« 2013年の「サラリーマン川柳」ベスト10 | トップページ | ペギー葉山の「越後の子守歌」 »

2013年5月28日 (火)

国産腕時計の隆盛と衰退

だいぶん前だが、昼休みに近くの食堂で読売新聞を見ていたら「機械式腕時計 一生モノ」という記事があった。
最近、スイス製の機械式腕時計が売れているそうで、この記事でも、意を決して100万円の腕時計を買った人の話が載っていた。
そう言えば、先日の朝日新聞にも腕時計の記事があった。これも大分前の話だが・・・。

「(ニュースQ3)国産腕時計100年…海外ブランドとどう戦う? 
 腕時計の国内生産が始まって100年。いまやスマホも時計代わりになり、安い輸入品が「100均」に並ぶ。ブランド力ではスイス勢の背中は遠い。国産時計は、どこに向かうのか。
本場のスイス、崩せない牙城
 500円玉よりひと回り大きい直径29・6ミリ、厚さ11ミリ。セイコーの源流の「精工舎」が1913(大正2)年につくった国産1号の「ローレル」だ。
 セイコーミュージアム(東京・墨田)が4月に始めた「腕時計100年」展の目玉は、今も時を刻む。
 懐中時計の職人が、海外にならって腕時計に仕立てた。手巻き式で、誤差は日に20~30秒。価格は16円前後。小学校教員の初任給のおよそ2倍だったという。
 地下鉄などの公共交通が整うにつれ、時間をいつでも確かめられる腕時計は、モダンガールやモダンボーイの必需品となった。
 関東大震災で資料が失われ、ローレルの誕生月すらはっきりしないが、セイコーミュージアム館長の鈴木旻(あきら)さん(70)は「満足な工作機械もない時代。信じられない出来栄えだ」と話す。とはいえ、時計といえばスイス。高度成長期にメード・イン・ジャパンが世界に広がっても、牙城は崩せなかった。
クオーツ躍進、円高で生産減
 流れを変えたのは、水晶に電流を流し、その振動をもとに時を刻むクオーツだ。諏訪精工130527udedokei 舎(現セイコーエプソン)が69年、「クオーツアストロン」を完成。小型化の技だった。
 直径3センチの本体に、水晶と76個のトランジスタを埋め込んだ。誤差は、日に0.2秒ほど。国内のライバルも追随し、世界を席巻した。70年に1100万個だった輸出は、85年に1億2500万個になった。
 長野県の諏訪商工会議所職員(58)は「工場で働く人が増え、街はわいた。田んぼは家になり、小学校が新設された」と振り返る。スイスの業界には大打撃。「オメガ」は従業員の3分の2を整理したという。
 85年のプラザ合意で輸出に痛い円高が始まる。生産拠点は海外へ。リストラの嵐が日本に吹く。「高ければ高いほど」のバブル期も人気はスイス製だった。
 時計産業で働く人はいま1万人足らず。85年の5分の1に満たない。国内生産(11年)は350万個だ。
スマホも強敵、高額品に活路
 国産の灯は守れるか。「正確さだけでない機能や高級感でブランド力を高めたい」(セイコーホールディングス広報)。折しもアベノミクスで富裕層が潤い高額品が売れている。「グランドセイコー」も「ザ・シチズン」も価格帯は数十万円。普及品と一線を画すブランドに育てる考えだ。
 日本橋高島屋の営業計画担当、水島敏夫さん(48)によると、「国産は30万円前後が売れ筋。スイス製は100万円超がどんどん売れる」。シチズンは昨春、スイスのメーカー「プロサーホールディング」を約60億円で買収した。戸倉敏夫社長は「いい案件があれば、積極的に高級ブランドを買う」という。
 新たな敵もいる。スマートフォンなどIT機器だ。ソニー子会社が売る「スマートウオッチ MN2」はタッチパネルを備える。メールやツイッターの確認、スマホの遠隔操作にゲーム。米アップルや韓国サムスン電子も同じような製品開発を急ぐ。(内山修)」(
2013/04/23付「朝日新聞」p37より)

このグラフが何とも凄まじい。国産腕時計の生産量は、もはや最盛期の2.8%だという。

自分にとって、時計は正確が第一。よって我が家はほとんどが電波時計。これは安心・・・
腕時計も、1997年にSEIKOが最初に発売した電波修正腕時計を買ったもの・・・。当時は電波受信のため、ケースがプラスチックだった。そしてデジタル表示だったので、自分は好きにはなれず、結局腕にはめなかった。それに太陽電池だったため、電池切れで良く止まり、結局使わなかった。
自分が日常使っているのは、単なるクォーツ。同じくSEIKOのSPIRITという廉価な腕時計だが、これが“異常に”正確。半年に1回、合っているかな?と気にする位。デザイン的にも、オーソドックスなグランドセイコーと同じ。だから一生モノとしてグランドセイコーの電波時計が欲しいかな?とも思うのだが、どうも必要性を感じない。

しかし最近のモノの値段の崩壊はただ事ではない。機能に対する価格の異常は、腕時計がその代表ではないか??正確に時を刻む超小型の腕時計が100円ショップで買えるとは、何とも哀しい・・・。
でもこの事態は、時計の世界だけではない。テレビをはじめ、あらゆるモノがそんな流れ。それに、若者はそもそも腕時計を持たない。スマホで充分なのだ。しかもスマホは正確無比・・・

それぞれが持っている機能と、それに対する値段の異常・・・。いやになっちゃう時代になったものだ。

130527ikanakucha <付録>「ボケて(bokete)」より

|

« 2013年の「サラリーマン川柳」ベスト10 | トップページ | ペギー葉山の「越後の子守歌」 »