伊藤久男の「マリモ祭りの夜は更けて」
先日、改めて見直した歌があった。伊藤久男の「マリモ祭りの夜は更けて」という歌である。Netで検索しても、この歌についてはほとんどヒットしない。まあ伊藤久男としてはマイナーな歌だったのかも知れない。
<伊藤久男の「マリモ祭りの夜は更けて」>
「マリモ祭りの夜は更けて」
作詞:石本美由起
作曲:市川昭介祈りの歌に 送られて
マリモは帰る 水の底
踊れ メノコよ リムセが弾みゃ
揺れてきらめく 首飾り
アア・・・ マリモ祭りの 夜は更けて
燃える吐息の 狂おしさ エイヤー太鼓は水に こだまして
湖渡る 風となる
叩け 手拍子 コタンの酒に
酔うて燃えるか 紅の月
アア・・・ マリモ祭りの 夜は更けて
たぎる血潮の 妖しさよ エイヤー浮いては沈む 阿寒湖の
マリモに祈る この宴
燃やせ かがり火 炎に映える
恋の刺繍の アッシ織
アア・・・ マリモ祭りの 夜は更けて
水に星さえ 燃えて散る エイヤー
(昭和43年2月1日発売)
ライナーノーツにはこうある。
「伊藤久男歌手生活35周年記念曲として作られました。都はるみや畠山みどりに多くのヒット曲を作曲している市川昭介も福島県人で、彼が同郷の先輩に作曲した最初の曲です。昭和25年にマリモが乱獲され、また水力発電で阿寒湖の水が過剰放水されて、危機に瀕したマリモを護ろうという気運が高まり、毎年秋、10月の第2週末頃行うことにしたのが、現在まで阿寒湖温泉周辺で行われている“マリも祭り”です。マリモを迎える儀式で始まり、マリモを送る儀式で幕を閉じるお祭りですが、これは“マリモを送る”夜更けの儀式を歌ったものです。」
まさに伊藤久男を意識して作られた歌だ。しかもオリジナル録音が、伊藤久男としては数少ないステレオ録音。
この歌は、伊藤久男の北海道を舞台にした一連の歌、つまり「イヨマンテの夜」「オロチョンの火祭り」や「ブラジルの太鼓」の延長線上にあるように思える。
「イヨマンテの夜」は作詞:菊田一夫、作曲:古関裕而だったが、「オロチョンの火祭り」と「ブラジルの太鼓」は、作詞:石本美由起、作曲:上原げんと。そしてこの「マリモ祭りの夜は更けて」は、作詞が同じく石本美由起だが、作曲は市川昭介だという。これは意外。この作曲家はまさに演歌の作曲家というイメージ。それがこれだけ勇壮な曲も作る。
さすがプロ、と言うべきか・・・
またそのうち、北海道に行ってみたいが・・・。
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