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2013年3月30日 (土)

「成年後見訴訟」への哀れな政府の対応

先日の日経新聞「春秋」にこんな記事があった。
「ばくちに負けない方法の第一は、やらないことである。もう一つ、やり続けるという方法がある。続けている限り負けは確定しないから、という理屈だが、ほとんどすべての場合、なけなしの財産をどんどん減らすばかりだ。そんな愚を思い起こすのは不謹慎だろうか。
認知症や知的障害のある人が財産管理などのため成年後見人をつけると、自動的に選挙権を失う。その決まりは憲法に違反すると言った東京地裁の判決に対し、政府が控訴した。負けは覚悟のうえで判決の確定を先延ばしにするのが目的のようである。なぜか。判決が確定してしまうと選挙事務が混乱するからだという。
神話の中で女神が掲げて以来、天秤は長らく正義のシンボルになってきた。が、政府の天秤ばかりは目盛りが狂ってやしないか。一方に事務作業を載せ、一方に選挙権を載せると、事務の側に傾くというのだから。結果が、法を正して事務に支障がなくなるまでは本来なら投票できる人の選挙権を奪うというむちゃになる。
発想が逆である。国民の選挙権を守る。そのためにしなければならないことに今すぐとりかかる。できない、と言うなら、できるように考え、動くのが政治ではないかと申し上げるしかない。民主主義の根っこにある選挙権を質に入れてずるずる勝負をするようでは、信頼というなけなしの財産はあっという間に底をつく。」(
2013/3/29付「日経新聞」春秋より)

先日の朝日新聞にも、こんな記事もあった。
「・・・・原告の名児耶匠(なごやたくみ)さん(50)の代理人で「後見選挙権訴訟弁護団」事務局長を務める関哉直人弁護士は「控訴せずに法改正を早く進めてほしい。裁判が続けば確定までさらに2~3年かかり、今夏の参院選で投票できなくなる」と話す。
 だが、実務を担う官僚の壁が立ちはだかる。
 公選法を所管する総務省には、控訴せず違憲判決が確定して選挙事務が混乱することへの懸念が根強い。判決が確定しても制度改正までに「空白期間」が生じる可能性が高く、被後見人の選挙権をどう扱うかを各地の選挙管理委員会が判断できなくなる。同省幹部は「地方選挙は次々と行われており、現場が混乱する」と主張している。
 谷垣禎一法相も19日の記者会見で「上級審で判例が統一されれば混乱が生じない」と、控訴を否定しなかった。札幌、さいたま、京都の各地裁で同様の訴訟が続き、東京と異なる判決が出る可能性もあるからだ。」
(2013/03/23付「朝日新聞」p4より)

この記事を読んで、“官僚の壁”について強い違和感を覚えたが、今回の政府の対応には、各紙は社説などで一斉に反論している。
東京新聞は「国民の基本的人権より役人の選挙事務が大切だ。成年後見人がついた人に選挙権を認めた東京地裁判決に対し、控訴した国の理屈とはそういうことだろう。」と指摘し、朝日も「おりしも一票の格差をめぐって厳しい判決があいついだ。成年後見訴訟とあわせ見えてくるのは、民主政治とそれを支える選挙の重要性を、正しく理解しようとしない政治の姿だ。」と指摘している。

こんな報道を読むまでもなく、政治の国民無視・私利私欲の動きに、国民は無力感を感じるだけ・・・。
よく新聞記事で「こんな事をやっていると、○○の信頼を失ってしまう・・・」という表現を見る。国会の信頼、司法の信頼、政府の信頼・・・。今まで、あらゆる事の“信頼が失われる”と書かれてきた。
でもそんな指摘を何度書いても、政治家や官僚を含む“国家公務員どの”は誰も屁とも思わない。
イタリアの政権発足の混乱を見ても、日本だけとは言わないが、政治とはかくも難しいことか?
それにしても、国民に対する日本の官僚・政治家の心は、ゾッとするほど冷え切っているようで、何とも言葉がない・・・。

130330asituita <付録>「ボケて(bokete)」より

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