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2013年3月 6日 (水)

PCオーディオ~ハイレゾ音源をどう捉える?

会社に、一人だけオーディオ好きの男がいる。その男が、盛んに自分に「PCオーディオ」を勧める。いわゆるハイレゾ音源である。(ハイレゾ=High Resolution(高解像度の音)=CDは16bit/44.1kHzだが、ハイレゾ音源は、24bit/96kHzや24bit/192kHzなどがある)
パソコンとD/Aコンバータだけあれば聞けるハイレゾ音源。先日の日曜日に、少しだけチャレンジしてみた。USB入力のD/Aコンバータはあるので、投資は500円のパソコンと結ぶUSBケーブルだけ。(相変わらず、500円のケーブルを無料で宅急便で届けてくるAmazonの仕組みが分からん・・・)

先ずは「e-onkyo music」につないでハイレゾ音源を探す・・・。カルロス・クライバーの「運命」第1楽章が400円だという。WAVEで、192KHz。「Windows Media Player」では96KHzまでしか再生できないため、定番だという「foobar2000」をインストールした。このような無料サイトは「ダウンロード」という大きなアイコンは広告アイコンのため、どこからダウンロードするか注意が必要。
ついでに、「Windows Media Player」もバージョンを11にアップした。
それで、「運命」を購入。音源はクレジットカード払いなので、簡単に購入できる。

さて「foobar2000」で聞いた音・・・。なるほど、確かにCDとは少し違う。生々しいという表現はありふれているが、高音の解像度が上がっているようにも聞こえる。もちろん自分の思い込みだが・・・。
この音を主観ではなく、何か客観データで評価できないものか・・・?
それで、CD音源と二つの周波数特性を比べてみた。いつものように、mp3に落として、フリーソフト「Audacity」でスペクトラム解析。(そもそもmp3に変換しているので、何の評価か?という見方もあるが、まあ相対値として・・・)(写真はクリックで拡大)

(ハイレゾ24bit、192KHz)の波形
130306wave1 130306wave2

(CD 24bit、44.1KHz)の波形
130306cd1 130306cd2
(二つの波形図をクリックで表示して、「Alt+Tab」で切り替えてみると良く分かる)

ここで分かったことは、CDの音源は、明らかに高域が持ち上がっている、ということ。オリジナルの音源が同じだとすると、どんな周波数でPCM化するかだけの問題なので、周波数成分が変わるわけ無いと思うのだが・・・。
Netで調べてみると、このカルロス・クライバー指揮ウィーン・フィルの「運命」は、1974年のアナログ録音だという。よって、デジタル音源のアップコンバートと違って、ハイレゾにすると差が出るはず・・・!?
結果、どうもこれはドイツ・グラモフォンの「OIBP(オリジナル・イメージ・ビット・プロセッシング)」というリマスターに原因があるようだ。元々の音源は、このように高域が上がっていなかったらしい。
130306highreso つまり、今回購入したWAVE盤が正しいようだ。しかしこの容量の差・・・。今回購入のハイレゾWAVE盤が504M、CDのWAVEが76M、MP3では8.6Mだ。
当たり前の事だが、“何が良い音か”は主観。自分にとって聞き易い音が良い音。よって、取りあえず今回の自分なりの軍配は、ハイレゾ・・・。

自分の好きな歌謡曲のハイレゾ音源は無いか、と探してみた。すると石川さゆりと森昌子が見付かった。石川さゆりのテイチク盤「津軽海峡・冬景色」は優秀録音で好きだが(ここ)、e-onkyoにあったのは古いコロムビア盤。よって、試しに森昌子の「愛傷歌」を買ってみた。この音源はDRM(著作権保護管理)付きなので少々やっかい。再生ソフトとしては、「Windows Media Player」でしか再生できない。もちろんMP3化することも音量を変えることも出来ない。
この音源もCDのWAVE音源と比べてみた。こちらの音源は「16bit/44.1kHzのデジタルデータを配信用チューンナップを施した後、24bit/96kHzにアップコンバートしたオリジナル音源」だそうで、結局CD音源との違いは分からなかった。

ついでだが、このアップコンバートという技術が感覚的によく分からない。何で音が良くなるのか? アナログ音源なら、サンプリングする周波数が上がることで、元のアナログの音に近くなる。しかし、元々がCDの44.1KHzなので、幾ら96Kに上げても、その間の情報は存在しない訳で、結局は近似値でしかない。これは“良い音”と思わせるテクニックの一つなのかも・・・。

まあ試してみた結果は、
1)少なくてもアナログ音源であれば、ハイレゾ音源は良い音に聞こえるようだ。
2)元々のCD音源からアップコンバートした音源は、自分の「良くなるはずが無い」という思い込みもあり、違いが良く分からなかった。
3)ダウンロードによる音源の購入は、実に手軽で便利だが、パッケージソフトのダウンロード購入と同じく、形が無い分、何か不安・・・。

自分の趣味=歌謡曲を良い音で・・・、というには、音源があまりに少な過ぎる。よって、確かに手軽ではあるが、自分がPCオーディオにのめり込むことは無さそうである。

130306ote <付録>「ボケて(bokete)」より

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コメント

ハイレゾには興味があるですが、私も歌謡曲を良い音で聞きたいですが、曲が少ないないので手を出していないです。

そう感じてる人は多いように思うんですが、音源が増えないのは、歌謡曲ではハイレゾとCDでは、違いが分かりにくいのかなと思ったりしてます。

違いがあるなら需要はあると思います。

【エムズの片割れより】
歌謡曲を良い音で・・という方が居られるとは、嬉しい限りです。原理的には、歌謡曲でも何でも、情報量が増えれば、それなりに安心して聞けると思うのですが・・・。でも自分では違いが良く分からなかった・・・
ハイレゾは、パソコンとD/Aコンバータだけあれば聞けるので、手軽なのですが、1曲300円は高いですよね。

