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2013年9月17日 (火)

「幻の障害年金 解消へ、時効の起算点改めよ」

先日の朝日新聞にこんな記事があった。
「(私の視点)幻の障害年金 解消へ、時効の起算点改めよ 木戸義明
 公的年金に加入し、保険料を払い続けていれば、事故や病気で障害者となった場合には障害年金を受け取れる。だが、受給できるはずの障害年金の一部を、時効成立を理由に受け取れない人が多数いるのをご存じだろうか。
 障害年金は、本人が請求し、国が支給を決定することで支払われる。国は本人の診断記録などを元に、障害が生じた日を特定し、さかのぼったその時点から受給権が発生したとみなす。
 だが、国が認定する障害の発生時点から5年を超えた後に障害年金を請求した場合、受給権があっても受け取れない「幻の障害年金」が生じてしまう。現在の制度運用では、障害年金の請求時点から5年前までの分の年金はさかのぼって支払われるが、それ以前の分は「請求権の時効が成立した」とされ、支払われないからだ。
 現実には障害発生から受給手続きまでの期間が5年を超えるのは珍しくない。回復の可能性を信じ請求を遅らせる人、障害年金の制度自体を知らない人も多いからだ。「幻の障害年金」は特に、国民年金加入者に目立つ。
 一定の年齢で受給資格が生じる老齢年金と異なり、障害年金は国が支給を認めた時に初めて、本人に受給権の発生時点が知らされる。それなのに、本人も知り得なかった受給権発生時から時効を計算するのはおかしいし、障害者を支える目的にも合わない。
 この問題について昨年、名古屋高裁で画期的な判決が出た。「時効を理由に国が障害年金を支払わないのは不当」と訴えた統合失調症の女性の主張を認め、国が時効と見なしていた4年5カ月分の年金を支払うよう命じたのだ。
 訴訟には私も原告の成年後見人として参加した。判決は「時効の起算点は、国が支給決定を本人に知らせた時とするのが妥当」とした。国は上告受理を申し立てているが、すぐに取り下げ、「幻の障害年金」が生じないよう、判決通りに運用を改めるべきだ。
 さらなる問題は、現時点で「幻の障害年金」がある人の救済をどうするか、ということだ。訴訟は多くの場合、現実的ではない。私は現在、社会保険の不服申し立てを受け付ける「社会保険審査制度」を活用し、「幻の障害年金」を受給に結びつけようとしている。粘り強く活動するつもりだ。と同時に、この問題への世間の注目が集まり、行政の姿勢を変えるきっかけとなることも願ってやまない。(きどよしあき 社会保険労務士、消費生活アドバイザー)」(
2013/09/14付「朝日新聞」p17より)

この記事、なるほどな・・・と思いながら読んだが、ちょっと難しい。
民法に、
第166条(消滅時効の進行等)
1 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。

とあるので、「時効の起算点は、国が支給決定を本人に知らせた時とするのが妥当」という判決は妥当だと思う。しかし、5年経つまでは「時効無し」と同じだが、5年を超えるとどうなるのだろう?
従来の、過去5年よりも以前は時効で請求権無し、というのは分かり易いが、「時効の起算点は、国が支給決定を本人に知らせた時」という意味は、もし決定から7年後に請求したら、発生後2年間分だけが時効で受け取れない?? どうも素人には難しい。
5年を越えたとたん、全部がパーになるとは思えないので、今度法律のプロに聞いてこよう。(追って追記します)

それよりも、現実問題として、障害年金は2級で年額約80万円とのこと。つまり障害年金が認定されると、時効にならない5年間で約400万円を受け取ることになる。それがもし20年間さかのぼったとすると、1600万円となる。これは画期的なことだが、支払う国からすると、財源の問題から門前払いが多くなってくるかも・・・。つまり、過去にさかのぼる請求ほど、認定しない傾向にならないか心配・・・。1件の金額が増えると、国は認定の件数を減らしてくる??

結局、まずは「障害年金は、本人が請求し、国が支給を決定することで支払われる。国は本人の診断記録などを元に、障害が生じた日を特定し、さかのぼったその時点から受給権が発生したとみなす」という仕組みを、障害年金を請求する可能性のある人、または保護者が知っていないといけない。
確かに、障害の事実を認めたくない、治ると信じたい、ということもあるだろう。しかし、誰だって障害年金をもらえる状態になる可能性はあるわけで、まずは請求の制度を国民全員が知っていることが重要。その啓蒙をどうするか・・・だ。
全国の病院に、その啓蒙のポスターを貼っておくとか・・・。誰が? 「早く障害年金を請求しようぜ!NPO」が??

話は飛ぶが、今日、友人である九州のある社長からのメール。社員が、実習に行っていた東京の会社の寮で、夜中に体がしびれ、病院に搬送されたところ脳出血だったとか。42歳。言語障害と手足の障害が残り、これから九州に戻ってリハビリとのこと。
回復を祈念するものの、一方では、障害年金の制度のことを教えてあげることも重要。
若いほど、障害年金制度には無縁なので・・・。
繰り返すが、誰でも、いつでも、障害者になる可能性はあるのである。その場合は一刻も早く請求を!

130917kankoku <付録>「ジワジワ来る○○」より

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コメント

障害年金にはいろいろ問題があります。
障害者が利用されたり不利益を被る事が無いようにしてほしいと思います。

【エムズの片割れより】
そうですね・・・。

投稿: 斉藤峰子 | 2013年9月18日 (水) 10:02

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