「若者にも高齢者にも厳しいドイツ」
先日の日経新聞「大機小機」に、ドイツについてのこんな記事があった。曰く・・・
「若者にも高齢者にも厳しいドイツ
このほどドイツの大学や福祉施設を訪ねた。ハイデルベルクやマンハイム、かつてシーボルトが学んだヴュルツブルク大学でカリキュラムの一部を説明してもらったが、いずれも、学生を徹底的に鍛えるスタンスに変わりはない。筆者がかつて暮らした英国でもそうだったが、幼稚園から生活の基本動作をたたきこむ。大学に限らず、この国の教育は厳格だ。
ただし、若者に厳しいだけではない。そんな一端を、独南部アウクスブルクの街中にある福祉地区「フッガーライ」で垣間見ることができる。
フッガーライは富豪ヤコブ・フッガーが1521年に建てて寄進した、世界最古の現役の福祉住宅である。やむを得ない事情で貧困に陥った市民のためにつくられた。現在140戸あり、家賃は年間わずか0.88ユーロ、100円にも満たない。人居者の何人かと話をしたが、みな高齢者だ。
印象的なのはここでのルールだ。食事は原則、集会場に出向いて取る。足が不自由でも、つえをついたり車椅子に乗ったりして、食堂まで行く。寝たきり老人はどうするのか尋ねたが、そういう表現そのものが無いという。「頑張って動くか完全な病人かのいずれかだけだ。はっきりした病人には、病人としての対応をする」のだという。
人間としての暮らしの基本は「自立」であり、可能な限り自分で動く。それが本人のためであるばかりでなく、経済、社会全体のためでもあるという考え方である。
ドイツは若者にも高齢者にも厳しい。日本とは反対のようだ。文化大国であるだけでなく、欧州連合(EU)経済の中で独り勝ち続ける、ドイツ経済の強さの根源を垣間見た気がした。
振り返ってわが国では社会保障と税の一体改革の議論が大詰めを迎えている。わが国では、経済が毎年3%くらい伸びないと、国内総生産(GDP)に対する医療費比率は上昇せざるを得ないだろう。主因は高齢化に伴う医療費の増加だ。今のままでは医療費の抑制にも限界がある。高齢化社会を考えるうえでは、できるなら、自立型を基本に置いた社会に持ち込んでいきたいものである。
維新以来、日本は欧米諸国から多くの事を学んできた。本格的な高齢化社会に当たり、社会福祉先進国のドイツから学ぶべきことも、まだあるのではないか。(一礫)」(2012/08/10付「日経新聞」「大機小機」より)
言うまでもなく、国により、そして民族により、文化の違いは大きい。EUで唯一“驀進中”のドイツ。そのお国柄は、質実剛健!?
ついでに、先日の朝日新聞にはこんな記事が・・・・
「特派員メモ バイロイト~同じドレスで登場
目の前を通り過ぎたメルケル首相はとても機嫌が良さそうだった。周囲の人々に手を振り、笑顔を振りまいた。
作曲家ワーグナーの作品だけを上演するドイツ南部のバイロイト音楽祭。ワーグナー・ファンのメルケル首相は例年、夏休みの初日にここを訪れる。ふだんはパンツスーツ姿の首相だが、この日はドレスをまとい、赤じゅうたんの上でフラッシュを浴びる。
首相は今年、深い青緑色のドレスを着て現れた。有名人のファッションに敏感な地元メディアはすぐに気がついた。4年前の音楽祭で着ていたのと同じドレスだった。
経済危機が続く欧州。すぐに議論が白熱した。いわく、他国に緊縮政策を求めるメルケル首相は同じドレスを着ることで身をもって節約を示したのではないか。緊縮路線を批判する他国へのメッセージなのではないか――。
モデルではないのだから同じ服を着るのは当然という気がする。男性なら何も言われないが、女性政治家は大変だ。でも、注目されるのはわかっていたはず。着回しの衣装に世界へのメッセージをこめていたとすれば、なかなかの役者だ。(松井健)」(2012/08/15付「朝日新聞」p6より)
そう、ドイツはワーグナーの国であり、ベートーヴェンの国、そして何よりもヒトラーの国・・・。
先日テレビで、戦争に突入したときの、国民の熱狂について池上さんが講義していた。独裁者ヒトラーが居たドイツと、特に独裁者が居なくて、何となく国民が熱狂して戦争に突入した日本。
何かドイツは重く、日本は軽く感じる・・・・。ドイツは、重量感はあるが前に進む。日本は皆でワイワイはやるが、前に進まない・・・。これは、どちらが良いと言う議論ではなく、国民性の問題なのだろう・・・
そして最近の新聞は、何とか新党がどうしたと、騒々しい。
こんな文を読むと、衆院選を意識した政治ゴッコをしている日本が、何となく子供じみて見えるのは自分だけだろうか??
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