「マスコミが勝った選挙~テレビうらおもて」
タイトルと話は違うが、今日は浅野内匠頭の心情が良く分かった!!
実は、今夜、同僚の義母の通夜があり、行ってきた。話を聞いたのが今朝で、明日の葬儀は予定があって行けないので、会社帰りに行ったわけだが、行ってみてビックリ。95%の人が、真夏だというのに正装なのだ。自分の常識が覆った。通夜は訃報を聞いて、急いでかけつけた・・・という形なので、平服でも許される、と思っていたが、このところしばらく通夜に行く機会が無かったら、世の中、通夜も皆正装の時代に変わっていた・・・。上着を着ていない自分のような半袖シャツの人は1名見かけただけ。知った顔もいたが、そそくさと帰ってきてしまった。
それにしても、ひょんな事で、服装で自分だけ浮いている浅野内匠頭の心情が良く分かってしまった・・・。
さて、気を取り直して・・・(もっとも、さっきTVドラマの「半沢直樹」を見て、気分を持ち直したが・・・)
先日カミさんが買ってきた、駅で売っているホームレスさん支援雑誌「ビッグイシュー」221号(2013年8月15日号)にこんな記事があった。
「マスコミが勝った選挙~テレビうらおもて
作家、音楽評論家 伊藤悟
参議院議員選挙以降、初めての原稿になる。素朴に納得のいかなかったことを書きつらねたい。
参院選前からテレビ局はこぞって「ねじれ解消」がこの選挙の争点だと報じていた。投票が終わって出口調査で自民党大勝がわかると「これでねじれが解消されました」。そもそも二院制は、それぞれの議会の多数派が違って(=ねじれて)いてもかまわない、それで独裁が防げるという制度なのだから、ねじれを解消したいというのは政党だけの論理だ。実際ねじれていても過半数の法案は成立していて、まったく困った状態ではなかった。「ねじれ解消」を言っていたのは、自民党幹部だけだった。それがどうして全国民的課題にされるのか。 TBS系は、選挙終了後の特別番組の中で、自民党の憲法改正案を取り上げ、自民党幹部と「公益(国の都合)で基本的人権を制限するのはどうか」など議論をしていた。どうして選挙前にこれをやらなかったのか。争点は、憲法改正、TPP、原子力発電などたくさんあったのに、わざと取り上げられなかったことは明白だ。
おまけに自民党・石破幹事長の「国防軍になったら軍事裁判所的なものが必要。命令に従わなければ死刑、懲役300年」なる暴言も軽くふれる程度。もっとささいな発言で叩きに叩かれて議員を辞めた人だっているのに。要するに自民党に甘~い報道しかしていない。
さらに、サンプルの取り方や質問のしかたに疑問がある世論調査を次々発表して「自民大勝」の予想をまき散らかした。選挙後の山形新聞の記事に、棄権した人5人のインタビューが載っていたが、うち2人の棄権理由が「どうせ自民党が勝つから」だった。まるで投票率を下げるために世論調査や予測をしているようなものだ。選挙直前は世論調査などの公表を禁止している国もあるというのに。
開票速報でも奇怪なことが。東京選挙区で当選した山本太郎氏をインタビューする際、途中で不自然にそれを打ち切った局が2局もあったのだ。選挙速報の特番は事前に綿密に構成されており、公平を期すため、結果が出る前も後も話を聞く時間は厳密に守られる。なのに、NHKはスポンサーがテレビを仕切っているという話になったら突然音声がフェイドアウト。インタビューが続いていると思って話し続ける山本氏が少しの間画面に映っていた。日本テレビ系は、2分の予定なのに「被曝」と言ったら強引に話を変え、30秒で終わりにした。テレビ朝日系で古舘伊知郎が時間を延ばして山本氏の話をじっくり聴いていたのと対照的だ なんだか、マスコミが勝った選挙みたいに思えてしかたない。(伊藤悟)
*いとう・さとる 作家、音楽評論家。『ひょうたん高大漂流記』飛鳥新社など著書多数。」(「ビッグイシュー」221号(2013年8月15日号)より)
さて、この記事をどう読む?? 確かに「ねじれ解消」という言葉は良く聞いた。しかし確かに“ねじれ”とは選挙結果の話であり、決して争点ではない。また、ねじれを解消したいのは与党だけ。つまり自分たちの良いようにやりたいので、ねじれた参院に妨害して欲しくないためだ。
マスコミに影響される我々の方も問題だが、確かにマスコミの扇動は半端ではない。
ところで、この記事で、「選挙直前は世論調査などの公表を禁止している国もあるというのに。」という部分が気になった。
Netで調べてみると、(ここ)の論文に調査結果があった。
「各国の選挙世論調査に対する法的規制一覧(アイウエオ順)
1.規制なし(39ヶ国)
アイスランド、アイルランド、アメリカ、アルゼンチン.イギリス、イスラエル、イラン、インド、インド ネシア、エジプト、オーストリア、オランダ、ガボン、ギリシア、キプロス、クウェート、ケニア、シンガポール、スイス、スウェーデン、スーダン、タイ、チリ、デンマーク、日本、ニュージーランド、ノルウェー、パキスタン、パプア・ニューギニア、バングラディッシュ、フィリピン、フィンランド、ブラジル、ホンジュラス、マリ、マレーシア、南アフリカ、メキシコ、ヨルダン
2.規制有り(15ヶ国)
【イタリア】選挙世論調査の公表禁止(投票前15日間)
【オーストラリア】選挙日間の水曜夜12時から選挙終了まで「選挙事項」の放送禁止
【カナダ】選挙世論調査の公表禁止(選挙日前の金曜夜12時から投票終了(月曜)まで)
【韓国】人気投票等の禁止(但し選挙運動に関係しない世論調査報道は盛ん)
【コロンビア】選挙世論調査の公表禁止(投票前30日間)、調査方法などの明示
【スペイン】選挙世論調査の公表禁止(投票前5日間)、調査方法などの明示、中央選管が管掌
【セネガル】世論調査の実施禁止(選挙期間中=2週間)
【チェコスロバキア】選挙世論調査の公表禁止(投票前6日間)(チェコになっても継続)
【ドイツ】投票終了前の出口調査結果の公表禁止(選挙世論調査自体は盛ん)
【ハンガリー】選挙世論調査の公表禁止(投票前8日間)
【フランス】選挙世論調査の公表禁止(投票前1週間)、調査方法などの明示、世論調査委員会の設置・管掌
【ペルー】世論調査の実施禁止(投票前1週間)
【ベルギー】調査方法などの明示、世論調査委員会の設置・管掌(選挙世論調査の公表禁止(投票前30日間)条項は91年に廃止)
【ポルトガル】選挙世論調査の公表禁止(投票前1週間)、調査方法などの明示、監督機関(AACS)の設置・管掌(但し罰金を払って禁止期間中に調査結果を発表する報道機関も存在)
【ルクセンブルグ】選挙世論調査の公表禁止(投票前1月間)」(亀ヶ谷雅彦氏の論文(ここ)より)
これらの国による規制の詳細については、上記の論文を読んで頂くとして、フランス、ドイツ、カナダ、イタリアといった先進国でも、何らかの規制をしているということは、各国も投票日直前の世論調査への問題意識があるということ・・・。
まあ、日本のマスコミの選挙世論調査は、各紙同時に発表されるので、何らかのカルテルが結ばれているような、うさん臭いことだとは思っていたが・・・
マスコミの扇動にも動じない、独自の視点を持つことが、如何に大変なことか・・・。
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