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2012年12月12日 (水)

「コップの中の嵐」?~パナソニックの「このままでは」

日経に連載されている「迫真」。今朝のパナソニックの記事を読んで、唸ってしまった。曰く・・・

パナソニックを変える(2) 「このままでは」
 6万2690人――。
 大手企業の社員数ではない。過去2年半にパナソニックを去った社員の数だ。来年3月末までにあと8000人減る予定。年中行事のようなリストラでコストを切り詰めてきたが、長年のけん引役だったテレビに代わる成長事業が見えない32万人の巨大企業に市場は容赦はない。
 「一体、株主を何だと思っているのか」。今年7月後半。ある投資銀行幹部はパナソニックの社長に就任して日が浅い津賀一宏(56)に、初対面の場で強烈なパンチを浴びせた。
 その時点で時価総額は1兆3千億円。4年前の4分の1以下だ。「全く反論の余地はなかった」という津賀は、技術畑の出身で長らく研究所で会社人生を送ってきた。投資家という「社外の目」が予想以上に厳しいことを初めて肌で感じた瞬間だ。だが、日を追うごとに現実の厳しさを知ることになる。
 「このままでは自主経営が許されない非常事態がおきる」。4~9月期の決算発表を1カ月後に控えた10月3日。大阪府門真市にある本社1階の講堂で津賀はいら立っていた。怒りの矛先はそこに集まった幹部クラスの社員。「こののんびりムードは何なんだ」。2007年3月末に1兆5千億円あった余裕資金は5年間で2兆5千億円も減り、今や1兆円の借金を抱える。それなのに危機感が一向に伝わってこない。
 そして10月31日。パナソニックは今期の最終赤字が7650億円になるとの見通しを発表。ムーディーズ・ジャパンは11月20日、パナソニックの格付けを2段階下げた。もう1段下がれば「投機的」水準だ。
 すでに投機的と格付けされ、銀行から協調融資を受けるシャープより危機レベルは低いといえるが「最悪の場合、資金調達は銀行融資以外になくなる」(津賀)。戦後の混乱期にしか経験したことのない事態だ。
 ある40歳代の社員はこう語る。「社員に危機感がないって冗談じゃない。経営陣は改革、改革って毎日言うけど、そのたびに組織が変わる。もう改革という言葉に我々は疲れたんだ」
 相談役の中村邦夫(73)が社長時代、「聖域無き構造改革」を掲げてから12年余り。津賀は肥大化した本社を戦略立案に特化したスリムな組織に変えようとしている。しかし改革が半ば常態化してしまった社内で、真に必要な改革はできるのか。津賀の苦悶(くもん)が続いている。(敬称略)」(2012/12/12付「日経新聞」p2より)

別にどうって言う事のない記事なのだが、自分がドキッとしたのは、最後の方の「・・・経営陣は改革、改革って毎日言うけど、そのたびに組織が変わる。もう改革という言葉に我々は疲れたんだ」という件(くだり)。この言葉以上は、何を差しているのかは分からないが・・・

自分も10年以上前、現役のときに同じような環境にいた。よって、その頃のことを思い出しながら読んだ。
一般論だが、業績が落ち込むと、トップに対して挽回策を報告して、それを実行しなければいけない。もし自分たちで“改革”が出来なければ、トップダウンで改革の指示が降りてくる。それが普通の会社の動き。だから、現状に精通していないトップに、自分たちの現場をかき回されたくない時は、自発的に改革して行くしかない。
その時に、一番分かり易いのが組織変更。例えばメーカーでは、色々な製品群に対して、設計、製造、品証などの部門を、それぞれまとめる。例えば、色々な製品でも同じ製造部に包括されていれば、製品群毎での仕事量の不均衡に対して、やりくりが出来る。それに対して、製品部制というのがある。ある製品に対して、設計から製造、品証まで一気通貫でひとつのグループにまとめる。こっちの方が製品の製造に対して、クイックに動ける・・・・、という。
実はこれらは、数年ごとに行ったり来たり。それぞれメリットとデメリットがあるので、言い訳はどうにでもなる。よって、よく“改革”と称して組織変更をする。
すると、トップに対して、“何かしている”とPRが出来る・・・・。

でもここで一番大切なことは、組織の外部、例えば顧客から見て、何も変わっていない、ということ。自己満足に過ぎないということ・・・・。いわゆる“コップの中の嵐”・・・
でも当事者はたいそうなことをした気になる・・・(もちろん、上のパナソニックの例に当てはまるかどうかは分からない)

これは持論だが、やはり自分たちの仕事を“愛している”当事者たちが、自分たちの仕事を続けるため(自分たちをクビにさせないため)、自分たちで知恵を絞るしか方法はない。これは自分の卒サラリーマン生活での結論。
結局、トップに物申させてしまう(指示させてしまう)、自分たちが悪い。物言いが付いてしまう業績しか出せなかった自分たちが悪い。よって、トップに何も言わせない業績を自分たちで作るしかない。組織変更で、何か手を打ったつもりでいても、化けの皮はあっと言う間に剥がれる・・・。そんなもの・・・

前にパナソニックの大きなグループ会社を強引に子会社にしたことがあった。その時、その子会社の社内は大混乱をして、外注から見ても「大丈夫かな?」と心配の声が大きかったとか・・・。形を幾ら変えても、中身(社員の心)が変わらなければ、成果は出ないが、もう落ち着いたのかどうか・・・。
一方、電気メーカーでガタガタしていない代表が三菱電機。地道ながら、キチンと業績をあげている。結局はトップ次第・・・。
パナソニック、シャープを筆頭に、危機に瀕しているメーカーが多いが、上の記事ではないが、「こののんびりムードは何なんだ」という言葉に代表される“他人事”から目が覚めて、真の改革の元、復活してくれると良いのだが・・・。

121212nekotoinu <付録>「ボケて(bokete)」より

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