日経・社会部長の「東大脳の限界を知りました」!?
ウチには全く関係無いけど、そろそろ今年もセンター試験のシーズン。
先日の日経「ザ・コラム」に、こんな記事があった。“東大脳”についての話・・・
「ああドラゴン桜 東大脳の限界を知りました
山中 季広「日経新聞」東京・社会部長
地元千葉で「ドラゴン桜」と呼ばれた文理開成高校(私立)が今年、入試中止に追い込まれた。6年前に校名を替え、「東大合格」を旗印に掲げた。漫画「ドラゴン桜」を地で行く経営だったが、思うように生徒が集まらなかったらしい。
「ドラゴン桜」は、経営不振の私立高に乗り込んだ熱血弁護士が1年で東大合格者を出すという物語である。作者の三田紀房さん(55)に尋ねてみると、連載中は講演先各地で「わが校もドラゴン桜方式で進学校化を果たしたいんです」と学校経営者らから話しかけられたという。
三田さん自身は、一人や二人の東大合格は学校再建の決め手にならないと話す。「新設校の評判を上げる即効薬として、東大合格と甲子園出場がある。東大は甲子園よりはるかに達成しやすい目標ですが、ある年にポッと受かったくらいで経営は好転しません」。知人が勤める野球の強豪校でさえ定員確保に四苦八苦しているのを見て、少子化の深刻さを実感したと言う。
漫画連載は5年に及び、ドラマにもなったから、ご記憶の方も多いだろう。魅力の一つは主人公が放つ決めゼリフだった。
「いいか、日本のルールは東大脳を持ったヤツらが作っているんだ」
「一生負け続けるのがイヤなら、お前らも東大脳に変わってみろ」
聞けば、三田さんは明治大卒で、20代は父親の残した洋品店の借金に追われたという。熱いセリフには、思うに任せぬ日々に培った処世観がこめられている。
漫画で紹介した受験技術の大半は、講談社の担当編集者だった佐渡島庸平さん(33)が提案した。灘高・東大卒、本物の「東大脳」である。「狙い目は理科1類(理工系)だとか、作品で描いたのは東大受験生の常識ばかり。参考書ではなく漫画で、しかもとっぴな表現ができたのが受けました」と佐渡島さん。連載では灘高仕込みの勉強法を惜しみなく開陳したそうだ。
もうひとり、ずぬけた東大脳をご紹介したい。福井一成さん(57)。現役で東大文科2類(経済学系)に合格し、なぜか翌年には理科3類(医学系)を受験してまた受かったという人である。
30年ほど前、東大受験生だった私は福井さんの合格手記を読み、「世の中にはこんな受験生がいるのか」と感嘆した。
訪ねてみると、伝説の受験生はいま、医学博士として東京都内の高齢者医療施設で働いていた。いまや日本一の東大合格者数を誇る東京・開成高校のOBだが、「2度東大を受けたのは、あのころの開成が受験界の中位校だったからです」と振り返る。
「ドラゴン桜ほどじゃありませんが、当時の開成は『とにかく現役合格を増やせ』式の進路指導でした。安全圏の学部ばかり勧められ、素直に文2を受けた。翌年、初心に帰って理3に挑みました」
福井さんによれば、合格に求められる東大脳は、当時もいまも(1)効率のよい暗記能力(2)高速の処理能力の2点に尽きる。「東大入試はノーベル賞やグーグルの入社試験とは違う。発想力は問われない。5教科を偏りなく記憶する、定石の解法を脳からすばやく引き出す、解くのに時間のかかる超難問は見切る。要るのはそんな力です」
「時間のかかる超難問」と聞いてすぐ、尖閣など領土問題や巨額の政府債務が頭に浮かんだ。東大卒の官僚や政治家たちの頭脳でも一向に解決しないのはなぜですか。
「脳科学的に言えば、使う部位が違うからです。たとえば東大数学で使うのは、主に左脳の側頭葉や海馬など記憶を担当する領域。財政や外交の課題を解くには、論理的思考をつかさどる左脳の前頭葉がメーンになる」。交渉ごとには政治的鋭敏さや人間的魅力が欠かせないが、それらは脳内のさらに別の部位が関与するそうだ。
東大入試で鍛えた側頭葉や海馬だけでは国家的難題はとても解けないわけである。
このところ東大脳の限界についてしばしば考える。5教科7科目の知識を頭にギューギュー詰め込んで東大にもぐりこんだ私自身、新聞社に職を得てすぐ発想力の乏しさを思い知らされた。何を取材するにもまず過去記事を探す癖を先輩に指摘された。
30歳で米大学に留学すると、東大式勉強法の弱点を痛いほど悟った。米国の教授たちの厳しさたるや東大の比ではない。「私の学説をなぞるな」「君の意見を言え」。他国からの留学生ははるかに貪欲で、授業では北京大脳やパリ大脳に圧倒されてばかりいた。私がほめられたのは実に二次方程式の解法くらいしかない。
自分のアタマの限界を母校のせいにするつもりはないけれど、東大は、グローバルな競争で他国に伍(ご)していけるよう東大生をもっと外向きに刺激していただきたい。明治以来、東大は、知識をすばやく答案用紙に再現できる「東大脳」を輩出してきた。欧米に追いつくことが何よりも急がれた時代、それは東大に託された国策そのものだった。だが、この先は違う。日本が殻を破るには、あるべき「東大脳」の定義を東大自身が思い切って変えるほかない。」(2013/01/13付「日経新聞」p10より)
「オーイ、“ドラゴン桜”って知ってるか?」とカミさんに聞くと、さすがマンガ好き!我が意を得たり・・・と、詳しく説明してくれる。自分は初めて聞いたけど・・・
そんな記事を読んで、“ナーンダ、東大卒の自慢話か・・・”では、この話が終わってしまうので、それはそれとして・・・
東大出の人の“頭の良し悪し”は、結局の所、記憶力と処理能力だって・・・。
現役時代を振り返ってみると、確かに東大出の人は優秀な人が多かった。東大以外でも、それなりの有名大学出は、それなりに優秀だった。でも東大出でも、自分とそれほど変わらない人も居た。つまり優秀⇒(結果として)東大であって、東大⇒優秀ではないのであろう。
ところで、優秀って何だ??
仕事もそうだが、あらゆる場面において、求められる能力は千差万別。先日NHK TV「イッピン」で見た燕市のスプーン製造会社の“磨きの達人”は、その道50年のおばさん・・・。
当然、人によって得手不得手の分野がある。たまたま記憶力に長けていた人が東大・・・・であって、それが人間社会の評価の全てではないのだ。
サラリーマン(ほぼ)卒業生の自分も、現役時代を振り返ってみると、会社という組織で優秀な人とは、「人を動かせる(魅力を持った)人」のように思う。人を動かせれば組織を動かす事が出来る。自分ひとりの力なんてちっぽけ。でも組織を動かせれば、何万人分もの仕事が出来る。そして結果も出せる・・・。
そんな意味では、優秀な人・・・とは、豊臣秀吉の若かりし頃かも知れないな・・・。
そして逆に“優秀でない人”とは、ゲンコツでしか人を動かせなかった人。つまり大阪の某高校の、バスケットボール部の顧問教師??
ま、自分なんか、「東大脳」とは縁が無かったので、「東大出のくせに・・・」という陰口を叩かることもなく・・・・・・。(でも自分も東大脳があれば、それはそれで邪魔ではなかったけど・・・残念!)
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