「人質司法、冤罪の温床 身柄拘束、罪を認めるまで」
先日の朝日新聞に、冤罪の温床になっているという、罪を認めるまで身柄を拘束するという日本の制度についての記事があった。痴漢事件と言い、どうも自分は「冤罪」という言葉に反応してしまう・・・。
「(変わる刑事司法:下)人質司法、冤罪の温床 身柄拘束、罪を認めるまで
日本の身柄拘束の現状
昨年、コンピューターウイルスで遠隔操作されたパソコンから犯罪予告が書き込まれた事件では、4都府県警が4人を誤認逮捕し、うち2人は「自白」までさせられていた。否認を貫いた大阪府の男性を弁護した土橋央征(おうせい)弁護士は先月、東京都内の集会で「長期の身柄拘束」を問題にした。
男性は昨年8月の逮捕後、「犯人はお前しかいない」と連日迫られた。犯行時間帯のアリバイがあったのに、次第に「私がやったんですかね」と自ら尋ねるようになった。「追い込まれるまで、それほど時間はかからなかった」。土橋弁護士は振り返る。
いったん逮捕されると、罪を認めるまで外に出られない――。こうした「人質司法」は冤罪(えんざい)の温床だと、批判されてきた。刑事司法の改革案を議論する法制審議会の特別部会は、住居や会える人を制限したうえで、拘束せずに取り調べる仕組みを検討している。
■裁判官の判断で韓国は減少傾向
先進地として視察したのは韓国だ。軍事独裁の時代、多くの政治犯が拷問を受けた反省がある。2007年以降は裁判官が必ず容疑者と面談。身柄拘束が不要と判断すれば、捜査機関は従わざるを得ない。
特に経済犯罪や窃盗などの財産犯は、自宅から取り調べに通う例が多いという。日本弁護士連合会の報告書によると、身柄を拘束されたまま起訴された人の割合は09年時点で、日本が約80%だったのに対し、韓国は約14%だった。
大韓弁護士協会で司法人権小委員長を務める李光洙(イグァンス)弁護士は「拘束が長引けば、家族や職場への影響を心配し、うその自白をしてでも早く裁判を終わらせようとしがちだ。拘束せずに心理的負担を減らせば真実に近づけるし、社会復帰もしやすい」と評価する。
影の部分もある。
昨年4月、ソウル市で40代の女性が男に刺殺された。女性は事件前、「別れ話を切り出したら監禁され、性暴力を受けた」と警察に駆け込んだ。警察は男の身柄拘束を求めたが、裁判所は認めなかった。
研修施設で教える李完揆(イワンギュ)・部長検事は「容疑者が別の事件を起こしたり、被害者や目撃者に報復したりする例がある。証拠集めが終わる起訴段階までは拘束を認めるべきだ」と訴える。
■検察の意識改革、求められる日本
日本の裁判所にも、変化はうかがえる。あるベテラン裁判官は「どんな刑が予想されるかを前提に考えるようになった」と語る。罰金刑が多い初犯の痴漢などでは、拘束しない例も増えたが、支障は感じないという。しかし、起訴後まで拘束が続く例はまだ多い。
大阪地検特捜部が手がけた郵便不正事件。有印公文書偽造などの罪に問われた自称障害者団体の元幹部(故人)は控訴審で、取り調べ検事からこう言われたと訴えた。「否認すれば(拘束は)長くなるぞ。10日で済むか、20日で済むか、何カ月、何年になるかはお前の態度次第だ」
大阪高裁は昨年3月、こうした訴えを「排斥できない」と指摘し、逆転無罪とした。元幹部の弁護人は言う。「人質司法は続いている。制度に加え、捜査側の意識改革なしに、刑事司法は根本的には変わらない」 (中野晃=ソウル、久保田一道、岡本玄)」(2013/04/23付「朝日新聞」より)
つくづく“国家権力は怖い”と思う。警察・検察に“見込まれたら”最後、牢屋にぶち込まれる。それが、残念ながら現代日本の現実らしい。そして、警察・検察の“見立て”通りに自白を強要され、慣れない素人は先の記事のように「私がやったんですかね・・・?」と“自白”する。そして一件落着・・・。そしてマスコミで騒がれる事件ほど、権力側のメンツがかかっているから、なお怖ろしい。
自白しても裁判所で言えば何とかなる・・・という素人のかすかな望みも、自白した調書優先(追認)の日本の裁判では、「反省が足りない」と言われてチョン・・・。
要は、“逮捕されないこと”に尽きるのだが、こと痴漢事件だけは素人がいつ巻き込まれるか分からない。自分の話は、どうもそっちの方に行ってしまうが、どんなに混んだ満員電車でも、自分の目の前の人は必ず男性に・・・。これがトラブルに巻き込まれないためのせめてもの知恵であろう。そして、急がずゆっくりと歩くこと・・・。
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