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2013年8月 5日 (月)

さだまさしの「風に立つライオン」

先日のNHKラジオ深夜便で(2013/07/31放送)、さだまさしの「風に立つライオン」という歌を初めて聞いた。
この歌は、実在の医師が、恋人を日本に残したまま青年海外協力隊としてアフリカに渡り、その2年後、恋人から来た「結婚します」という便りに対する返信の形を取っている。

<さだまさしの「風に立つライオン」>

「風に立つライオン」

  作詞・作曲:さだまさし

突然の手紙には驚いたけど嬉しかった
何より君が僕を怨んでいなかったということが
これから此処で過ごす僕の毎日の大切な
よりどころになります ありがとう ありがとう

ナイロビで迎える三度目の四月が来て今更
千鳥ヶ渕で昔君と見た夜桜が恋しくて
故郷(ふるさと)ではなく東京の桜が恋しいということが
自分でもおかしい位です おかしい位です

三年の間あちらこちらを廻り
その感動を君と分けたいと思ったことが沢山ありました

ビクトリア湖の朝焼け 100万羽のフラミンゴが
一斉に翔び発つ時 暗くなる空や
キリマンジャロの白い雪 草原の象のシルエット
何より僕の患者たちの 瞳の美しさ

この偉大な自然の中で病と向かい合えば
神様について ヒトについて 考えるものですね
やはり僕たちの国は残念だけれど何か
大切な処で道を間違えたようですね

去年のクリスマスは国境近くの村で過ごしました
こんな処にもサンタクロースはやって来ます
去年は僕でした
闇の中ではじける彼等の祈りと激しいリズム
南十字星 満天の星 そして天の川

診療所に集まる人々は病気だけれど
少なくとも心は僕より健康なのですよ
僕はやはり来てよかったと思っています
辛くないと言えば嘘になるけど しあわせです

あなたや日本を捨てた訳ではなく
僕は「現在(いま)」を生きることに思い上がりたくないのです

空を切り裂いて落下する滝のように
僕はよどみない生命(いのち)を生きたい
キリマンジャロの白い雪 それを支える紺碧の空
僕は風に向かって立つライオンでありたい

くれぐれも皆さんによろしく伝えて下さい
最后になりましたが あなたの幸福を
心から遠くから いつも祈っています

おめでとう さよなら

この録音は非常に凝っていて、アフリカの(?)太鼓の音から始まって、曲全体がAmazing Grace(ここ)で統一されている。そしてリズムはラベルのボレロ!?
Netで検索してみると、この歌は非常に有名な曲で、色々と情報がある。自分なりに理解したことを転記してみると・・・

さだまさし アルバム『夢回帰線』より
僕の尊敬し、愛する医師がいる。
 酔った時に一度だけ彼が医師になった理由を聞いた。少年の頃、シュヴァイツアーに憧れたのだ。そうして、本当に医師になり、本当にケニアへ巡回医療の医師として出かけて行った。酔うと少しだけ饒舌になる彼は、遠くを見る様に宙を見つめ乍ら、僕に大自然を語った。そんな時、いつも少年になる。
 彼は、きわめて優秀な外科執刀医である。故に、人の生命に対して敏感である。人々の生と死の間の戦いを、共に戦うのだと彼は言う。仮に助かっても、それは医師が助けるのでなく、神様が助けるのだ、と彼は真面目な顔で言う。だから、助かろうという意志のない人は、助けるのが困難だと。

 そうして、駄目な事だってある。その度に、たとえ、現代医学では、絶対に無理だ、と分かっていても、自分以外の人が執刀したら、もしかしたら助かったのではないか、と深く悔やむ人なのだ。もしも彼が言う様に、人が助けるのでなく神が助けるというなら、もしかすると、彼は天使なのではないかと思う事がある。それ程に優しく、暖かだ。
「僕はのたれ死ぬとです」彼は、酔いが廻ると、そう独白く。
 生命の尊厳と常に対峙しているからこそ、神の領域に挑む不遜さを知っている。ケニアの大自然の中で、彼は神と共にあったのかも知れない。この歌は、そんな彼の青春の一片を歌おうとした。
 僕も、僕の草原の、風に立つライオンでありたい。この歌を、県立日南病院勤務の柴田紘一郎先生に捧ぐ。

**********
 東京で恋人と幸せな日々を送る青年医師がいた。彼女は、彼との結婚を夢見ていた。
 彼も、それを望まないわけではなかったが、心のどこかに、ひっかかりがあった。それは、医師としての生き方についての葛藤だった。
『このままで いいのか』
 彼は、日々、自問自答を繰り返し、そして、決断した。アフリカの無医村へ、医師として行くことを決意したのだ。そうして、彼は日本を離れた。彼女を置いて。
 それから2年、アフリカの地で、医師として、人として、そして恋人よりも自分の夢を選んだ罪深き男として日々を過ごしていた彼に、日本から1通の手紙が届いた。
 その手紙は、彼女からの手紙で、『結婚します』という報告だった。
 そう、彼女は、彼を待てずに、他の人に愛され、そして結婚することを決めたのだ。
 この歌は、その手紙を読んだ彼が、彼女へ書いた最後の手紙なのです。」
ここより)

