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2012年12月28日 (金)

「原発に活断層ドミノ」~「変動地形学」でクロ判定

色々な報道や情報から、自分なりの真実を読み解くのは、やはり非常に難しいこと。
最近の原子力規制委員会の活断層論議も、どう捉えて良いのか、なかなか難しい。
新聞は、法人としてのある意志を持っている。日経新聞は、経済界の代表と揶揄されている、とも聞く。すると、原発については、再稼働推進の視点か?
まあ、そんな姿勢もあるのかな・・と思いつつ、今日のこんな記事を読んだ。

「(真相深層)原発に活断層ドミノ 「変動地形学」でクロ判定
    地下掘らず、地表から推定
 原子力規制委員会の評価会合が、日本原子力発電敦賀原子力発電所(福井県)に続き東北電力東通原発(青森県)でも活断層の「クロ判定」を下した。電力会社が問題ないと主張し続けたにもかかわらず、規制委が現地調査をすれば活断層が見つかるという異常事態。その理論的な裏付けとなっているのが、判定に新たに持ち込まれた「変動地形学」だ。
全国で2000以上
 「変動地形の立場から断層が動いたと思われる地形が多数、見つかった」(熊木洋太専修大学教授)。「変動地形学の人なら誰もが気になる活断層地形が2カ所ある」(金田平太郎千葉大学准教授)。東通原発の評価会合では「変動地形」という言葉が飛び交った。
 地層のずれである活断層は主に地下に隠れており、断層面が地表にまで到達し露出するケースはまれだ。伝統的な地質学の手法では、あたりを付けて地中深く溝を掘ったり掘削したりと、苦労して活断層を見つける。
 これに対し変動地形学の手法では地下の断層の活動によって造られた地面の起伏(変動地形)やゆがみに注目する。航空写真や地表の調査などから地下の活断層を見付け出す。産業技術総合研究所活断層評価研究チームの吉岡敏和チーム長は「いずれも大地の成り立ちを探る学問だが、地質学が地下をみるのに対し、変動地形学は地表をみるため新しい時代の情報を得やすい」と解説する。
 1995年の阪神大震災以降、活断層と地震との関連が注目されるようになり、変動地形学を活用して日本列島で活断層を洗い出す作業が本格化した。これまで見つかった活断層の数は全国で2千を超すといわれる。
 活断層探しで重宝されるようになった変動地形学だが、電力業界と原子力規制当局はその流れに乗らなかった。地表面を扱うため、穴を掘って地下深くを調べる地質学的な手法と比べるとデータを得やすい。その分、活断層が見つかりやすく、リスクを小さく見積もりたい人にとっては厄介な存在となった。
 旧原子力安全・保安院は原発の耐震指針を2006年に改定したが、新指針を定める審議会のメンバーに変動地形学の専門家は一人もいなかった。電力会社も独自の調査を変動地形学者に依頼することを避けた。
「拙速」と批判
 今年9月の規制委発足とともに状況は一変した。変動地形学の専門家が積極登用された。敦賀原発でも東通原発でも調査団5人のうち2~3人が変動地形学の専門家。その結果、今の「活断層ドミノ」が起きた。
 電力会社側は変動地形学を軸にした評価を「拙速だ」と批判する。「変動地形学的見地からの可能性だけの立論による結論は理解に苦しむところであります」。活断層ではないとの主張が無視された格好となった日本原電は納得せず、11日に公開質問状を規制委に持ち込んだ。規制委を訪れた増田博副社長は「変動地形学だけで話をされていた」とかみついた。
 航空写真や地形から地下の活断層を推定する手法は、土壌の試料を分析して活断層を断定するような自然科学的な厳密さには欠ける。10日の評価会合でも、ある専門家は「変位があるようにもみえ、ないようにもみえる。判断が難しい場合は活断層と考えるべきだろう」。変動地形学は活断層そのものというよりは「可能性」をあぶり出す。
 東京電力福島第1原子力発電所の事故以降、日本人の原発に対する安全性への考え方は一変した。規制委の田中俊一委員長は「(活断層の可能性が)クロか濃いグレーなら止めてもらうことをお願いする」と言い切る。活断層の可能性が浮上した原発は、改修などをしない限り再稼働は認めない方針を示している。
 「活断層ではないという証拠を示さないと、活断層である可能性を否定することにはならない」。26日の評価会合で規制委の島崎邦彦委員長代理は、今なお活断層ではないと譲らない東北電力の主張を一蹴した。
 敷地内にあるすべての地層のずれについて、活断層ではないと証明することは極めて困難な作業だ。電力会社にとっては厳しい情勢が続く。(科学技術部 古谷茂久)」(2012/12/28付「日経新聞」p2より)

