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2013年6月10日 (月)

小林旭の「月の沙漠」

小林旭は、俳優か?歌手か?・・・自分は俳優だとばかり思っていた。歌手は、俳優家業の付録だと・・・。それにしては、この歌はなかなか・・・
先日、NHK FMのラジオ深夜便「歌謡歌手で聴く童謡・叙情歌集」(2013/05/28放送)で、小林旭が歌った童謡「月の沙漠」を聞いた。

<小林旭の「月の沙漠」>


「月の沙漠」
 作詞:加藤まさを
 作曲:佐々木すぐる

月の沙漠を、はるばると
旅の駱駝がゆきました。
金と銀との鞍おいて、
二ッならんでゆきました。

金の鞍には銀の甕、
銀の鞍には金の甕。
二ッの甕は、それぞれに
紐で結んでありました。

さきの鞍には王子様
あとの鞍にはお姫様。
乗つた二人はおそろひの
白い上着を着てました。

曠い沙漠をひとすぢに、
二人はどこへゆくのでせう。
朧にけぶる月の夜を、
對の駱駝はとぼとぼと。

砂丘を越えてゆきました。
黙つて、越えてゆきました。
(「少女倶楽部」大正12年3月発行)

この歌を初めて聞いた時、良い印象ではなかった。何かよたった感じで・・・。しかし何度か聞いてみると、不思議な味わいがあるのだ・・・

「月の沙漠」は昔、小鳩くるみの歌で紹介した(ここ)。
その歌との違いは大変なもの。童謡を童謡歌手小鳩くるみが歌うのを正統派とすると、小林旭の歌い方は、粋(いき)というか、何というか・・・。**組のイメージが漂う小林旭のこの歌は、どう表現したら良いのだろう。
しかし、このコブシが回って、ぶっきらぼうで、投げやりにも聞こえる「月の沙漠」が、なぜか自分の心を揺らす・・・。それにこのアレンジが素晴らしい。イントロを聴いていると、どんな歌が出てくるのだろうとワクワクしてしまう。

そう。誰にでも子供時代はあった。あの小林旭も母親の乳房にすがった子ども時代はあったのだ。そう考えると、この歌唱は、どんなに怖い男でも、幼い時代はあったのだな・・・と。
そんな雰囲気が漂う涙を誘う(?)小林旭のオトコの「月の沙漠」ではある。

(関連記事)
「小鳩くるみ」が歌う童謡~「月の沙漠」 

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コメント

エムズ様
童謡歌手以外のは始めて聞きました、よたった感じがまあ何とも・・・仰るとおり××組、と思った途端に涙が溢れて止まりません。寂しさが漂うこの歌により一層の物悲しさが加わりもう涙腺は全開です。矢張り童謡は遠く故郷を思い起こします。有難う御座います

【エムズの片割れより】
強い印象の男こそ、何か、もの悲しいですよね・・・。不滅の童謡は、誰の心にも宿っている、ということですね。

投稿: 名前?忘れた | 2013年6月11日 (火) 07:46

叙情歌は好んで聴きますが歌い手により可成り印象が変わります。この放送はとても印象が強く録音しなかったのが残念と思っていました。エムズ様が「歌謡歌手で聴く童謡・叙情歌集」全体を録音されておられましたら、アップして頂けたら幸甚です。

【エムズの片割れより】
自分も聞く前から違和感がありました。全部聞きましたが、やはり違和感があり、小林旭と山崎ハコだけ録っておきましたが、それ以外は全部消してしまいました。
童謡はやはり素直な歌い方が一番・・・

投稿: 野比井 | 2013年6月12日 (水) 22:07

はじめまして。
どうしてだか、金子由香里あたりから、こちらにたどり着きました。
小鳩さんのCD持ってます。
<小林旭と山崎ハコだけ・・・>
いや、わかりますねえ。山崎ハコのも持ってます。
まあ、小鳩くるみが一番だけど。
それにしても、エムズの片割れさま、すごいブログですねえ。
素晴らしい。
また、お邪魔します。

【エムズの片割れより】
ありがとうございます。
童謡は小鳩くるみが一番素直で好きです。

投稿: YABU | 2014年6月 9日 (月) 23:11

僕も一昔前に「月の砂漠」小林旭バージョンをNHKラジオで聴きました。ひたすら流れ流れて一大放浪記・哀愁たっぷりでした。(笑)

【エムズの片割れより】
なかなかの名唱ですよね。

投稿: どら猫 | 2021年9月29日 (水) 09:49

 この歌は加藤まさをの詩と絵が大正12年3月号の少女倶楽部に掲載され、当時無名の佐々木すぐるが勝手に曲を付けたとほとんどの童謡紹介本に書かれていますが、じつは曲が先にできていて、後で歌詞がつけられたようです。確実な証拠はありませんが、作詞者も作曲者も詞が先にできたとは書いていません。大人の事情でしょうか?
 哀愁を帯びたこの曲の良さを生かすべく、沙漠を行くラクダにのった王子さまとお姫さまというイメージを作ったのは加藤まさをですが、加藤まさをの妹が大正8年に亡くなっている(おそらくスペイン風邪で)ことはあまり知られていません。享年21で逝った妹への鎮魂歌だったのかもしれません。偶然にも佐々木すぐるも妹(享年19)を鉄道事故で亡くしているそうです。
 所謂スペイン風邪による全世界の死者は約5千万人とも言われ、日本でも約40万人が亡くなったそうです。身近な人々が次々に亡くなるということでは、今のコロナ禍の世相とも通じるものを感じますが、現在コロナの死者は世界でまだ約614万人、日本で約2万7千人ということなので、人口比を考えるとスペイン風邪の猛威はコロナの10倍以上だったのだろうと思います。

投稿: yosihei | 2022年3月26日 (土) 15:55

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