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2013年7月31日 (水)

さだまさしの「償い」

今朝(2013/07/31)放送のNHKラジオ深夜便で、さだまさしの「償い」という歌を初めて聞いた。
この歌についてwikiにはこうある。
「この楽曲は、知人の実話を元に作られたものである。ただし曲中では、優しく真面目な心の持ち主である交通事故の加害者「ゆうちゃん」をメインに、それを見守る同僚の気持ちを歌詞にした物になっているが、実際にはさだの知人である被害者の妻の体験と事実を元に詩が作られている(さだは、「ゆうちゃん」に該当する加害者とは会ってはいない)。
さだの知人の女性が交通事故で伴侶を亡くした。加害者の男性は真面目な人らしく、毎月わずかずつではあるが賠償金を郵送してきていた。彼女は加害者の手書きの文字を見るたびに、事故の事や亡き主人を思い出しては辛い思いをしていた。事故から数年経ってもその送金は続き、知人は茶道の師範として経済的にも自立できていることから、「もうお金は送ってくれなくて結構です」と加害者に対して返事の手紙を書いた。しかし、被害者の許しの手紙を受け取ったはずの加害者は、償い続けるために翌月以降も送金を続けた。」
ここより)

<さだまさしの「償い」>

「償い」

  作詩・作曲:さだまさし

月末になると ゆうちゃんは薄い給料袋の封も切らずに
必ず横町の角にある郵便局へとび込んでゆくのだった
仲間はそんな彼をみてみんな貯金が趣味のしみったれた奴だと
飲んだ勢いで嘲笑っても ゆうちゃんはニコニコ笑うばかり

僕だけが知っているのだ 彼はここへ来る前にたった一度だけ
たった一度だけ哀しい誤ちを犯してしまったのだ
配達帰りの雨の夜 横断歩道の人影に
ブレーキが間にあわなかった 彼はその日とても疲れてた

 人殺し あんたを許さないと 彼をののしった
 被害者の奥さんの涙の足元で
 彼はひたすら大声で泣き乍ら
 ただ頭を床にこすりつけるだけだった

 それから彼は人が変わった 何もかも
 忘れて 働いて 働いて
 償いきれるはずもないが せめてもと
 毎月あの人に仕送りをしている

今日ゆうちゃんが僕の部屋へ 泣き乍ら走り込んで来た
しゃくりあげ乍ら 彼は一通の手紙を抱きしめていた
それは事件から数えてようやく七年目に初めて
あの奥さんから初めて彼宛に届いた便り

「ありがとう あなたの優しい気持ちは とてもよくわかりました
だから どうぞ送金はやめて下さい あなたの文字を見る度に
主人を思い出して辛いのです あなたの気持ちはわかるけど
それよりどうかもう あなたご自身の人生をもとに戻してあげて欲しい」

 手紙の中身はどうでもよかった それよりも
 償いきれるはずもない あの人から
 返事が来たのが ありがたくて ありがたくて
 ありがたくて ありがたくて ありがたくて

 神様って 思わず僕は叫んでいた
 彼は許されたと思っていいのですか
 来月も郵便局へ通うはずの
 やさしい人を許してくれて ありがとう
 
 人間って哀しいね だってみんなやさしい
 それが傷つけあって かばいあって
 何だかもらい泣きの涙が とまらなくて
 とまらなくて とまらなくて とまらなくて

そしてこの歌に関し、2002年2月20日付「サンケイスポーツ」にこんな記事が載ったという。
さだまさしの曲引用で被告を諭す 三茶駅事件の裁判
 東京・世田谷区の東急田園都市線三軒茶屋駅で昨年4月、銀行員の男性が殴られ死亡した事件で、傷害致死罪に問われた当時18歳の少年2人の判決公判が19日、東京地裁で行われ、山室恵裁判長は求刑通り、それぞれ懲役3年以上5年以下の不定期刑とする実刑判決を言い渡した。裁判長は2人に対し、歌手、さだまさし(49)の曲「償い」を引用し、異例の説教。伝え聞いたさだも「法律で心を裁くには限界があるから…」と話した。
 判決後、閉廷する直前だった。反省の色が見られない少年2人に対し、裁判長は「唐突だが、さだまさしの『償い』という歌を聴いたことがあるだろうか」と切り出した。うつむいたままの2人に、「この歌の、せめて歌詞だけでも読めば、なぜ君らの反省の弁が人の心を打たないか分かるだろう」と少年の心に訴えた。
 「償い」は昭和57年に発売されたアルバム「夢の轍(わだち)」の収録曲。知人の実話を元に、さだが作詞作曲した。交通事故で夫を亡くした夫人の元へ、はねた若者が仕送りを続ける内容。
 「何もかも忘れて 働いて 働いて 償いきれるはずもないが…」という若者の胸中が、聴く人の胸に迫る。7年後に謝罪を受け入れた夫人。
 「ありがとう あなたの優しい気持ちはよくわかりました…」と続く。
 この歌は今も、交通安全キャンペーンで使われる。数年前にも、ラジオのたった1回のオンエアがきっかけで、リスナーの若者たちが人の命について話し合うコーナーができたほど。命の尊さとともに、犯した罪への「償い」についても訴えている。
 今回の裁判を伝え聞いたさだはサンケイスポーツの取材に「法律で心を裁くには限界がある。今回、実刑判決で決着がついたのではなく、心の部分の反省を促したのではないでしょうか」とコメント。そのうえで、「この歌の若者は命がけで謝罪したんです。人の命を奪ったことに対する誠実な謝罪こそ大切。裁判長はそのことを2人に訴えたかったのでは」と語った。
 裁判で2人は「深くおわびします」と口では反省する一方、酔っ払った被害者が絡んできた結果の過剰防衛に当たるなどと主張。裁判長は「被害者に命を奪われるまでの落ち度はなかった」と弁護側主張を退けた。被害者の兄は閉廷後会見し、「裁判長に遺族の思いを酌んでいただいた。彼らも判決を肝に銘じて、しっかり歩んでほしい」と話し、本当の更生を2人に期待していた。
事件VTR
 判決によると、昨年4月29日午前零時ごろ、東京・町田市の少年(19)と神奈川県相模原市の少年(19)が、東急田園都市線の車内で川崎市宮前区の銀行員、牧顕さん=当時(43)=と「足が当たった」などと口論。三軒茶屋駅のホームで、2人がかりで殴り、5月4日にくも膜下出血で死亡させた。」(
2002年2月20日付「サンケイスポーツ」より」(ここより)

この歌について、とやかく言うつもりはない。ただじっくりと聞くだけ・・・。それにしても、久しぶりに、自分の琴線に触れた一曲であった。

自分は、NHK FMのファンだが、世に知られた名曲でも、自分が聞いたことがない歌は幾らでもある。(この「償い」も、30年も前の歌・・・) それらを自分に届けてくれる媒体、それが自分にとってのFM放送なのである。(この番組では、もう1曲教えてくれたが、それについては別途・・・)

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コメント

彼の昔からのファンですが、自身の経験からの内容も多いようです。有名な「精霊流し」は「椎の実のママへ」と言う曲の続編的内容ですが、最近まで知りませんでした。自伝のNHK‐BSドラマ「かすていら」は興味深く見ています。

【エムズの片割れより】
「かすていら」は見逃しました。今度再放送を見ます。
でもさだまさしの歌は、ストーリーがありますよね。

投稿: メメント・モリ | 2013年8月 4日 (日) 12:29

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