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2013年11月28日 (木)

「甘やかされる民意」?

先日の日経新聞にこんな記事があった。

甘やかされる民意
 日本の財政が非常に厳しいことは誰もが知っているはずだ。しかし、今のところ再建のメドは立っておらず、ひたすら破綻への道を歩んでいるのが現状だ。
 どうしてこんなことになるのか。それは、民意が甘やかされており、その甘やかされた民意に沿う形で政治が動いているからではないのか。消費税を巡る議論を聞いているとその思いを強くする。例えば次のようなものがある。
 第1に「増税した分の使い道を明らかにせよ」「増税で社会保障がどう充実するのかを示せ」という意見が多くみられた。だが、増税に対して短期的な見返りを求めるのは「甘え」である。
 2013年度予算では、国の一般会計の歳出規模約93兆円に対して、税収などの歳入は約47兆円しかない(残り46兆円近くは借金)。消費増税は、基本的にこのギャップを埋めるために行われるのだから、それによって行政サービスの水準が高まることはないのだ。
 ところが、この「甘え」に応えて、政府は「消費税は社会保障の財源にしか使わない」と説明している。あたかも、消費税を上げれば社会保障が充実するかのような言いぶりだ。お金に色はついていないのだから、消費税分をどんな分野に充てると説明しても、結果としての全体としての財政の姿は同じである。社会保障の財源にするというのは、増税を受け入れやすくするための便宜上の説明にすぎない。
 第2に「消費税を上げると消費意欲が減退するのが心配だ」という声が聞かれた。しかし、消費増税は家計に負担を求めるものなのだから、ある程度消費が落ち込むのは覚悟すべきだ。
 しかし、政治はこの「甘え」にも応えて、5兆円の経済対策を決めた。歳入を増やしても、他方で歳出を増やしていては財政再建はできない。
 第3に「なぜ、こうなるまで放っておいたのか」という声も聞かれる。あたかも悪いのはこれまでの世代で、自分たちに責任はないかのような言い方だが、これも甘い。日本の基礎的財政収支(国債費以外の歳出と税収との差)は大幅赤字だが、このことは現世代が多額の借金をしていることを示している。
 本当の意味での政治主導というのは、民意に沿うだけでなく民意を正しい方向に導くことではないのか。(隅田川)」(
2013/11/27付「日経新聞」p7「大機小機」より)

これをどう読む? “甘やかされた民意に沿う形で政治が動いている”そうだ。
“2013年度予算では、国の一般会計の歳出規模約93兆円に対して、税収などの歳入は約47兆円しかない(残り46兆円近くは借金)。”という現実を思うと、今更ながら末恐ろしい。
しかし国民はそのことをあまり気にしていないように思う。でも皆薄々は感じているため、先の消費税増税議論についても「仕方がない」という世論調査だった。

さて、この事を政権側から見てみると、「改憲」「集団的自衛権」の議論や「秘密保護法案」の強行採決などは、およそ民意に沿っているとは思われない。
結局政権側は、自分が直接的に痛まない(将来世代に先送りする)国の借金問題は、国民に迎合し、真の野望、つまり安部帝国への道筋は決して譲らずに、突き進む。これが国民の選んだ政権の実態のようだ。

Netで「週刊朝日」のこんな記事を見つけた。
「・・・「秘密保護法案についての賛否を問う各種世論調査で、『慎重に審議するべきだ』が相当高いことは意識しています。しかし審議入りして、いろいろと問題点を指摘されても内閣支持率はほとんど変わっていない。ある程度、強硬姿勢を出しても大丈夫、とわれわれは判断しています」
 こう語るのは、ある自民党幹部だ。朝日新聞の最近の世論調査で、同法案を「今国会で成立させる必要がある」と答えたのは20%。「必要ない」は64%に上る。しかし内閣支持率は53%と、昨年12月の政権発足直後の59%とさほど変わらない。この数字が安倍政権の強硬姿勢を支えているのだ。・・・」(「
週刊朝日」2013年12月6日号(ここ)より)

もはや国民(特に投票率の高いシニア層)は、目の前の年金だけにこだわるのではなく、将来の日本人の生活(子供たちの未来)にも目を向けて政権を選ばなければ・・・。
そう思うこの頃である。

*今日の、広島高裁岡山支部の「7月参院選は違憲で無効」判決は、“いっとき(だけ)”の清涼剤・・・。

131128inunokazu <付録>「ボケて(bokete)」より

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