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2013年4月10日 (水)

「がん名医が末期がんに…それでも「治療しない」と語る理由」

先日、Netでこんな記事を見つけた。

がん名医が末期がんに…それでも「治療しない」と語る理由
「誰にも言っていませんが、余命は1年もないでしょう」と自らの余命を語るのは、神戸市「新須磨リハビリテーション病院」院長の神代尚芳医師(67)。これまで約200人のがん患者を看取ってきたという神代医師。そんな彼が今、末期の肺がんに侵されているという。
がんが見つかったのは、昨年5月のこと。手術は、親友の医師により7月に行われた。だが現在、神代医師は抗癌剤や放射線治療などの治療を行なっていないという。「『大細胞型』のがんは抗がん剤が効きにくく、放射線治療も効果がないんです。だから、もう対応のしようがない。飲んでいるのも胃腸薬ぐらいです。もちろん、自分がこれまで患者に言ってきたことと違うことをするわけにはいかないという思いもあります」
これまで彼は患者への治療を必要最小限にとどめてきた。それは延命ではなく“自分らしい人生”を送ることに重点を置いた治療だった。神代医師によると、今の医療はやるべき治療を行なっていない一方で、やり過ぎだと思うことも多いという。「もちろん何でも放置すればいいというわけではないですよ。でも手遅れなのに手術を重ね、辛い治療を続けることで“最期の時間”を犠牲にしている人も多いんです」
そんな彼が20年間に渡り提唱してきたのが『完成期医療福祉』という考え方だ。「『死ぬことはこの世から消えてしまうこと』だと考えると耐えられないほど恐ろしい。でも『死は人生を完成させるもの』と思えば、怖くなくなる。つまり充実した最期をもって人生を完成させるということです。そのためには、管理された病院で死ぬのではなく、自宅などの自由でいられる場所で最期をすごす必要があるんです」
患者のために人生を捧げてきた神代医師の考える“人生の完成”。それは、独居老人が自宅に戻って充実した最期を迎えるにはどうすればいいのか。どんなサポートが必要なのかという答えを見つけることだった。「幸か不幸か、私はがんになりました。だから自らが実験台となり、それらを見極めたいと思うようになりました」
しかし、今年2月に脳への転移が発覚。“独居闘病生活”の試みは、断念せざるをえなくなったという。理想と現実の間で揺れ動く神代医師は、しみじみとこう語る。「今回、私は2度の手術をしましたが、これでよかったのかなと思うこともあります。でもそれは最期にならないと誰にもわかりません。医者といっても神や仏じゃなく、人間ですから。何がよかったかなんて最期までわからない。そんなもんです」
そんな神代医師を支えているのは、家族の存在だ。妻の実津子さん(58)がこう振り返る。「今回の独居をいちばん反対したのは、27歳になるひとり娘でした。『なんで最期なのにパパと一緒にいられないの!最期はパパと一緒にいたい』と強く反対したんです。主人は子煩悩でしたからね。その言葉も心に響いたようです」
夫を元気づけようと、実津子さんは日本舞踏の仕事を辞め、夫の介護に専念することを決意。神代医師はいま、妻の作ってくれる手料理を何よりの楽しみにしているという。実津子が続ける。「普段は毎日料理をつくるのなんて疲れると思うはずですけど、今は不思議と楽しいんです。体調がいいときは一緒にお酒も飲んだりするんですよ。もちろん、ほんの少しですけど(笑)。こんな生活は、病院だとできないでしょうね」
神代医師は『いざとなっても救急車を呼ぶな』と実津子さんに言い聞かせているという。実津子さんは、笑顔でこう語る。「実は24時間ずっと主人が家にいる生活なんて、結婚して30年で初めてのことなんです。がんになったのは残念ですが、その反面、いま初めて主人がいつも家にいる。娘にすれば『パパがいる』生活なんです。きっと神様が最期に幸せな時間を与えてくださったんじゃないでしょうか。そう思うようにしています」
(「女性自身」3月30日(ここ)より)

たまに本屋に行ってビックリする事がある。石飛先生(ここ)や、慶大の近藤誠医師(ここ)の本がたくさん積まれている。つまり、それだけ医療のし過ぎや、自然死についての感心が大きいということなのだろう。
しかし現場の医師の判断は大きな意味を持つ。現場の医師による「もし自分だったら・・・」という行動が、一番正解に近い。それが上の例では、「治療をしない」という選択。

前に「同僚の肺癌・・・」(ここ)という記事を書いた。当時、その同僚は末期の肺がんが見付かって、既に骨に転移しており、その後、脳にまで転移している。
発見されてから、かれこれ2年になるが、その同僚は毎日元気に会社で仕事をしている。もちろんK大病院には通っている。当初、K大の治験に協力を要請さたといい、そのラインで治療をしている。
あまり聞けないのだが、先日ヌケヌケ聞いてみた。「体調はどうだ?」「良くもなっていないが、悪くもなっていない」・・・。これは何より・・・

結局自分も場合も、がんの時、治るものなら積極的に治療をするが、末期で、抗がん剤もあまり期待できないとすると、何もしない、という選択肢を選ぶことになるのだろう。
そんなことを考える時期が遠いことを祈るが、誰でもいつ何時、襲ってくるか分からない。でもあらかじめ考えておくことは、そろそろ必要かも・・・
「備えあれば憂いなし」・・・。おっと、あまり関係無いか??

(関連記事)
同僚の肺癌・・・・・ 

130410sabo <付録>「ボケて(bokete)」より

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コメント

小生が入院したことがある新須磨リハビリ病院の神代先生がガンだとは初めて知りました。
同時に、過剰治療に頼らずありのままの人生を選択された信念に深く感銘を受けました。

小生はガンではありませんが、脳動脈瘤の極初期段階らしく、医者は早期治療を薦めますが断り続けております。
何故なら治療リスク4%に、発症確率3%の治療は?だと思った訳です。
更に言えば、片割れさんから言われたように「知らぬが仏」のほうが人生幸せだと感じるようになりましたからです。

【エムズの片割れより】
奇遇ですね。神代先生をご存じとは・・・
手術は、大きな選択が必要になりますよね。我々も昨年。息子の不整脈で、成功率95%と言われたものの、躊躇しました。もし5%に入ったら・・・、と考えると色々な想像をしてしまって。
自分のような病気に対しての弱虫は、やはり知らぬが仏・・・なのです。

投稿: 杉ちゃん | 2013年4月17日 (水) 22:16

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