これらの議論を見ていると、医療過誤裁判での証人を連想する。検察・弁護のそれぞれが立てた証人は、同じ医師でありながら、ある事案を検証した結論は逆・・・。
今回も電力会社側の言い分と、委員会の言い分が対立、とも見えるが、どうもそれは基準の見直し(「5万年に1度」を「12~13万年に1度」に変更)が原因らしい。
それにしても、話は過激に見える。敦賀原発、東通原発に続いて、大飯原発も活断層があるために、廃炉の可能性がある・・・との報道が続いている。よって、日経のタイトル「活断層ドミノ」という言葉にしても、少し過激??

活断層の可能性がある原発から調べ始めたとしても、3カ所の原発の敷地は、国土全体か121228katudansou ら見たら、微々たるもの。よって、この“3カ所で100%”の確率は、どう考えたら良いのだろう? もちろん電力会社は、建てる前に事前調査は確実にしたのだろうし・・・。それを新しい基準で調べたら、活断層が見付かった・・・。 ということは、我々の周辺にも、活断層はうじゃうじゃあるのかな・・・
それに、上の記事で、「ある専門家は「変位があるようにもみえ、ないようにもみえる。判断が難しい場合は活断層と考えるべきだろう」。変動地形学は活断層そのものというよりは「可能性」をあぶり出す。」
「活断層ではないという証拠を示さないと、活断層である可能性を否定することにはならない」
との文言が気になる。可能性の議論なのか??

八っつぁん「おい、熊さん。あんたが原子力規制委員会の委員だったら、どうする?」
熊さん「そりゃ、10万年に1度の可能性だって、可能性があるのなら全部廃炉さ・・・。だって、廃炉にしておけば、絶対に原発事故は起こらないし、自分たちが責任を取らされることも無い。それに先日の原発事故時の放射性物質の拡散予測でも、委員会は訂正を繰り返したので評判を落とした。その汚名挽回の為にも、委員会の存在感を世にPRしなくては・・・。もちろん3.11を予測できなかった学会の地位復活もあるので、頑張るぞ!!・・・」
八っつぁん「確かに、5人で2日間の調査、2時間の審議で、数十年間で数千億円かけてきた原発の廃炉や、電力会社そのものをつぶすかどうかの決定権が、結果として自分たちにあるのだと思うと、武者震いするよね・・・」
熊さん「でも、先の震災をみても、日本の原発は地震に強いことが証明されたし、福島第一原発も、津波でやられさえしなければ、こんな事にはならなかった。しかし今回の5万年に1度、という基準を、後から12万年に1度、という基準に変えて、前の基準で建てられたものを、基準違反だとして廃炉にさせるのは、どうなんだろう?」
八っつぁん「原発に関しては、法律は関係無いのさ。菅元首相の浜岡原発停止を見ても分かるだろう? でも“建築基準法が改正されたら古い建物は取り壊せ”という今回の議論はどうもね・・・」
熊さん「まあ日本は法治国家なので、今はドタバタしているけど、そのうちキチンと法の議論がなされていくと思うよ・・・。たぶん・・・」

●メモ:カウント~370万

121228ryoudo <付録>「ボケて(bokete)」より

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