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2012年8月 3日 (金)

木村秋則さんの「奇跡のリンゴ」を読む

この話は、日本では相当に有名な話らしい。しかし自分は知らなかった・・・。
この3月に息子と結婚した我が家のヨメさんのTちゃんから、カミさんが「奇跡のリンゴ」という本を貰った。何だか、ヨメさんの妹のA子さんの推薦の本だという。
カミさんが早速読んで、自分に回してきた。それも連日、「どこまで読んだの?」というフォロー付きだ。

でも読み始めてみると、ツ・ツ・ツーと読んでしまった。読む前にYoutubeで本人の出演動画を見ていたので、良く分かった。
120803kisekinoringo_2 この本は、青森に住む木村秋則さんの、「絶対不可能」と言われていたリンゴの無農薬栽培に挑戦して、9年後にそれを成し遂げた記録。(写真はクリックで拡大)
それにしても内容はすさまじい。到底、我々“一般ピープル”には真似が出来ない。それほど徹底しているのだ。妻が農薬に過敏な体質だったことと、たまたま手にした「自然農法」という本の影響で、無農薬のリンゴ栽培に挑戦。当然害虫にやられ、病気にやられ、リンゴの木は次々と枯れていく。しかし木村さんは動じない。当然周囲からは変人扱い。気が狂ったとも・・。
そもそも木村さんは婿養子。家の経済も自分の自由になるはずもなく・・・。しかし妻を始め、婿入り先の両親も子どもも、彼をバックアップ。これも到底マネが出来ない・・・。
普通なら「いい加減にしろ!」「目を覚ませ!」・・の展開だ。それを10年もの間、家族全員で支えるこの一家の姿は、どう捉えたら良いのだろう・・・・

そして首つりの場所探しで、木村さんは見付ける。山のドングリは農薬も無いのに元気・・。土が違う・・・。そして今まで、土から上に出ている木だけしか見ていなかった事に気付き、土の改良から木村さんの挽回劇が始まる。
そして木に語りかけ、そして木もまたその言葉に反応して、リンゴの木は生気を取り戻していく・・・・。

前に何度か仏性について書いた。機械でも何にでも「意志がある」という話である。
「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)=生きとし生けるもの全てに成仏できる性質が備わっていること」
食洗機のとき(ここ)も、パソコンの時(ここ)も・・・・

自分は全てのものに命があると信じている(たぶん・・)。よって、リンゴの木に意志があるのは当然だと思う。だから木村さんが、リンゴの木に話し掛けていても、ごく当然な姿、と捉える。
しかし、「無理をさせてごめんなさい。花を咲かせなくても、実をならせなくてもいいから、どうか枯れないでちょうだい」とあるように、どこまで親身で語れるか・・、続けられるか・・・だ。

まあこの壮絶な苦労話は、本で読んで貰うとして、同じく筆者の石川拓治氏の文才もなかなか・・・・
本の中で、石川氏は「木村から聞いた話を、すべて書き記すには、とても一冊や二冊の書物では足りない。・・・・」(P232)と書いているが、この本の、いわゆるストーリーはごく単純。それが文才のある筆者によると、立派な一冊の本になってしまう。まさに枯れたリンゴの幹に、氏は満開の花を付ける役割を成した・・・・
これもまた、すごい事・・・。

話を戻すと、木村氏の無農薬への挑戦は、一家離散と紙一重。普通は、何かにチャレンジしたとしても、家庭が貧困に陥ると直ぐに諦めてしまう。ふと、昔の「北の国から」を思い出した。あのテレビドラマでも、無農薬に挑戦し、失敗して夜逃げをした家族のことが出て来たっけ・・・。
それを婿養子の立場なのに、婿入り先のヨメさん、子供たち、そして両親が一緒になってお父さんを支える家族とは何か・・・
世の中には色々な家族がいる。価値観だって人それぞれ。それなのに、こんな無謀な事を始めた婿さんに、家族は黙々と協力する・・・。それは単なる「信頼」などという生やさしいものでは無いだろう。

自分はこの本を読んで、木村氏の熱意とリンゴの木への愛情とともに、木村氏を支えた家族について、驚嘆せざるを得ない。そして何よりも無欲な生きる姿勢に驚嘆・・・
リンゴの木だって、自分から生きたいと思っているひとつの生命。木村さんにとって、リンゴの木は、単なる金儲けの道具ではないのである。そのスタンスを基軸に、今は、その栽培法を、求められれば惜しげもなく伝授しているという。その潔さにも驚嘆・・・

先のヨメさんもそうだが、人の輪が広がると、色々な情報源も広がる。そして色々な価値観の人が集うことによって、住む世界や、興味の世界も広がる。ありがたいことだ。

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