« 「放送局は色覚バリアフリーを」 | トップページ | 最高裁の参院選“違憲状態”判決 »

2012年10月17日 (水)

国会の一院制を考える

とうとう最高裁大法廷が今日の判決で、参院選の「1票の格差」についてレッドカードを突き付けた。それについては、追って考えるとして、先日の日経新聞「大機小機」に、国会の一院制についての話が載っていた。曰く・・・

政治改革
 国内外の情勢がめまぐるしく変化し、これまでになくあらゆる政策課題に機動的に対処することが強く求められている今、日本の統治機構を抜本的に改革することが急がれる。参院で野党が多数を占めるねじれ国会で法案審議が停滞する中、一院制の導入を目指す動きも出ている。
 2003年以来活動を続けている超党派の議員連盟は、衆議院と参議院を対等に統合した新国会(両院を廃止して新たな一院制へ)を発足させるべしと決議した。今年4月には一院制の導入、国会議員の定数500人以内を骨子とする憲法第42条改正原案を、衆議院議長に提出している。
 政治の停滞によって国民が背負うコストが増大していることは明らかだ。台湾は4年前、立法委員(国会議員)を225人から113人に、一気に半減させた。仮にわが国が一院制500人になれば①ねじれ現象解消と審議遅滞解消②国会の本務である十分な政策討議の復活③議席数の3削減が地方を含めた行財政改革の強い引き金になる――などが予想される。
 国際連合加盟国193力国の約6割が一院制だ。二院制の国でも中心が下院であることが多い。米上院は100議席と少数。フランスでは下院は直接選挙だが、上院議員は下院議員、地方議会議員らによる間接選挙となっている。両院意見不一致の場合は両院協議会を招集するか下院に決定権を委ねるか、政府がイニシアチブを持つ。
 連邦制国家の独では連邦議会は直接選挙で議員を選ぶが、参院は各州の首相や閣僚らで構成しており参院議員という特別な呼称はない。議席数は69にとどまる。参院の同意が必要な同意法律(州の利害にかかわるものが中心)と連邦議会の議決に参院が異議を申し立てる異議法律があり、同意法律は参院で否決されれば不成立。だが異議法律は、参院で異議申し立てされても連邦議会の多数決で覆る。
 敗戦後の日本は1960年まで、55年の自民党誕生を挟んで「政治改革」の15年を経験した。その後は経済の15年、文化の15年、混乱の15年を経て2005年以降、再び政治改革の15年期に入っている。20年までに、選び抜かれた政治家らが政策を軸にした政治を展開する、新時代にふさわしい国会の体制に移行していることを期待したい。(一礫)」(2012/10/10付「日経新聞」p19「大機小機」より)

最近の政治、国会運営には目を覆うばかりだが、その日本の議会の仕組みに対し、外国ではどうしているのだろう??と思っていたが、“少しの解”が書いてある。
それによると、日本のような、それぞれが強力な権限を持っている二院制は他国には無いようだ。
言うまでもなく、参院は「良識の府」であるが、wikiによると「再考の府」「政局の府」でもあるという。

でも、どうも「良識の府」のような気がしない。同じような仕組みがダブっているとしか思えない・・・。今日の最高裁判決でも、「衆院とほぼ等しい権限を与えており、急速に変化する社会情勢の中で、長い任期を背景に役割は大きくなっている」と指摘されているようだ。
上の記事はテキパキと分かり易いが、国会の一院制化ともなると、その改定には憲法の改定が必要となる。そう思うと、議会改革は非常に高いハードルのような気がする。

先日、NHKで吉田茂のドラマを放送していたが、彼(か)のGHQの原案による日本の憲法。一度も改定されていない世界でも稀な日本の憲法・・・。よって現憲法は、それなりに完成度が高かったのかも知れないが、65年という時代の変化に耐えられるものかというと、少々疑問・・・
かと言って、特に第九条を考えると、簡単に憲法改定が進むとも思えない・・・。

しかし、「あきれる」レベルの政治に対し、我々が持っている手段はたった1票の投票権のみ・・・。その1票も今日の最高裁判決が断じたように、価値の不平等・・・。そして、無為無策、業務放棄の政治・・・・
こんな現状では、どの政党にも投票したくないな・・・。よって次の選挙では、前向きの「投票しない」投票権を駆使しようか・・・と、カミさんと話す最近ではある。(まあ、何も変わらないけどね・・・)

|

« 「放送局は色覚バリアフリーを」 | トップページ | 最高裁の参院選“違憲状態”判決 »

コメント

「しかし、あきれる」レベルの政治に対し、我々が持っている手段はたった1票の投票権のみ・・・。その1票も今日の最高裁判決が断じたように、価値の不平等・・・。そして、無為無策、業務放棄の政治・・・・こんな現状では、どの政党にも投票したくないな・・・。よって次の選挙では、前向きの「投票しない」投票権を駆使しようか」

とても共感しました。
でも、大勢が棄権しても、残りの投票が集まった党が堂々と「国民の信任を受けた」などと言うのもしゃくです。
なんか、棄権の大きさで、政治家に思い知らせる手があれば、twitterを使って・・、などと思いました。

【エムズの片割れより】
確かに“しゃく”ですね。棄権とサボが同じなので・・・・。どうしましょう?
次の選挙までに良く考えます。シャクなので・・・

投稿: Tamakist | 2012年10月18日 (木) 14:42

確かに現在の2院制による政治の停滞には大いなる疑問を感じます。しかし、それでも私は2院制を維持することは意義があると考えます。
 何故なら、日本人の熱しやすくて冷めやすい国民性を考える時、1院制には、危険さ恐ろしさを感じます。例えば、最近の小泉元首相、現在の民主党への圧倒的多数による支持を思い出すだけでも、日本人の民意は時に極端に走ることが多いのです。それをセーブする第2院の存在は必要と考えます。 しかし衆議院とほとんど変わらない参議院では駄目です。良識の府に改組する必要があります。憲法改正には国民投票が必要というチェック機能はありますが。その際の国民に対しても良識の府の意見は是非参考にして、国民投票に望めるような第2院が欲しいのです。

【エムズの片割れより】
なるほど・・。言われてみるとその通り・・・。
⇒つまり、自分は典型的な日本人・・・。(たぶん太平洋戦争も同じような国民の熱狂で始まったのでしょうね・・・)
今の参院を本来の“良識の府”にするには、どうしたら良いのでしょうね??
昔学校で習ったが、年齢制限(参院は30歳以上)位ではダメなのでしょうね・・・

投稿: カウカウ | 2012年10月18日 (木) 19:20

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「放送局は色覚バリアフリーを」 | トップページ | 最高裁の参院選“違憲状態”判決 »