「リセット」を考えたけれど
だいぶん前の朝日新聞にこんな記事が・・・・
「<はたらく気持ち>「リセット」を考えたけれど
田中和彦(人材コンサルタント)
証券会社の営業職Sさん(24)は、電車に揺られながら「やっぱり、リセットすべきなのかな」と考えていた。入社2年目研修のため、勤務先の北関東の支店から東京の本社に向かっていた。風邪らしき悪寒に襲われながら彼女の頭に浮かんだ「リセット」には、二つの意味があった。一つは会社を辞めること。もう一つは、付き合っている彼との関係を見直すことだ。
直前まで上司から「お前には研修に出る資格なんてねえぞ。売るもの売ってから行け!」と罵倒されていた。過去にパワハラで何度も人事から警告を受けている上司だが、そんなことはお構いなしに、激しい言葉を投げてくる。
ノルマのない1年目はまだ見習い的な立場だった。個人目標が設定された今年4月以降、月間のノルマを達成したのは、支店への飛び込み客をお情けで譲ってもらえたときの1回だけ。「なぜ、こんな大変な業界で働いてるんだろう」と自問する。しかし「給与も高く安定した金融業界なら、彼を養っていける」と選んだのは自分自身だった。
Sさんが地元京都の私大に進学してすぐに付き合い始めた彼は当時4年生。すでに大学院に進むことが決まっていた。穏やかさだけが取りえの典型的な理系の草食男子。3年前のSさんの就活時に「このまま大学に残って勉強したい」と打ち明けられた。「じゃあ、私が稼ぐか」と今の会社に入社した。
勤務地は関西だろうと高をくくっていたが、配属されたのは行ったこともない北関東の中規模都市。遠距離恋愛が始まり、携帯は通話し放題のプランに変えた。なのに、最近では長く話すことも減ってきた。彼の話題は浮世離れしていて、株価をにらみ、客とお金の話ばかりする自分とは世界が違う。仕事の悩みを相談しても反応が薄い。「本当に彼のこと好きなのかな」。そんな思いが募っていった。
2泊3日の研修で、久しぶりに多くの同期と再会した。厳しい環境下で誰もがもがき苦しんでいた。自分だけじゃなかった。社内講師の「一度逃げたら、後々、逃げの人生になってしまうぞ」という言葉も妙に心に刺さった。
研修明けの週末、風邪で寝込んでいると、心配した彼が夜行バスでやってきた。京都のスーパーで買ってきた鍋の具材を持って。「ネギむき出しでバスに乗ったわけ?」とあきれたが、彼は黙々と鍋を作ってくれた。
「味薄い。へたくそ!」。そんな悪態をつきながら、あふれる涙を悟られまいとティッシュで鼻をかんだ。「もう少し頑張ってみるか」。リセットボタンから指が離れた。」(2012/11/24付「朝日新聞」b9より)
何かホロリとくる話ではある。
しかし、「一度逃げたら、後々、逃げの人生になってしまうぞ」という言葉は重い。でも人間は弱いので直ぐに逃げたくなる。これは誰もが経験すること・・・・
もちろん自分にも経験がある。今更、思い出したくもないが、“あの時”に“逃げて”いたら、その後の自分の人生はどれほど(悪い方向に)変わったか・・・と思うと、空恐ろしい・・・。もちろんその事を詳しく書くつもりもない。
話は変わるが、引き籠もりの話題でよく話が出るのが、「自分は悪くない」という本人の視点。常に誰かが悪い・・・という責任回避のスタンス。それは(生き延びなければならない)生物として、仕方が無い原理かも知れない。しかし、社会的には簡単に抹殺される。そして親の庇護が無くなったとき、危機が訪れる・・・
上の記事の例は、まだ若い人のちょっとしたエピソードだが、我々人生のベテランたちは、転職がいかに大変か・・・、自分が社会でどれだけ価値があるか・・・を良く知っている。
よって人生の岐路では、後悔しないように、よくよく考えよう。そしてその結果責任は、自分自身で・・・。何せ「一度逃げたら、後々、逃げの人生になってしまう」のであるから。
(まさに蛇足だが、今回の衆院選。国民は、今までの政治にリセットをかけた結果か? それとも逃げた結果か??)
<付録>昨日取り付けた庭の小鳥のえさ棚。結構にぎやからしい。今日カミさんが撮ったメジロ。「ここは自分の領地だぞ~~」と歌っていたとか・・・
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