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2013年1月22日 (火)

唱歌「思い出(久しき昔)」

この歌を聞くと、小学校低学年の時の教室の風景を思い出す。教室の外から聞こえてくる上級生の歌声・・・。その歌を歌いたいために、早く6年生になりたい・・・と思ったもの。その憧れの歌が「故郷(兎追いし・・)」そして「思い出(かきに赤い花さく・・)」だった。(その当時の思い出は、前に書いた。ここ
その自分にとって大切な歌「思い出」を、まだ取り上げていなかった・・・。
改めてこの歌について調べてみると、ビックリしたことが2つあった。
一つは、音源が非常に少ないということ。自分は童謡・唱歌の音源も集めているが、いま数えてみたら1624曲あった。しかしこの「思い出」の音源は、東京放送児童合唱団と由紀さおりの、たった2つしか無い。オリジナルの「久しき昔」の音源2つを加えても4曲。これは、NHK FMでほとんど放送されていないということを意味する。つまり自分は、数十年に亘ってエアチェックしているので、たぶん・・・
それほどマイナーな歌ではない、と思うのだが・・・
その中では、やはり東京放送児童合唱団の歌が好きだな。

<東京放送児童合唱団の「思い出」>


「思い出」
  作詞:古関吉雄
  文部省唱歌(イングランド民謡)

垣(かき)に赤い花さく いつかのあの家
ゆめに帰るその庭 はるかなむかし
鳥のうた木々めぐり そよかぜに花ゆらぐ
なつかしい思い出よ はるかなむかし

白い雲うかんでた いつかのあの丘
かけおりた草のみち はるかなむかし
あの日の歌うたえば 思い出す青い空
なつかしいあの丘よ はるかなむかし

もう一つビックリしたのは、「“柿”に赤い花咲く・・・」だとばかり思っていたら、「“垣”に赤い花咲く・・・」なんだって!
130122kakinohana 昔の六年生の音楽の教科書に「かきに赤い・・」と書いてあったら、まず“柿”を連想してしまうよね。もし“垣”なら「かき“ね”に赤い・・」としてくれれば・・・。もっともこれでは詩にならないか~・・・(写真のように、柿の花は赤くないんだって!)

童謡・唱歌を聞く上で、自分にとって東京放送児童合唱団の存在は非常に大きい。子どもが一人で歌う(幼児っぽい)歌は、自分は全く聞かないが、児童合唱団の歌は良く聞く。児童合唱団では、クラウン少女合唱団、コロムビアゆりかご会、タンポポ児童合唱団、ひばり児童合唱団、森の木児童合唱団、杉並児童合唱団、西六郷少年少女合唱団、東京荒川少年少女合唱隊、そして東京放送児童合唱団などの音源が多いが、やはり格が上なのが、NHK東京児童合唱団(東京放送児童合唱団)。

児童合唱団について調べてみた。NHK東京児童合唱団は、wikiによると、「1943年(昭和18年)、NHKが放送合唱団を公募し、音羽ゆりかご会を東京放送児童合唱団として任命」という前歴はあるが、「1951年(昭和26年)には、NHK独自の児童合唱団として再編成。2003年10月より「東京放送児童合唱団」から「NHK東京児童合唱団」に改めた。」とある。つまり、1951年の発足らしい。
そして最も老舗の「音羽ゆりかご会」は、1933年に童謡作家の海沼實が創設したという。そして「同一音源であっても、日本コロムビアから発売される場合は「コロムビアゆりかご会」、他社から発売される場合は「音羽ゆりかご会」表記になる」とのこと。

なるほど・・・。それにしても「NHK東京放送児童合唱団」という表記が多いこと・・・。これは正確ではないのだ。自分も今日知った・・・。たぶん2006年以前の録音は「東京放送児童合唱団」であり、それ以降は「NHK東京児童合唱団」という表記になっているのだろう。

最期に、「思い出」の原曲である「久しき昔(“Long Long Ago”)」も聞いてみよう。

<東京混声合唱団の「久しき昔」>

   「久しき昔」(“Long Long Ago”)

     (アメリカ民謡/イングランド民謡)
     作詞:ジャック・ディ・メロ
     訳詞:近藤朔風
     作曲:トーマス・ヘーンズ・ベイリー

   語れ愛(め)でし真心 久しき昔の
   歌え床(ゆか)し調べを 過ぎし(久しき)昔の
   汝(なれ)帰り ああ うれし 永き別れ ああ 夢か
   賞(め)ずる思い変わらず 久しき今も

   愛(あい)し小道忘れじ 久しき昔の
   汝(な)忘れそと告げたる 久しき昔の
   わが笑(えま)い 人に賞(ほ)め 汝(な)が語る 愛に酔う
   その言葉なお胸に 久しき今も

   いよよ燃ゆる心(情)や 久しき昔の
   語る面(おも)は床(ゆか)しや 過ぎし(久しき)昔の
   長く汝(なれ)と別れて いよよ知りぬ真心
   共にあらな楽しや 久しき今も

