行くのか・・・
仕方がないので、TBSとテレビ朝日に頑張って貰うしかないか・・・

昔のドイツ・ナチスではないが、「プロパガンダ【propaganda】(宣伝。特に、主義・思想の宣伝。)」という言葉が頭をよぎるこの頃である。

131207ashidematoi <付録>「ボケて(bokete)」より

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コメント

国民が無関心すぎるからこんな法案が可決されると思っていましたが、やはり戦争を経験したお年寄りが「恐ろしい時代に帰らなければいいが」と心配していました。見ず知らずのお爺さんが「戦時中ひどい目にあった。あの法案には反対だ」とお隣のお婆さんに話しかけたそうです。美容院に行っても皆、反対をしていました。なぜこうもあっさりと可決してしまったのでしょうか。岸、佐藤、安倍一族の巧妙な政治支配を許したくない人は沢山いるのではないかと思います。あの自公の議員の顔をしっかり覚えていたいと思います。

【エムズの片割れより】
自民党でも反対票が1つあったとか。でも“ケアレスミステイク”とのこと・・・

投稿: 白萩 | 2013年12月 8日 (日) 00:11

所謂ネトウヨに言わせれば、朝日・毎日は左翼新聞で売国奴。
テレ朝・TBSも同類。
そしてNHKは変更報道をする売国放送局だそうです。
こういう頭の連中が政権を支持するのだから首相もやりやすいことでしょう。
安倍個人や首相官邸のフェイスブックを見ても、この法案が簡単に通過した下地が分かります。
きちんと物事を見て、分析する力を養えない教育を推進した成果なのでしょうか。

投稿: 通行人 | 2013年12月 8日 (日) 19:08

通行人様
 TBS,テレ朝がほかのテレビ局に比べて頑張っていることはよくわかります。
新聞についてはちょっと違う感じをもっています。朝日は確かに日本の「良識」を示してきたと思います。しかし20年前 小尻記者が神戸で殺されてから紙面に萎縮がみられるようになり体制へのすり寄る姿勢がみられるようになりました。わたしは朝日の短歌欄が好きで購読を続けましたが小泉から安倍に代わったころ30年の購読をやめました。それまで「地方紙」としてみてきた{中日新聞ー東京新聞にきりかえました。いまは中日新聞の報道姿勢に満足していますし、励まされもしますし、私たち読者が中日新聞ー東京新聞をある意味で守らなくてはならないと考えています。あくまでも私の個人的意見ですが。

投稿: todo | 2013年12月 8日 (日) 20:30

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