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2013年4月 4日 (木)

「ゾウ虐殺の原因つくつた日本人。象牙を持たない日本社会を」

先日、カミさんが買ってきた「ビッグイシュー」211号に、象牙についてのこんな記事があった。

ノーンギシュの日々(130)  滝田明日香
   密猟によるアフリカゾウ絶滅の危機③
狙われる若い雄。群れの構成変わり、種の維持が不可能に
  象牙1.6本でまかなえる、テロ爆破に必要な資金

 アフリカ内で象牙取引を資金源としていることが表立って知られているグループが3つある。アルカイダ・グループとつながっているとされ、ケニア内で数多くの爆破事件を起こしているソマリアのイスラーム勢力「アル・シャバブ」。住民の殺害や少年兵としての子どもの拉致や性的搾取などで知られる、コンゴ民主共和国東部、ウガンダの北部地域と南スーダンの一部で活動をしているコンゴ民主共和国の「コンゴ・神の抵抗軍」。そして、スーダン西部ダルフール地方で2003年以降3万人もの非アラブ人の民族浄化をしたとされる武装騎馬隊「ジャンジャウィード」。ジャンジャウィードによるカメルーン北部のブバ・ンジダ国立公園での約500頭のゾウの殺戮は、何度か国際ニュースでも取り上げられている。
 ケニアの首都ナイロビとタンザニアのダルエスサラームで起こったアメリカ大使館同時多発テロ爆発事件で、テロリストが使った資金は5万ドルといわれている。アフリカゾウの象牙1本の平均は13・5キロ。現在の象牙価格に換算すると、さらなる爆破事件を起こすにはわずか1.6本の象牙で資金調達が可能になる。もはや動物保護問題だけでは片づけられなくなってしまった象牙問題。違法象牙と密猟の陰には、抹殺されるゾウの姿以外にも、テロリストや反政府グループによる非人道的犯罪とアフリカ経済破壊が深く絡まっている。
 これほどのひどい密猟にあって、アフリカゾウに将来はあるのだろうか? 密猟は生きのびたゾウの生存にどれぐらい影響を与えているのだろうか? ゾウの研究者はその謎を解明しようとしている。
 ケニアの有名なゾウ学者のイアン・ダグラス・ハミルトン博士は、彼の研究するサンブル地方に住むゾウは密猟によって群れの構成までが変わってきていると言う。大きな象牙を持つ雄の個体が密猟者に狙われてしまい、サンブル地方のゾウは70パーセントが雌である。そして、25歳以上の繁殖可能な雄のいない状態の群れが14パーセントあるという。

ゾウ虐殺の原因つくつた日本人。象牙を持たない日本社会を
 ゾウの密猟方法も場面ごとに変化していき、密猟パトロールの手も追いついていないのが現状だ。パトロールを行うレンジャーがいない保護区の外のエリアではゾウを殺すのに主に機関銃が使われ、銃声がレンジャーに聞こえてしまう場所では音がしない毒矢や槍を使ってゾウが殺され続けている。
 ゾウの好物のカボチャをくり抜き、強力な毒であるカーボヒューラン系殺虫剤フューラダンを詰め込んで、ゾウが歩く道に置くケースなども出てきて、レンジャーたちにも手に負えない状態になってきた。そして、このゾウ虐殺の惨事の裏には、ゾウを守るために日夜サバンナを走り回り命を落とすレンジャーがいることを忘れてはならない。
 このように、毎年アフリカゾウの約1割が密猟者によって殺され続けているアフリカ大陸。研究者の多くが、この数字は生物学的に種の維持がほぼ不可能なことを示していると主張し、今後10年でのアフリカゾウの絶滅の可能性を訴えている。危機はそこまで深刻になっている。
 00年に一時閉ざされていた象牙市場を再び開いて、ゾウの虐殺の世界の幕開けの原因130404zou をつくってしまった国、日本。日本人として、アフリカゾウのために何かできるのだろうか? 実は、私たちのみにできて、他の誰にもできないことがある。
 それは、象牙の需要をなくすことだ。 市場に出回っている象牙は、合法、違法であろうとすべて、血だらけの象牙だ。血まみれではない象牙を持っているのは、生きているゾウだけ。
 日本の象牙需要がどんなにアフリカゾウの存在を脅かしているか、店先に並ぶ印鑑をはじめ、どんな象牙も死んだアフリカゾウからしか取れないということを、これから象牙を買おうとしている人たちに伝えてほしい。
 89年に、全世界が「象牙をほしがらない世界」をつくり上げてアフリ カゾウを危機から
救ったように、日本人がアフリカゾウを救うためにできる一番大切なことは、「象牙を持つのはいけないこと」を常識とする日本社会をつくること。どうか、象牙廃止に向かって一歩踏み出してほしい。すべてのアフリカゾウが、象牙に変わってしまう前に……。」(雑誌「ビッグイシュー」211号(2013/03/15号)より)