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コメント

先日「思い出」を唱歌・童謡のエムズの片割れのレパートリーの中に加えていただくようお願いしたKeiichiKodaです。早速実現していただいてたいへん嬉しいです。金田一春彦・安西愛子『日本の唱歌(中)』(講談社文庫)にもこの歌詞について「読む詩としてはよいが、旋律と結びつけた場合、「垣に赤い花咲く」のつもりであろうが、「柿に赤い花咲く」と聞こえる。訳詞の難しさを示す一例である」とコメントされています。私もこのコメントをよむまで、てっきり「柿に赤い花咲く」だと思っていました。なお、先日「田舎の冬」のコメントで書きましたように、レコード集「この道はいつか来た道」の第2集「つくしんぼ背くらべ」のB面には島田祐子「思い出」が収録されています。
私は「田舎の冬」と同じく、島田祐子のこの歌が大好きです。

【エムズの片割れより】
そうですか・・・。島田祐子の歌はまだ聞いたことがありません。そのうち、FMで放送されると良いのですが・・・

投稿: KeiichiKoda | 2013年1月23日 (水) 12:42

「“柿”に赤い花咲く・・・」
同じような疑問を持った一人です。
近所の柿は白い花なので、親父に訊きました。
そしたら「垣」だと教えてくれて疑問氷解。
昔の教科書は注釈なんか無かったですからね。
教員も、あまりいい教育を受けてこなかった世代が多かったですから、細かいことは無視していたのかもしれません。

【エムズの片割れより】
改めて調べてみたら、どの歌集の歌詞も「かきに赤い・・・」とひらがなでした。
そして、柿の花を見たら、はやり白いんですね。自分は初めて見ました・・・

投稿: 通行人 | 2013年1月23日 (水) 15:46

「思い出」の追記です。「「田舎の冬」の音源が見つかった」とき、LP集「この道をいつか来た道」をエムズノ片割れさんは手に入れられたのだと思っていたのですが、そうではなかったのですね!
それはそれとして、YouTubeにはカントリーシンガーのマーティ・ロビンズ(Marty Robins)の英語の久しき昔(Long Long Ago)がアップされていますが、これもしみじみとしてなかなかいい歌ですね!興味のある方はアクセスしてみてください(↓)。

http://www.youtube.com/watch?v=jf5L4pZ_CgI

【エムズの片割れより】
そのLPは買ったのです。でもどれも盤質が悪く、音がボロボロでした。それで棄ててしまって・・・
そのLPに島田祐子の歌が入っていたのですか・・・
Youtube聞きました。まるで別の歌のようですね。ありがとうございました。

投稿: KeiichiKoda | 2013年1月25日 (金) 12:13

私の家にも近所の家にも柿の木は沢山あります。殆どが次郎柿です。花の色は黄色です。まだ白い柿の花を見た事がありません。白い花があるのを知りませんでした。種類が違うのでしょうか。何柿なのでしょうか。不思議で仕方ありません。

【エムズの片割れより】
自分は、だいたい意識して見ないだけ・・・。
たぶん柿の花も、散歩でよく見かけているのでしょうが・・・

投稿: 白萩 | 2013年1月26日 (土) 21:51

「思い出」私も大好きな曲の一つです。NHK放送児童合唱団以外にも
荒川少年少女合唱団(指導者用cdコロムビア盤)
西六郷少年合唱団(ディアゴスティーニcdコムビア盤)
島田祐子(この道はいつか来た道cdポリドール盤)
由紀さおり、安田祥子(cd東芝盤)
「この道はいつか来た道」レコード全集は20年ほどまえにcdでも全集が発売されました。レコード全集とは内容が一部違っていて コロムビア、キング、ビクターのかつての童謡歌手の往年の歌声入っており、大変気にいっております。

【エムズの片割れより】
そうですか。由紀さおり、安田祥子盤は持っていますがその他は聞いたことがありません。そのうちに聞いてみたいものです。

投稿: 酒屋 | 2013年6月 1日 (土) 23:59

ステイホーム中NHK BSで、若草物語を上映していたので、もう65〜6年前に、エリザベステーラーと、マーガレットオブラエンに憧れて観た映画でしたが、この年になって改めて観ていると、子供の時には気が付かなかつた、BGMの曲名が知りたかったのです。メロデイは、あの頃の子供達は、ドドレミミファソラソミ、、、やってました。でも曲名が思い出せないのが、やっとわかりました。
(思い出)でした。作詞が、エールの古関裕而の従兄弟だと知り自分一人で得意になつています。

【エムズの片割れより】
自分もNetでググってみましたが、「明治大学教授を務めた国文学者で、作曲家古関裕而(NHKのドラマ『エール』のモデル)の従兄弟だそうです。」という記述がヒットしますね。
校歌の他、当サイトでも採りあげている「追憶」や、「峠の我が家」もそうなんですね。
知りませんでした・・・。

投稿: 下村順子 | 2020年10月18日 (日) 21:49

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