「若いホームレスに出番を」~ビッグイシューが10周年
少し古い記事だが、ビッグイシューが10周年を迎えるという
「「若いホームレスに出番を」 ビッグイシュー日本の佐野章二代表に聞く
ホームレス自らが路上で販売する雑誌「ビッグイシュー日本版」が今月、10周年を迎えました。発行する有限会社「ビッグイシュー日本」の佐野章二代表は10年間を振り返り、20代、30代の若いホームレスが増えていることを心配しています。
■20~30代が急増、住宅支援広げて
ここ10年間の一番の変化は、若いホームレスが急増したことだ。リーマン・ショック前の2008年7月には、ビッグイシューの東京の販売者の平均年齢は56歳だった。その2年後には平均年齢が11歳もさがった。
NPO法人「ビッグイシュー基金」で20~30代のホームレスに聞き取り調査をした。転職を5回以上繰り返し、派遣切りや会社の倒産でホームレスになったという人が多かった。「いざという時に頼れる友人がいる」という人はごく少数で、3割にアルコールやギャンブルの依存症、4割にうつ的症状があった。
国はこうした実態をほとんど把握できていない。厚生労働省のホームレスの定義は「公園や河川、道路、駅などで生活している人」。こうした人だけを調査して「ホームレスは減っている」と発表している。しかし若いホームレスは路上ではなく、ネットカフェや24時間営業のファストフード店などで夜を明かす場合が多い。「見えない存在」になってしまっている。
僕の実感では、若いホームレスは今も、リーマン・ショック直後と同程度か、むしろ増えている。イギリスでは路上で暮らす人の他、家を失いそうな人などもホームレスとみなしている。厚労省も定義を広げるべきだ。
ビッグイシュー基金は、他の若者支援の団体とのネットワーク作りを始めた。ビッグイシューの販売の仕事があわなくても、違う団体につなぐことで支援を続けたいと思っている。
就職できても、職場の人間関係などでつまずき、ホームレスに戻ってしまうケースが少なくない。本人の責任でもあるが、企業には、働くのが苦手な若者も職場に迎え入れる努力をしてほしい。行政は、住居費を支援する「住宅手当」をより拡充するべきだ。家さえあれば、残りの生活費は働いてまかなえるという若者は多い。生活保護で生活全てをみるより、行政の財政負担も軽くなる。
ホームレスになるのは「自己責任だ」と突き放す人もいるだろう。しかし若年ホームレスの問題は、引きこもりやニート、フリーターなど数百万人の若者の問題と地続きで重なる部分が多い。彼らに居場所と出番を準備する。そんな社会を作る必要がある。(聞き手・長富由希子)
*さの・しょうじ 2003年に「ビッグイシュー日本版」を創刊。ホームレスに情報提供や支援をするNPO法人「ビッグイシュー基金」の理事長も務める。71歳。
◆<ホームレスの現状> 厚生労働省は「公園や河川、道路、駅などで日常生活を営んでいる者」と定義。この定義による調査では、今年1月時点で全国に8265人いて、2009年(1万5759人)から半分近く減った。「ビッグイシュー基金」が40歳未満の若年ホームレス50人に08~10年に聞き取りをした結果では、「野宿のみ」は3割弱で多くがネットカフェなども利用。路上調査だけでは実態が見えにくくなっている。家を失ってネットカフェや漫画喫茶などで寝泊まりする人について厚労省はリーマン・ショック前の07年、全国に約5400人いると推計。「仕事を辞めて家賃が払えなくなった」との理由が多い。同省はこれ以降ネットカフェなどの調査をしていない。 」 (2013/09/18付「朝日新聞」p30より)
同じような話題として、「脱法ハウス」なるニュースも最近TVを賑わしている。5月に毎日新 聞が報じた中野の例だと、アパートの部屋を無理に2つに分けて、1.7畳のスペースに生活困窮者が暮らしている。(ここより)
それに端を発して「他人同士が一つの家に集まって住む「シェアハウス」のうち約8割の2000棟以上が、国などの基準で「不適合」とされる可能性が高いことが分かった。」(ここより)という動きもある。
一方、ここで暮らす人は、TVのインタビューで「住所が無いと就職活動もできない」と、国の建前論を嘆いていた。
こんな動きをみると、「法は何のためにあるのか?」と思ってしまう。“ここにこう書いてあるから、誰がどう困ろうとも、ダメなものはダメ・・・”
そんな建前論なら、子どもにだって出来る。法は人のためにあるのでは? 社会のためにあるのでは?
「これから法の解釈はこうするので、皆早く部屋から出ていって、ホームレスにでも何にでもなれ!」という弱者切り捨てが政治だとすると、ビッグイシュー日本の佐野さんが幾ら頑張っても話は水掛け論・・・
日本人は、それほどドライではないはず。弱者救済とパックでの政治・政策を期待したいのだが・・・。
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ホームレス支援の雑誌「ビッグイシュー」
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コメント
ホームレスにはならなくても、30代の「子」世代が親から独立して生活しにくくなっているようです。親たちは自分たちの老後資金を貯めずに、未だに「子」を養っている。自分の親は介護施設に預ける事ができても、自分たちの番の時は、子がそれをできるとは思えず、かといって自分で貯めることもできず、将来に不安が残り続ける・・・。みんな自己責任でもがいている・・。
【エムズの片割れより】
本当にそうですね。だから子供たちが「自分の給料で食べている」という、かつては当たり前のことが、どれだけ有り難いことか・・・
我々の世代は、「親の面倒は見るが、子どもたちに面倒を見てもらえない」という割が合わない世代なのですね。
子供たちは、親の面倒も見ない代わりに、自分たちの面倒も見てもらわない世代・・・。
投稿: Tamakist | 2013年9月27日 (金) 11:54