映画館でMETオペラ「アイーダ」を見た
今日は、初めて映画館に行って歌劇を見てきた。演目はヴェルディの歌劇「アイーダ」。4時間弱、3500円也。
近くのシネマコンプレックスで、オペラや交響楽団の演奏会を上映していることは、前から知っていた。しかし、ハイビジョンTVで、自宅で見られるのに・・と、あまり興味がなかった。
しかしやはり自分はミーハー。世の評判で、自分の価値観はどうにでもなる・・・
年末の新聞で、こんな記事を目にした。
「劇場の臨場感 ITで全世界に
3Dやデジタル撮影、ITの技術革新が欧米の名門歌劇場やオーケストラを大きく変えている。迫力ある3D映像で演目を上映したり、演奏会をリアルタイムで中継したりする試みが目立ってきた。今の時代に即して発信力を高め、観客層を若い世代にも拡大するのが狙いだ。
・・・・・・
高精細で高音質
最新技術を活用し、劇場外で存在感を高める。そうした近年の動きに先べんをつけ、他の歌劇場に刺激を与えたのは米メトロポリタン歌劇場だ。常に革新を目指すピーター・ゲルブ総裁の下、世界各地で同歌劇場のオペラを上映する「METライブビューイング」を2006年末にスタート。高精細のデジタル映像と高音質で、一流の歌手と演奏家によるオペラを放映している。現在、世界60力国約1900ヵ所で見ることができる。
日本では全国16の映画館で上映。過去4年で6館増えた。この間、デジタル映写機が急速に普及したことが増加を後押しした。「これまでデジタル機材がなかった地方や小規模の映画館でも上映できるようになり、全く状況が変わった」(配給元の松竹演劇開発企画部の片岡佑輔氏)・・・・・・)」(2012/12/29付「日経新聞」p36より)
なるほど・・・。劇場の臨場感か・・・!!せっかく近くのシネコンでやっているのだから、一度位は“試して”みる価値があるかな・・・と。
“METライブビューイング”のサイト(ここ)を覗いたら「アイーダ」(ここ)という演目が見付かった・・・。というワケで、初日の今日、行ってみたわけ・・・。
自分はいつも、座席は前日にNetで予約する。昨夜予約したときには、他に1件予約済み座席があっただけなので、たぶん今日はガラガラだろうな・・・と、劇場に入ってビックリ。何と、普通の映画に比べて数倍の席が埋まっている。まあ1週間だけの、日に一度だけの上映。しかも今日は初日の休日。でも3500円もする“オペラ”なのに・・・
上映時間は4時間弱。時間はまさにニューヨークのメトロポリタン歌劇場(通称:MET)と同じ。向こうは午後1時開演だが、こちらは10時開演。幕と幕の間の時間は、解説とインタビュー。それが終わると幕が開くまで10~15分の休憩で、客先の映像が流れる。まさにMETと同じリアルタイム・・・
幕が開く・・・。映像そのものは、TVの普通のオペラ中継と同じ。各カメラが切り替わり、字幕が出る。METビューイングのサイトの謳い文句は「もうオペラグラスなんていらない!」(ここ)だが、その通り。
確かに、劇場に行って見る、という視点で捉えると、歌手の表情などが手に取るように分かるので、まさにオペラグラスはいらない。しかし見慣れたTV中継の視点で捉えると、同じ・・・!! でも上から見るカットはTVでは見たことがない。本当に真上から映したシーンがある。これは珍しい。
音については、“5.1chサラウンド”と謳っていたが、どうもそのようには聞こえなかった。観客のブラヴォーの声も拍手も画面から聞こえる・・・
劇場に入るときに置いてあったタイムスケジュールに「~生の舞台さながらに、拍手は「ブラヴォー」の歓声を歓迎いたします~」と書いてあったが、さすがに声を出す人は無く・・・
見終わっての感想?? メトロポリタン・オペラの最新作を・・・、と見に行く人は別にして、自分のように、単に「一度くらいは、有名オペラの全曲を見ておかなければ・・・」という者にとって(ここ)、自宅のTVで見るのと、それほどの違いは感じなかった。
ともあれ、前々から全曲みたいと思っていた「アイーダ」を一気に見ることが出来た。物語も単純なので、分かり易かった。
でも、メトロポリタン歌劇場で、過去に1000回以上も上演したという、超有名オペラ「アイーダ」でさえ、集中して見ると疲れた。つまり自分はどうもオペラは苦手のようだ・・・
それにしても予想以上に多かった観客。そっちの方が意外だった・・・。それと3500円という値段をどう捉えるか? 4時間の映画と思えば、そんなものだが、自宅で見るハイビジョンTVと比べると、それだけの価値があったかどうか・・・?
昔の記事で、「せめて、名前だけは知っている、または序曲だけは良く知っているオペラを、死ぬまでに1度は見ておかないといけない・・・」と書いたのだが、どうもその“誓い”も崩れそうになった今日のオペラ見物であった。
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