「小選挙区0増5減でも是正足りず」~「1票の格差、世界でも」
「1票の格差」問題がどうも気になる。今朝の日経新聞にこんな記事があった。(写真はクリックで拡大)
「小選挙区0増5減でも是正足りず 「2倍超」相次ぐ 3月時点の試算
衆院選の「1票の格差」を是正するため小選挙区を「0増5減」する新しい区割りを巡り、今年3月の推計人口で格差が2倍を超える選挙区が相次いでいることが日本経済新聞の試算で分かった。新しい区割りが基準とした2010年の国勢調査人口に基づく最大格差は1.998倍だが、その後の人口移動で格差が広がっていることを浮き彫りにしている。
自治体が国勢調査後の人口移動を加味して毎月推計している人口(推計人口)の今年3月1日時点の数値をもとに試算すると、選挙区の人口が最も少ない福島4区と最も多い東京1区の間の格差は2.065倍になった。ほかにも東京19区が2.053倍、兵庫6区は2.049倍など東京や兵庫の選挙区で2倍を超える選挙区が相次いでいる。
0増5減の区割りは衆院選挙区画定審議会(区割り審)が10年の国勢調査人口をもとに格差が2倍以上にならないことを基本に作成し、格差は改定前の2.524倍から1.998倍に縮まった。しかし国勢調査から2年半ほどを経て地方から都市への人口移動で格差は拡大。東日本大震災の影響もあり人口最少の選挙区は鳥取2区から福島4区に変わった。
最大格差2.43倍(公示日の有権者数)だった昨年の衆院選は各地の高裁で違憲・選挙無効の判決が相次いだ。夏にも予想される最高裁判決を前に、政府・与党は当面の是正策としてまず0増5減を実現する公職選挙法改正案の成立を急ぐ方針だ。
ただ一部の高裁が「0増5減では格差是正が不十分だ」と指摘したこともあり、民主党内には「0増5減だけでは見直しが足りず、違憲判決を受けかねない」と0増5減の先行に反対論がある。
0増5減でも実質的に2倍超の格差が生じていることについて、選挙制度に詳しい片木淳早大教授は「47都道府県にまず1議席を割り振る1人別枠方式を事実上温存した結果だ。完全な人口比例を含む抜本的な是正に取り組む必要がある」と話している。」(2013/04/08付「日経新聞」p2より)
こんな事は最初から分かっていたこと。人口が少ない選挙区で人口が増える徴候があるか、または人口の多い選挙区で人口が減る傾向があれば、1.998倍という超ギリギリの想定数字の法案でも、実際に2倍を下回ったかも知れないが、誰もが時間と共に格差は広がっていると感じていたはず・・・。
少し報道が遅い気もするが、まあ予想通りの話だな・・・。
一方、当サイトでも気にしていた世界各国の格差の状況はどうか・・・。同じく、こんな記事があった。
「1票の格差、世界でも 米、党利で恣意的区割り
昨年衆院選の「1票の格差」を巡る訴訟は16件の高裁判決のうち14件が憲法違反と判断され、うち2件は選挙無効にまで踏み込んだ。公正な選挙制度を通じた投票価値の均衡は民主主義の根幹を成す。世界中の民主主義国家が向き合ってきたテーマだが「平等な1票」に向けた調整は政治的な思惑に大きく左右される。各国の事情を探った。
今年1月、日本が議院内閣制のお手本としてきた英国で選挙制度改革を巡って連立与党間に亀裂が走った。
保守党が主導した区割り見直し案の次回総選挙での実施を連立相手の自由民主党が野党と組んで阻止したのだ。
日本の衆院に相当する英下院は従来、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの各地域内で別々に区割りを見直してきたため、英国全体の「1票の格差」は最大5.05倍に達していた。
延期の決まった改革案は全国で区割りを見直し、各選挙区の有権者数を全国平均の上下5%以内に収める内容。人口の多いイングランドで強い保守党に有利な条件だった。キャメロン政権の不人気もあり、英メディアでは2015年総選挙で労働党が政権を奪還するとの観測が強まっている。
米国の選挙制度もまた根深い党派対立を内包している。
米国では下院議席は各州の人口規模に合わせて配分。格差は最大で1.88倍に上るが、同一州内では極力同数となるよう徹底されており、特に問題にはなっていない。
見直しの際、州議会与党が自党に有利となるよう恣意的でいびつな区割りを設定する例が相次ぎ、問題になってきた。保守とリベラルの二極化の一因との指摘もある。
上院は人口規模に関係なく憲法に基づき各州2議席が割り当てられている。人口が全米最大のカリフォルニア州と山岳地帯にあるワイオミング州の1票の格差は実に66倍にも達している。このため「先進国で最も民主的ではない議会」とも呼ばれる。
この格差は大統領選にも影響を与える。大統領を選ぶ各州の「選挙人」の数は州選出の上下両院議員数と等しいためだ。オバマ氏が再選した12年大統領選での1票の格差は最大3倍を超えた。
憲法裁判所の要求を受けて格差是正に動いたのがフランス。07年の国民議会選では、最大格差が5倍を突破していたが、憲法裁の要求で1県最低2人の議員を選出するルールを撤廃。その結果、12年の前回選挙で格差は2.37倍まで縮小した。
韓国でも01年、憲法裁が国会議員選挙の選挙区別の人口格差が3倍を超える区割りを違憲と判断。その後は3倍を超えない範囲で区割りを見直してきたが、定数減に踏み込めず、逆に議員定数は00年の273から12年には300まで拡大。議員の「焼け太り」に国民は厳しい目を向ける。
政治に振り回されることを防ぐ意味で参考になるのが、ドイツ連邦議会(下院)だ。法律で総選挙のたびに、各選挙区の人口が原則として全国平均の上下15%を超えないように区割りを設定している。09年総選挙後にも区割りを変更。今秋の総選挙では最大格差が1.47倍と、日米仏英を含めた5カ国中で最も小さくなる。(アジア部 佐野彰洋)」(2013/04/08付「日経新聞」p6より)
若しかすると、日本の政治家は、世界の国々の同じような体たらくを認識していて、それでサボっているのかな・・・!? 「日本なんて、まだマシさ」って・・・。
それにしても世界の先進国と言われている国でさえ、この恣意的な動き・・・。それほど政治家というポストは、実入りがよいのだろうか??
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