最高裁の参院選“違憲状態”判決
昨日(2012/10/17)、最高裁による参院選の“違憲状態”判決が出た。
「参院「1票の格差」5倍は違憲状態 最高裁、制度見直し迫る~10年選挙で判決
「1票の格差」が最大5.00倍だった2010年7月の参院選選挙区の定数配分は違憲として、弁護士らが各地の選挙管理委員会に選挙無効を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允長官)は17日、「違憲状態」との判断を示した。一方、定数配分の是正にかかる合理的期間は過ぎていないとして結論は違憲とせず、選挙のやり直しを求めた原告らの請求は退けた。
そのうえで「単に定数の一部の増減にとどまらず、都道府県単位を改めるなど、しかるべき立法措置を講じ、投票価値の不均衡を解消する必要がある」と述べ、制度の抜本的見直しを迫った。
最高裁が参院選の定数配分を違憲状態と判断したのは、1992年参院選を巡る大法廷判決(96年9月)以来、2度目。2009年の前回衆院選についても昨年、違憲状態としており、両院とも違憲状態という異例の事態となった。来夏の参院選に向け、国会は早急な選挙制度改革を迫られる。
大法廷は15人の裁判官で構成され、判決は多数意見。
10年参院選では、議員1人当たりの有権者数が約24万人だった鳥取県に対し、神奈川県は約121万人。前回の07年参院選から定数配分を変更せずに実施し、格差は07年の4.86倍から拡大した。大法廷は両県で生じた5.00倍の格差について、著しく不平等な違憲状態にあたると判断した。
その上で、過去の最高裁判例が「違憲」判断の要件とした「著しく不平等な状態が相当期間続いた場合」に当たるかどうかを検討。10年選挙の実施は、07年選挙を巡る09年10月の大法廷判決が選挙制度の是正を求めた約9カ月後だったが、合理的な許容期間を過ぎていないと結論づけ、違憲宣告を見送った。
一審の高裁段階では計17件の判決が言い渡され、「違憲」3件、「違憲状態」9件、「合憲」5件と判断が分かれていた。」(2012/10/17「日経新聞」webより)
それに先立ち、2012/10/17付の「日経新聞」朝刊に「日本は代議制民主主義国家ではない」という「意見広告」なるものがあり(原文PDFはここ)、勉強をかねて読んでみた。分かり易く書いたようだが、自分には少し分かりにくい・・・
ポイントは・・・・
「日本は代議制民主主義国家ではない」
(1)代議制民主主義は、
①「主権者は、国民である」
②「正当(な)選挙」
③「国会議員の多数決」
の3本柱から成り立っている。
(2)代議制民主主義は、主権者(国民)が、国会議員を通じて、主権者の多数決で、立法、行政、司法の三権(国家権力)を行使するという、潔い『割り切り』である。
人口の“少数”が国会議員の“多数”を選び、国会議員が、多数決で三権を支配したのでは、国会議員の「最大多数の最大幸福」、ひいては、国会議員主権国家でしかない。
・国会議員は国会で一入一票である。
「国会議員の国会での一人一票」の根拠は、「国会議員を選出した選挙区の議員一人当たりの登録有権者(主権者)の数が同数であること」に求めざるを得ない。なぜならば、「主権者は、国会議員ではなく、国民だから」である。
全ての国会議員は、それぞれ(いわば、各主権者(国民)からの同数の「目に見えぬ委任状」を手に持って、国会で、国家権力の行使を国民の多数決で決定するために、議論・投票を行う)「特別な代理人」でしかないのである。
・・・・
日本の2010年参院選挙区選挙は、どうであったか?
1票対0.2票(最大)の「住所差別選挙」のため、全登録有権者の33%(3436万2005人)が全参議院選挙区選出議員(146人)の51%(74人)を選び、全登録有権者の67%(6966万7130人)が、その49%(72人)を選んだ(総務省発表より)。
不条理である。
・・・・
「投票価値の等価値」は憲法の要請である。他方で、都道府県を基準とする選挙区割りは、公職選挙法の要請でしかない。
・・・・
国会議員は利害関係者
(「議員にルールを決めさせるのは、野球の投手にストライクかボールか判断しろと言っているようなもの」升永英俊弁護士:2012/10/18付「朝日新聞」p39より)
法の支配
① 最高裁判所は、日本を「一人一票」の「代議制民主主義国家」に変える究極の国家権力(違憲立法審査権 憲法81条)を有している。
②最高裁判所裁判官は憲法尊重義務を負う(憲法99条)。
③日本を「代議制民主主義国家」に変えることは、最高裁判所しかできない。
・・・・
つまり、“現在の公選法は憲法に違反しているので、違憲立法審査権で最高裁が踏みつぶすしか手は無い。自分のクビを気にする国会議員にそれをやれと言っても、出来るワケがない・・・”ということかな・・・?
でもこの三段論法は、整理して考えるとその通りだ。
逆に、こんな当たり前のことが放置されていること自体が、異常・・・。それに、それが許されている日本という国の不思議さ・・・・
このコメントが分かり易い。
「最高裁にも責任
元最高裁判事の泉徳治弁護士の話
最高裁は「違憲」と明確に宜言すべきだった。2006年の判決以来、是正を求めてきたのに、6年経っても自らの当落に関わる国会議員は動かなかったからだ。今回も、わずかな改正で済まされてしまう恐れがある。
ねじれ国会で国政が停滞する原因は、いびつな選挙制度にもある。それを放置してきた最高裁にも、責任があるという自覚が必要だ。今こそ、一人ひとりに平等な選挙権を与え、本当の意味で「国民の信を問う」制度にしたうえで、日本の針路を決めなければならない。」(2012/10/18付「朝日新聞」p39より)
今朝の新聞を読んでも、政府も2大政党も、幾ら判決が出ても直ぐに動く気配はない。まあ、国民そっちのけで党利党略の今の政治家たちは、誰が考えても、自ら自分の不利になる事をやるわけが無い・・・・か。そうなると手が無い・・・。何せ、最高裁の判決を無視しても、誰も罰せられないのだから・・・
結局は、次の選挙で最高裁が憲法(違憲立法審査権)に則り、「選挙無効」として当選者を全員クビにするしかあるまい。
| 0
コメント
2009年9月の「20万円でお墓を大リフォームした話」を拝見いたしました。
自分ののお墓も外柵が、古くていろいろ業者を探しておりました。
100万位はかかるのかと思ったところ、このブログを発見しまして、驚きました。
さっそく延島庄也石材店へ、見積もりを頼みたいと思います。
大変価値のある情報をありがとうございます。助かりました。
ありがとうございました。
小松
【エムズの片割れより】
うまく事が運ぶと良いですね。
投稿: 小松 | 2012年10月20日 (土) 21:07