「新聞と世論」
少々古い記事だが、先日の朝日新聞にこんな記事があった。
「新聞と世論 窓~論説委員室から
愛媛県松山市の「坂の上の雲ミュージアム」を訪ねた。日露戦争と明治時代の新聞のあり方を紹介した企画展が面白かった。
司馬遼太郎が自著「坂の上の雲」に記した言葉が展示してある。
「日本においては新聞は必ずしも叡智と良心を代表しない。むしろ流行を代表するもので(略)」
日露戦争のポーツマス講和条約後に起きた日比谷焼き打ち事件に至る報道を評したくだりだ。
「新聞は満州における戦勝を野放図に報道しつづけ国民を煽っているうちに、煽られた国民から逆に煽られるはめになり(略)」
帝政ロシアとの妥協を知った多くの新聞は政府の弱腰を批判した。新聞と世論がナショナリズムを媒介に激情を燃え上がらせた。
100年を経た今、日本のメディアは変わったと思う。第2次大戦の反省から出発し、日本を戦争に引き込む道には警戒の目を向けてきた。
尖閣や竹島問題で隣国のメディアには愛国調が目につく。日本のメディアが比較的冷静に思えるのは、戦後の積み重ねがあるからだろう。
日中韓とも政治の激動期を迎えつつある。世論と新聞との関係がいよいよ問われようとしている。
21日まで新聞週間。司馬の言う 「内省力を欠く論調」に陥らないよう自戒したい。(脇阪紀行)」(2012/10/20付「朝日新聞」夕刊p2より)
新聞などのマスコミが、売らんが為だけに国民を煽(あお)り、戦争に突き進んだ日本の歴史は周知の事実。でも最近の週刊誌の広告をみるに、それと変わらないような気がする。
自分はどうも週刊誌は苦手。それに引き替え、亡くなった親父や兄貴は大の週刊誌好きで、週刊新潮、週刊文春など、必ず読んでいた。
それがたまたま先日、橋下市長と朝日新聞が戦争状態になった、週刊朝日の「ハシシタ 奴の本性」という記事を読む機会があった。自分は週刊朝日もほとんど読んだ事はないが、大人しい印象の週刊朝日が、このタイトル・・・。
週刊誌は、中吊り広告を読むだけで充分、との話がある。また、読者は“それなり”に読んでいるので、週刊誌で煽られる事はない・・・のかも知れない。それに、週刊誌はマスコミには入らない???
何れにせよ、売るためだけに事を荒立て、ワイワイ騒ぐマスメディアはどうも気になる。どのメディアも何かを報道するとき、“品性”という言葉を噛み締めて欲しいもの。
そして我々読者は、メディアの報道を鵜呑みにせず、自分の“良識”というフィルターでよく濾(こ)さなければならない。
ま、わかっちゃいるけど・・・・ね。
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