人と話さない高齢男性~65歳以上の独居男性・2週間に1回以下が17%
今日の朝日新聞「天声人語」はこんな記事だった。
「男女に違いがあるのは当然として、どこがどのように違うのかを言うことは簡単ではない。しかし、時に具体的な数字で違いを突きつけられて、たじろぐこともある▼浮かび上がったのは、高齢で独り暮らしの男性が孤立する危険である。国立社会保障・人口問題研究所の「生活と支え合いに関する調査」は、人は普段どれくらいの頻度で人と話をするかを調べている▼電話も含め、毎日する人がもちろん圧倒的だ。一方で、2週間に1回以下しか話をしない人も全体の2%いて、65歳以上の独居の男性に限ると17%もの人がほとんど人に接していない。同じ年齢層の独居の女性では4%だから、違いは歴然だ▼調査を担当した阿部彩(あや)部長は、一研究者としての一般論と断ったうえで言う。男性は人間関係を職場に頼りがちなので、退職後に新たな関係をなかなかつくりにくい。そこが地域に密着しつつ生涯を送る人が多い女性との違いではないか、と▼耳が痛い指摘である。団塊の世代の意識を探った内閣府の調査も似た傾向を示す。どんな時に生きがいを感じるか。男性が女性よりはっきり多いのは仕事、お酒、パチンコなど。女性の方が断然多かったのは、友人、知人と過ごしている時だ▼個人差はあれ、人づきあいへの考えがやはり男女で違うのだろう。徒然草(つれづれぐさ)にいわく〈ただ一人有るのみこそ良けれ〉。縁を離れ、事に与(あずか)らず、と。だが、そんな兼好(けんこう)も友を求めた。同じ心の人としみじみ話ができればいいのに、と書いている。」(2013/07/26付「朝日新聞」「天声人語」より)
この話は、昨日の朝日新聞に載っていた。
「会話「2週間に1回以下」、高齢独居男性の17%
周囲の人と会話をする機会が「2週間に1回以下」という人の割合が、65歳以上の独居男性では約17%にのぼる――。そんな調査結果を国立社会保障・人口問題研究所が24日に公表した。「2週間に1回以下」は全世代では約2%、65歳以上の独居でも女性の場合には約4%にとどまる。一人暮らしの高齢男性が孤立しやすい傾向が浮かび上がった。
公表されたのは、昨年7月に行われた「生活と支え合いに関する調査」。福島県を除く全国の1万1千世帯と、20歳以上の約2万1千人が回答した。家族など周りの人とあいさつや世間話(電話も含む)をする頻度については、全体の約91%が「毎日」と答えた。「2~3日に1回」は約5%、「4~7日に1回」は約2%、「2週間に1回以下」は約2%。毎日会話する人の割合は男性の方がやや低めで、60歳以上になると下がる傾向もみられた。」(2013/07/25付「朝日新聞」より)
それにしても、この話題は決して他人事ではない。
改めてオリジナルである「2012年 社会保障・人口問題基本調査 生活と支え合いに関する調査 結果の概要(2013年7月24日公表)」(ここ)を覗いてみた。(写真はクリックで拡大)
「1.人と人とのつながりの状況
ふだんどの程度、人とあいさつ程度の会話や世間話をするか(電話での会話を含む)聞い た。毎日誰かと会話する者の割合(無回答を除く)を性別・年齢階級別にみると(図表Ⅳ-1)、60歳未満の各年齢層で男性93%程度、女性96%程度となっており、年齢階級による差はほとんどみられない。一方で、60歳以上では、年齢階級が高くなるほど毎日誰かと会話する者の割合が低下し、80歳以上男性では76.1%まで低下する。女性の場合は70歳代から80歳以上にかけての同割合の低下はほとんどみられず、80歳以上で81.4%となっている。」
「ここ1か月の間に直接話をした人が1人以上と回答した者に対して、どのような関係の人と話をしたか複数回答で聞いた。会話相手別の会話した者の割合(無回答を除く)を年齢階 級別にみると(図表Ⅳ-3)、「同居の家族・親族」と会話した者の割合は、20歳代から40歳代まで78.4%から88.1%まで上昇したのち、年齢とともに低下し、80歳以上では69.4%にまで低下する。「別居の家族・親族」と会話した者の割合もまた、20歳代から30歳代にかけて上昇したのち、年齢とともに低下する傾向がみられる。「家族・親族」以外では、「友人・知人」や「職場の人」と会話した者の割合は年齢が高くなるほど低くなっており、特に「職場の人」と会話した者の割合は50歳代から80歳以上にかけて急激に低下することが分かる。一方で、「近所の人」や「医療・福祉・教育関係の専門家」と会話した者の割合は、年齢が高くなるほど高くなっていることが分かる。」
「65歳以上の者について、性別、世帯タイプ別(単独世帯と夫婦のみ世帯)に会話状況を みたのが図表Ⅳ-8から図表Ⅳ-10である。会話頻度が「2週間に1回以下」となる者の割合は、夫婦のみ世帯の男性高齢者が4.1%であるのに対し、単独世帯に属する男性高齢者では16.7%となっており、両者の差は12.6%ポイ
ントとなる。一方で、女性の場合には夫婦世帯で1.6%、単独世帯で3.9%となり、両者の差は2.3%ポイントにとどまっている。会話人数(図表Ⅳ-9)、会話比率(図表Ⅳ-10)でも同様の傾向がみられ、夫婦のみ世帯と単独世帯との差は、男性で顕著となっている。」
なるほど・・・
自分自身、会社での会話を除くと、日常ではカミさん以外とは全くと言って良いほど話す機会が無い。実は、これは自分が持っている恐怖・・・
それはそれとして、声には自身のエネルギー(活力)の状態が表れてしまう。上の調査のように、2週間も誰とも話をしないとすると、それこそ声が枯れて出なくなってしまうだろう。確かに一人だと、ペットでも居れば良いが、よほど自分で努力しないと、声を出す機会が少なくなる怖さがある。
先日の入社43年目の同期会で、昨年まで元気に出席していたI君が先日亡くなったと聞いた。昨年までは、パーキンソン病の奥さんの介護をしていると言っていたが、ここ1年は、自身の胃がんで大変だったらしい。奥さんが亡くなって1週間後の死。あの若々しい顔が浮かぶものの、何とも言葉が無い。
何よりも、常に声を出している生活、話をしている生活こそが、健康な生活。それを如何に持続させるか・・・。我々高齢者の喫緊の課題である。(←若しかすると自分だけ?)
| 0
コメント