関連記事を調べてみたら、最近の日経にも記事があった。
アフリカゾウ密猟・密輸急増 象牙目当て「絶滅も」
 日本を含めたアジア各国で高値で取引される象牙目当てのアフリカゾウの密猟と密輸がここ数年、急増傾向にあるとの報告書を国連環境計画(UNEP)や国際自然保護連合(IUCN)などのチームが7日までにまとめた。中国やタイなどでの需要が急増していることが背景にある。
 チームは「アフリカゾウは生息地の破壊も深刻で、このままでは種の存続が脅かされる」と警告、バンコクで開催中のワシントン条約締約国会議で、関係国に対策強化を勧告した。印鑑や装飾品などの象牙市場を抱える消費国の一つとして、日本も取引監視体制の強化などを求められそうだ。
 アフリカゾウの生息国で確認されたゾウの死骸のうち、密猟で殺されたとみられるゾウの比率は、2005年の24%から11年には70%にまで上昇した。
 全個体数の約40%に当たる約23万頭のアフリカゾウが生息するワシントン条約の密猟監視プログラムの対象地域だけで、11年には1万7千頭のアフリカゾウが密猟で殺されたと推定。実際の数はさらに多いという。
 一度の象牙の押収量が800キロを超える大規模な密輸事件の摘発が、09年には8件、10年には9件、11年には17件と増加傾向にあり、チームは「犯罪組織による大規模な密輸、密猟が増えている」と分析した。
 ケニア、南アフリカ、タンザニアなどから東南アジア諸国を経て、タイと中国に運ばれるケースが多かった。
 報告書は、需要は縮小傾向にあるとしながらも、日本国内に象牙の市場があることに言及している。〔共同〕」(
2013/3/7付「日経新聞」ここ

「知らぬが仏」を広辞苑で引くと「知ればこそ腹も立つが、知らなければ仏のように平穏な境地でいられる。転じて、当人だけが知らずに平気でいるさまをあわれみ、あざけっていう語。」とある。

象牙問題について、自分も全く知らなかったわけではない。しかしテロ活動との関連についてはあまり意識がなかった。
実は自分も象牙の印鑑を持っている。もう40年も前、新入社員時代に、昼休みに会社に出店していた店で実印と認め印を頼んだ。その印鑑が、全ての銀行印になっている・・・
もちろん買ったのはそれ1回・・・。ナンテ言っても、言い訳にもならず・・・

それにしても、未だに印鑑の象牙信仰はあるのだろうか?
試しに、楽天市場で「象牙 印鑑」で検索してみた。すると何と44,000件の店がヒット。ついでに、良く聞く「黒水牛 印鑑」で検索すると43,000件。
なるほど、日本はまだまだ象牙信仰があるらしい。
幾ら禁輸印材だとしても、結局、需要があるから商品もある・・・。(ここ

結局日本は、“象牙を持っている事が恥”という文化にしないといけないのかも・・・。

130404kirin <付録>「ボケて(bokete)」より

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