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この柴田紘一郎先生(昭和15年生まれ、長崎大学医学部卒業、後に宮崎県立日南病院長、現介護老人保健施設 サンヒルきよたけ施設長)は、「さださんがまだアマチュア時代20歳の時に、帰国直後の柴田先生(さださんのお父さんの知り合い)からアフリカでの経験についてお話を伺ったことが、15年後の1987年、この「風に立つライオン」という名曲の誕生につながります。」
「柴田先生は、「風に立つライオン」を収録したアルバムに次のようなコメントを寄せておられます。
「“風に立つライオン”は小生のアフリカでの2年あまりの体験及び浅学菲才のゆえの雑談を医師を例にとり、人としての生き方をまさしさんの感性と才能で創作した曲である。この歌は、現代人の心の不摂生のため、過剰にしみついた魂の脂肪に対する警告でもあるように聴こえる。小生もアフリカの大地を通して学んだ事をすこしでも役立てて“風に立つライオン”のようになりたい。」
ここより)

この歌についての取材はこのくらいにして・・・
この歌を聞きながら、人生がこれから・・・という人の、無限の可能性について思った。そう、特に20歳前の“人生はこれから・・・”という人にとって、これからどう生きるかは、まさに自由。この、少年の頃シュヴァイツアーに憧れて医師としてアフリカに渡った柴田先生のような生き方も可能なのだ。

それと、改めてこの歌詞を読むと、まさに歌詞と言うよりも詩・・・。特に、
「やはり僕たちの国は残念だけれど 何か大切な処で道を間違えたようですね」
「診療所に集まる人々は病気だけれど 少なくとも心は僕より健康なのですよ」

という部分を読むとき、彼(か)の自然の国の人々生活は、我々よりもはるかに豊かなのだと、思う。

もちろん今更、しがない自身の人生を、この歌に謳われている人たちに比べるつもりは毛頭無い。しかし、これから生まれ来る孫世代の人生の可能性について思いを馳せると、何と心が明るくなることか・・・。

こんな歌を聞きながら、これから人生を始める子供たちに、どんな人生でも良いので、思う存分に生きて欲しいと、心からそう思うのである。

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コメント

そうですね、この曲もしみじみ聞き入ります。同業としてこのような高い志は持てませんが、せめて国内でガンバロウと思います。患者さんには「貴方は十分頑張っています。多少は肩の力を抜いて笑いましょう。その方が免疫力がアップしますよ」。笑いは、呼吸機能向上・血圧低下・血糖値改善・免疫力アップ等、笑う門には福来る。

【エムズの片割れより】
「笑う門には福来る」と一緒に、「指圧の心は母心、押せば命の泉湧く」のあの豪快な笑い声を思い出しました。
笑いが絶えない生活こそ、健康な生活なのでしょうね。

投稿: メメント・モリ | 2013年8月 7日 (水) 20:51

数日前、さださんの曲をず~っと聞いて
テッシュで、鼻水と涙を拭きつつ、堪能しました。
さださんの歌を生で聴きたくなり、チケットを申し込みました。
抽選とかですので、どうなるか解りませんが、若い時の歌い方と違うとか、…
それも心配ですが、でも楽しみです。
初めての生です。
今日も聞かせてもらいました。
いろんな話も見ながら。
ありがとうございました。

【エムズの片割れより】
抽選が当たると良いですね。何しろさださんは落研出身なので、話がうまいし・・・

投稿: かめ&うさぎ | 2014年8月18日 (月) 22:14

この歌を初めて聴いたのが何時であったか忘れました。ある年の紅白歌合戦で聴いた記憶があります。とても感動致しました。私なりに物語を紡ぎました。エムズ様の取材とほぼ同じです。間奏曲のアメージンググレースもいいですね。何年かぶりに聞いて胸が熱くなりました。
さだまさしさんは優れた作詞家でもあります。詩人にして哲学者。純粋培養のバイオリニストへの道を断念(父親に勘当されたの?とにかく金銭的援助を断たれたのでしたね)数々のバイトの経験などが詩に深みを与えてるのでしょうね。尤も「風に立つライオン」は実話を元にしているだけに訴える力が大きい。近々の映画鑑賞が楽しみです。それにつけても素敵な恋の終焉ですね。切なく,熱い。美しい人だったんでしょうね。何より柴田医師の高潔さに胸打たれます。さださんの解釈に胸打たれます。そして感動できる自分を愛おしく思います。

【エムズの片割れより】
「風に立つライオン」の映画は、先日友人がなかなか良かったと言っていました。

投稿: 田舎娘 | 2015年4月11日 (土) 21:15

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