« 「自動車は道具か文化か」 | トップページ | 「島村信之画集」を買ってしまった »

2013年4月13日 (土)

「死刑執行、21の国・地域で」~死刑と終身刑

昨日の朝日新聞にこんな記事があった。
死刑執行、21の国・地域で
 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは11日、昨年1年間に日本を含む世界21の国・地域で死刑が執行されたと発表した。198の国・地域の状況を調査。中国は執行数を公表していないが、「数千人」と推計。残り20の国・地域で少なくとも682人が執行されたという。中国以外では、イラン(314人)、イラク(129人)、サウジアラビア(79人)。これらの国では執行数がこれ以上にのぼる可能性があるという。米国は43人。死刑を制度的に廃止したり、10年以上執行がなかったりする「死刑廃止国」は、140カ国にのぼるという。日本では、1年8カ月間なかった執行が昨年3月29日に再開され、昨年1年間では計7人。政権交代後の今年2月、自民党政権は3人について執行した。」(2013/04/12付「朝日新聞」p37より)

そしてまた、先日の朝日新聞で、終身刑についてのこんな記事を読んだ。
「(社説余滴)テキサスで死刑を考えた 野呂雅之
 経済協力開発機構(OECD)の加盟国で、死刑の執行を続けているのは日本と米国だけだ。
 米国では州ごとに刑事手続きが異なり、17州が死刑を廃止。死刑制度を残す33州でも実際の執行は南部、とりわけテキサスに集中している。
 そのテキサスで2005年に仮釈放のない終身刑が導入された。それで何が変わったのか。日本弁護士連合会の現地調査に同行して取材した。
 テキサスではそれまで死刑の次に重い刑は、日本と同じ仮釈放のある無期懲役だった。それが終身刑の導入に伴って廃止されると、検察官の死刑求刑は半減した。
 不思議に思って州検察官協会のロブ・ケッペル代表に尋ねると、こんな答えが返ってきた。
 「凶悪な犯罪者を再び社会に戻さないことが重要だ。そのため仮釈放の制度があれば死刑を求刑せざるを得なかったが、終身刑の導入でその目的は果たせるようになった」
 公益の代表者として、市民の安全を守る役割は終身刑でも十分だというのである。
 「死刑のハードルが低い州」という先入観があっただけに、新鮮な驚きだった。
 終身刑法案の起草者であるエディ・ルシオ・ジュニア上院議員の話も参考になった。
 法案は州議会に4度目の提案で可決されたが、その決め手になったのは世論調査だ。死刑の存続派が75%を占める一方、終身刑を導入する法改正には78%が賛成と答えた。
 この結果をみて、「市民が終身刑を必要としている」と議会がまとまったという。
 それにしても米国で感心したのは、死刑をめぐる市民への徹底した情報公開だ。
 刑務所の歴史を紹介する博物館では、89人の死刑に立ち会った元刑務所長が案内役をしていた。実際に使われた電気椅子を展示し、死刑囚の最後の言葉も公開している。
 死刑の判断を陪審員に委ねるのなら、死刑に至る情報を市民に知らせるのは当然だという対応を見るにつけ、裁判員制度をとる日本の秘密主義は尋常でないと感じた。
 日弁連は死刑を廃止し、そのかわりに終身刑を導入するよう求めている。ただ、当面は死刑と無期懲役の間に終身刑を導入し、量刑の選択肢を増やすのが現実的だろう。
 テキサスの検察官らを招き、終身刑をめぐる討論型の世論調査をしてはどうか。日本の法務検察の担当者に同席を求めるのはもちろんだ。(のろまさゆき 司法・防災社説担当)」(2013/03/28付「朝日新聞」より)

死刑制度については当サイトでも何度も取り上げた(ここ)。
裁判で一番死刑を望むのは、普通被害者の家族だ。その被害者家族も、終身刑があったとしても、やはり死刑を望むのだろうか? それとも、仮釈放がある無期懲役は許さないが、釈放がない終身刑なら仕方がないと思うのだろうか??

死には死を、という極刑の死・・・。この存在が犯罪の抑止力になっているのだろうか? 逆に、何人を殺しても、自分が死ぬことはない、とすると、殺人という犯罪が軽くなる心配は??
自分はどうも極刑としての死刑制度は、必要な気がする。

ところで、日弁連はどう考える?(ここ)の資料が詳しい。だいぶん前の資料だが、この資料をざっと読んでみても、この議論は単純な話では無いことが分かる。

確かに、良く言われるように、死刑の執行後であれば、冤罪が発覚しても取り返しが付かない。それは分かる。すると、冤罪の可能性がどれだけあるか・・・だ。先の八百長相撲での冤罪事件を見ても、世の中には冤罪は幾らでもあるような気がする。
話はずれるが、連日、バカバカしいほどに紙面や天下のNHKニュースでわざわざ報道されている女子中高生への痴漢事件なども、冤罪の坩堝(るつぼ)かも知れない。何度も書くが、自分は毎日のように新聞で目にする女子高生に対する痴漢事件を苦々しく思っている一人。もっと重大な事件が幾らでもあるだろうに、痴漢事件の “被疑者”だけを実名で垂れ流し、その人の人生を狂わせている張本人のマスコミ各社! そんなに痴漢事件が“日本国民が知らなければならない”重大なニュースなのか!? 何とも情けない・・・。おっと今日の話とは関係無いか・・・!?

話を戻そう。権力が、世を騒がせた事件を“一件落着”させるために、でっち上げる犯人だって、それが皆無と言う人は居ないだろう。
それに、終身刑の人が増えたら、費用が大変、という話もある。しかしそれは、受刑者に一生働いて貰って、その働いたお金を食費などの実費に充てれば済む話。
日本も、先のテキサス州のように、死刑制度は残したまま、終身刑を取り入れたら良い気がするのだが、そんな単純な話では無いのかも・・・。
wikiによると、日本の現在の死刑囚は133人だという・・・・・・。

(関連記事)
「終身刑 是か非か」~朝日新聞から

130413pinch <付録>「ボケて(bokete)」より

|

« 「自動車は道具か文化か」 | トップページ | 「島村信之画集」を買ってしまった »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「自動車は道具か文化か」 | トップページ | 「島村信之画集」を買ってしまった »