投稿: sai | 2013年3月23日 (土) 16:37

世の中が「圧縮音源」一色となり、若い音楽家がもはや日本では育つ環境がなくなっている現状を鑑み、危機感に駆られて再度コメントを投稿します。

ご無礼の段、何卒 お許し願います。

○私の解決要請は、下記の通りです。

1.地デジTV放送の音質向上(圧縮音源:1/7
との事で音質は悪化した)

2.BSTV放送の音質向上(交響曲演奏は、特に聞くに堪えない程の低音質レベルになっている。日本の恥だ)

3.FM放送受信は、マルチパス 歪み 雑音の影響より逃れることは出来ない→ネット放送受信が時代の流れか?⇒但し、圧縮音源で聞くに堪えない低音質なり、これが問題だ。

◎解決策の一つとして、PCオーディオによるハイレゾ音源で聴く時代になって来たと思います。ハイレゾ音源のインフラ構築が、最も望まれます。これが、景気回復にも大きく貢献出来るものと考えます。

*DAC選定 一つでも、音質に大きな影響を与えます。廉価なDACでは、音質評価は無理だ。又、デジタル ノイズの低減処理が最も大切です。

貴殿は、寄稿する場合の影響が大きいので もっと広い視野で客観的なデータにて披瀝願います。測定データ画像の客観的な条件説明が、今回はやや不足しているように思いますが・・・

又、コメントに対する貴殿の感想を述べるのが
最低限のエチケットだと思いますが・・・

*他の投稿欄では、このルールが徹底されております。

●PCオーディオを理解・構築できるハード ソフト技術者が少ないのが、日本での課題です。

○一方、ソニーはソフト(DSD,S/PDIF 等)を開発提供しており貢献しております。

●更に、それをサポート出来る経営者は日本には殆んどいないように思います。全くいないのが現状です。ベンチャー企業にはおられます。

◎結論、私は今秋に「NHK技術研究所」に出向き、上記課題に関し見解をお聞きする事といたします。(*公開されている技術論文は既に見ておりますので)

【エムズの片割れより】
なかなかコメントに対応出来ずに申し訳ありませんでした。あまりにHinomotoさんからのコメントの数が多く、間に合いませんでしたが、今後は貴ご指摘を心に刻むように致します。ありがとうございました。

投稿: Hinomoto | 2013年5月 5日 (日) 12:40

何故現在の演奏を全てがハイレゾで録音しないのでしょうか?
実に不思議!
何か理由があるかと?
なおさらCDが売れなくなる!
(市場に出払ったCD!)
原因は、そこじゃないだろう?

原因は!生演奏再生を本腰をいれ開発すれば!
都合が悪い!と言う事を実は知ってるから!
ではないのですか?

投稿: popi | 2013年8月 6日 (火) 08:40

おれもハイレゾ入れましたよ。ヨドバシやビックの店頭で試聴会は歪感が、全然違いましたから。騒がしい店頭のちゃちななステレオで、あれだけはっきり差が出るんだkら、STAXならどれくらい……

ぶっちゃけ差はわかりません。あちこちの実験レポートの通りになりました。

比較したのは、スタジオ機材のケーブル屋さん、LessLoss社が自分とこで録音した音源をCD級とハイレゾのフォーマットで公開しているものです。(リンク入れときます)

店頭で違って聞こえた音源は、そもそもリマスタの質に差があって音質差があったんでしょうね。ちょっとインチキ

投稿: gkrsnama | 2014年7月30日 (水) 23:44

3年前だったが、ハイエンドオーディオショー
のDENONブースでLPのラッカー盤を再生するという無謀な試聴会があった。
音源は「ひばりの悲しい酒(セリフ入り)」聴いてみて驚きました。歌の息使いやこぶしを利かす動作までも感じられそうな凄い音でした。
さっそくWAVで購入(24bit/96KHz¥400円)して感動よもう一度・・・・。ところが再現できなかった。
確かにワイドレンジでいい音なんだけれど、歌の息使いやこぶしを利かす動作が感じられなかった。それより既に購入していたADD録音
と変わらんのが不思議でしたね。

【エムズの片割れより】
いわゆる良い音は、オーディオマニアさんたちが凝るアナログレコードがやはり良いのですかね。
だから無謀な“超LP”が良かった?
原理的には、マスターテープをDSD化するのが最も劣化が少ないはずですが、意外と聞いていて差が分からない・・・
前に布施明のアルバムをWAVとDSDの両方を買って比べてみたが、差が分からない。そもそもCDとも差はわずか。
今時点での認識は、ハイレゾ音源を発売するときの、リマスタがもっとも差が出る要因では?
山口百恵や井上陽水など。よって、何もしていない布施明などは、差が僅か。
クラシックは、何も(リマスタ)しないことが多いので、CDとハイレゾ音源との差が分かりづらい???
よって、最近はハイレゾもリマスタ盤を買うようにしています。
あとは、“ハイレゾを買ったので最高の音質(のはず)”という自己満足!?

投稿: 杉ちゃん | 2019年6月24日 (月) 12:28

書き忘れました。
私もハイレゾの検証をやってみたいと思っていたらエムズさんがやられたので、大いに参考になりました。ありがとうございます。
2000枚のCDの断舎離に挫折した私ですが
HDCD録音盤を処分せず残せたのが不幸中の幸いかな?と思っている今日この頃です。

投稿: 杉ちゃん | 2019年6月24日 (月) 12:37

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