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2012年9月21日 (金)

「グループシンクのわな」と「耐えた女川原発の教訓」

先日の日経新聞「大機小機」にこんな記事があった。この記事を読みながら、ふと福島原発の事故を連想した。“事故を未然に防ぐチャンスが幾度かあったのに、東電はそれを無にした・・・”という例の議論だ。曰く・・・

グループシンクのわな
 日本企業の失敗の本質を考える上で重要なのが、グループシンク(集団浅慮)という概念だ。グループシンクとは、1人で考えれば当然気づくが、集団だと見落とし、大きな過ちを犯してしまうという現象で、40年前に米国の社会心理学者ジャニスが唱えたものだ。
 グループシンクのわなに陥ると、自らが属する組織・集団は正しいという確信を持ち、過度に楽観的になる。自己のイメージを覆す情報は無視し、異論があっても認めない。その結果、ある経営目標の達成を目指す時に、リスクや代替手段の検討不足が生じ、手元資料を偏見に基づいて分析評価してしまう。
 集団で議論した結論は、危険なものはより危険な方向へ、保守的なものはより保守的な方向へとバイアスがかかる。その結果、事業のリスクとリターンのバランスが崩れ、経営目標を達成できる確率が低下してしまう。というわけだ。
 このような負の共同幻想を打ち破るにはどうすればよいか。最終的に求められるのは経営トップの素質だ。まずは、自らは批判的な評価者としての立場を取り、意思決定の場で、最初から自分の好みや希望を主張しないことが求められる。そして、過去の経営上の失敗事例を冷静に分析し、その情報を共有できる環境づくりが必要だろう。
 先日、ある大手商社の社史を見る機会があった。社史には、その時々の輝かしい功績を記すことが多いが、目にしたものはそれとは異なっていた。過去の大きな失敗について、その背景や意思決定プロセスなどを説明するのに多くのページを割いていたのだ。
 会社が陥った失敗の本質を経営トップ自らが認識し、社史に詳細に記載しておく。それは、まさくグループシンクのわなから逃れるための1つの方策になり得る。目の前の現実を否定し、自分の思い込みに固執するだけでは、将来の経営に黄言万がともりかねない。
 日本勢が優位に事業を進めてきた半導体や液晶パネルの分野では、韓国や台湾メーカーの台頭で、国内各社の経営環境は激変した。自らの技術力の高さを過度に評価し、リスクに対する認識が不足していなかったか、検証が必要だ。経営トップ自らが、危機意識を認識できる企業風土作りの先頭に立つことが重要といえるのではなかろうか。(五月)」(2012/09/11付「日経新聞」「大機小機」より)

東電が、福島原発の安全神話で、このグループシンクのわなに陥っていたかどうかは分からない。しかし自分は、前にも書いたように(ここ)東北電力女川原発との差をつい意識してしまう。

先日の日経新聞に、先の女川原発の記事と同じ8月10日のIAEA等の会見について、別の記事があった。曰く・・・
耐えた女川原発 教訓は
・・・・・
 「驚くほど損傷が少なかった」に集約される視察結果について、エプシュタインは「東北にとって、グッドニュースだ」と話す。彼の試算では「女川は計算上、壊れ始めるとされる値の3~4倍の強い地震に耐え抜いたことになる」。無事だった女川と、事故を起こした福島第1。命運を分けたものは何か。エプシュタインは技術的な要素に加え「電力会社の企業文化」をあげた。
 「東北電力は希望する施設にすべて立ち入らせてくれた。聞き取りにも十分に応じた」と明かす。丁寧な仕事ぶりが事故回避でプラスに働いたのではないか、と感じている。・・・」(2012/09/09付「日経新聞」p14より)

先の記事(ここ)で書いた「女川原発が福島第1に比べ高い場所に建設されたのは、東北電力副社長を務めた平井弥之助氏の進言とされる。津波の高さが約3メートル(後に9.1メートルに改定)と想定されていた時期に、平井氏は明治三陸津波や貞観地震の記録を踏まえ高い場所に建てるよう主張、反対を押し切って実現させた。」という記述と共に、今回の地震による原発の被害は、東電と東北電力の企業風土が強く影響しているように思う。

もし、今回の原発事故が、東電ではなく東北電力で起こっていたら、3月11日以降の事故の推移は、まったく別の展開になっていたように思えてならない。

(関連記事)
「女川原発の功績と教訓」


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