「暦の上の年齢がどうした」
だいぶん前だが、日経新聞のスポーツ欄に「暦の上の年齢がどうした」という威勢の良いタイトルのコラムがあった。曰く・・・
「チェンジアップ 暦の上の年齢がどうした 豊田泰光
引退すると決めたらシーズン中でも即発表する、というやり方がはやっているようだ。ソフトバンクの小久保裕紀が14日に今季限りの引退を発表、広島・石井琢朗も27日に今季で辞めると表明した。
小久保は宣言後もプレーし、28日のオリックス戦で決勝点をたたき出した。よく気力が保てるものだ。私は引退を口にした人がプレーを続けるべきではないと思うが、まあこれは趣味の問題。
昔だと引退間際の選手のファンはことしか来年かとはらはらしつつ、一挙手一投足に注視した。選手の背中から進退に関する気配をかぎ取ろうとした。あっさり引退を明かすのは推理小説の結末を明かすのに似た味気なさがある。
一方、早めに引退を宣言すれば、ファンもそのつもりで残りの日々を過ごせる。そちらの方がファンサービスになるといわれればそうかもしれない。
発表のタイミングはともかく、スターは引き際が大事だ。メジャーで現在無所属となっている松井秀喜が、これ以上苦労する姿は見たくない。しかし、これも私の世代の価値観で、今では一時代を築いた人が泥にまみれながら、納得いくまでプレーするというスタイルもあり、らしい。
だれもが最後は寄る年波に勝てず、辞めていくのだが、年齢の受け止め方も人それぞれだから難しい。たまたま、松井の広報担当を務める広岡勲さんの著書「負けない心メジャーリーガー不屈の言葉」に名言が載っていた。
「もし自分の年齢を知らなかったら、今の自分を何歳だと思うかね?」。59歳までプレーしたという伝説の黒人投手、サチェル・ペイジの言葉だ。おそらく年齢に関する質問に問い返したものだろう。 暦の上の年齢がどうした、というわけだ。34歳でバットを置いた私のように、くたびれ具合としては実年齢より年を取っていたケースもあれば、不惑を過ぎても30代の心身を保つ人もいるだろう。
自分の年齢を知らないかのように生きたいのはやまやまだが、プロは「ファンの目に何歳にみえるか」も重要。そこに判断の難しさがある。(野球評論家)」(2012/08/30付「日経新聞」より)
先日、NHKラジオ深夜便「スポーツ名場面の裏側で~茨城・常総学院野球部元監督 木内幸男」(2012/09/14放送)を聞いた。
木内幸男氏は、ある意味高校の先輩であり、また自分が育った茨城の高校野球界の超有名人なので、この番組を興味深く聞いた。裏話はなかなか面白い…。
なかでも、1984年の甲子園では、木内監督率いる取手二高が、決勝で桑田真澄や清原和博を擁したPL学園を、延長10回の末破った武勇伝?や、2003年の決勝でのダルビッシュ攻略の秘訣は、なるほど……と、聞いていて楽しい。
しかし、子供たちをその気にさせる言葉は、実に的確であり、子どもたちの個性を引き出す力は、さすが・・・。
そんな木内監督も、現在81歳だが、何と昨年の2011年まで、現役で高校生相手の監督業を続けていたとか・・・。まさに「暦の上の年齢がどうした!!」を地で行く。
またまた話は飛ぶが、NHKの朝ドラ「梅ちゃん先生」のお父さんは、定年を前に大学病院の名誉教授を断って、千葉の病院に赴任した。
人間、引き際は難しい。自分自身の人生哲学的はもちろんだが、家の経済的側面、それに(梅ちゃん先生ではないが)家庭内など周囲の迷惑まで考慮しないといけない。
さてさて、我がサラリーマン人生だが、先日、幸いにももう1年延長することになった。
徐々にスローダウンしつつある我がサラリーマン人生ではあるが、「暦の上の年齢がどうした」と反撃できるような働きをしないといけないな……、と分かってはいるのだが・・・。現実は・・・???
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