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2013年2月20日 (水)

「平穏に最期を迎えるために」~長尾和宏医師の話

NHKラジオ深夜便で、「明日へのことば「平穏に最期を迎えるために」医師…長尾和宏」(2013/02/09放送)を聞いた。
当サイトで、何度か取り上げている「自然死」についての話である。

<「平穏に最期を迎えるために」医師…長尾和宏」>

この先生は、尼崎のいわゆる町医者さんで、700人もの人を、在宅で看取ってきたとのこと。放送を聞きながら、いくつかのキーワードを拾ってみた。

・長尾さんのクリニックは、365日24時間の対応。10名の医師と25人の看護師などで、外来患者250人、在宅患者300人くらいを対応している。夜中の訪問は長尾医師が対応。
・在宅患者は、0歳から100歳までで、年寄りとは限らない。
・平穏死は現実にはほとんどかなわない。がんの末期であれば、腹水などの水がたまる。それを抜くと脱水になるので、点滴をする。そしてまた水がたまる・・・。吐血、輸血の繰り返しも同じ。苦しみながら最後は麻酔をかけて死んで行く。これは“死は敗北”という文化の現実。
・街に出て、延命治療をしなければそのような苦痛から解放されることが分かった。ガンの末期も、こんなに楽な最期だとは・・・と、皆がビックリする。
・ブドウ糖の点滴は、ガンに最初に取り込まれる。ガンにえさを与えることと同じ。
・苦しいと吐く。すると鼻から管を入れる。それが苦しいので患者は暴れる。すると今度は手を繋がれる。するともっと暴れるので、今度は眠らされる。結局、管だらけ・・・。
・自然死は、苦しまない。ほとんどの医者は、それを知らない。
・ガンでも老衰でも認知症でも、ある程度先が見えてきたら、せっかく体が省エネモードに入ってきているので、それを邪魔しないで、苦痛だけは取ってあげる。それが本当の医療ではないか。
・自然死は、それを見守ってくれる医師や看護師さんがいるかいないかが問題。家族も問題。いざというときに、家族が救急車を呼んでしまうと、それは延命治療をしてくれ、という意思表示になる。
・がん末期や老衰で死が近く、自分が自然死を望むなら、リビングウィルで紙で自分の意志(放っておいてくれ)を残してくことが大事。
・救急車で患者が運ばれてきたとき、患者本人の意志を尊重して延命治療をしなくても罪に問われないようにする尊厳死の法制化が、尊厳死議連で検討されている。
・欧米では、終末期に胃ろうをしても延命効果はない、ということが認められたので、末期の胃ろうはしていない。胃ろうは、いったん始めると、止めるのが難しい。
・自分の死について、あらかじめ具体的に考え、実行しておくことが大事。家族の同意や、自分の意志に添った医師も探しておく。

Netで調べてみると、この先生は非常に有名な先生で、著書もたくさんあり、講演で全国を飛び回っている先生らしい。
ここで改めて考えたいのは、いわゆる自然死について発信されている先生方の本が売れているという事実。そして、自然死についての講演が盛況であるという事実。
これらは、現在の病院での看取りについて、皆がいかに疑問を持っているかの証。

当サイトでも、朝日先生をはじめ、色々な先生の論を書いてきた。今、下の(関連記事)を書くために、当サイトの「生と死を考える」というカテゴリ(ここ)を開けたら、同じような話の記事が多いこと、多いこと・・・。つまり自分にとって“自然死・平穏死”は、カミさん共々大賛成なので・・・。

しかし、この話に賛同したとしても、在宅で看取ってくれる町医者さんがはたして見付かるかどうか・・・。
電車の中でこの放送(の録音)を聞いて、家に帰ったときにカミさんにこの話をしたら、それが居られるという。今、友人のご主人が在宅でその先生のお世話になっているとのこと。少し遠いが、隣の市・・・。でも近くにも、在宅で看取ってくれる先生が居られるのだ・・・(感激!!)

これから何年後かは知らぬが、自分の死の時までに、在宅で看取りをしてくれるこれらの医師を探しておくことにしようかな・・・。なるべく年下で(!)、その先生のお世話になるのが先(!!)であること祈りながら・・・。

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