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2012年7月 5日 (木)

NHKスペシャル「産みたいのに 産めない~卵子老化の衝撃~」を見て

先日見たNHKスペシャル「産みたいのに 産めない~卵子老化の衝撃~」(2012年6月23日(土)放送)が興味深かった。不妊に悩む夫婦は6組に1組。卵子の老化によって不妊が増えているという。

番組のホームページにはこのような解説がある。
「いま、全国の不妊治療クリニックに、30代、40代の女性たちが次々と訪れ、衝撃を受けている。健康なのに、妊娠の可能性が低いと告げられるのだ。原因は「卵子の老化」。
女性の卵子は年齢とともに年を重ね、35歳の女性が出産できる可能性は20歳代の半分になる。
しかし、多くの女性はこの事実を治療に来て初めて知るという。晩婚化が進む現代、不妊は先進国共通の課題だ。しかし、日本は特異な状況にある。
不妊の検査や治療を受けたことのある夫婦は、6組に1組。不妊治療専門のクリニックが世界一多く、体外受精の実施数も世界一になっている。
女性の社会進出を進める一方で、いつ産むのかという視点を見過ごしてきた日本のひずみが現れている。
「卵子の老化」による不妊をさらに深刻化させる一因は、男性側にもある。実は、不妊の原因の半分は男性側にあるが、夫が不妊の検査に行きたがらず、ようやく治療が始まった時には、妻の卵子が老化しているというケースが後を絶たない。
専門家は「早くに気付いて治療すれば、自然妊娠が見込めるケースも多い」と指摘する。
番組では、全国の医療機関と不妊治療経験者を対象に、大規模なアンケート調査を実施。
“不妊大国”ニッポンの姿を明らかにする。そして、これまで個人の問題ととらえられてきた不妊が、実は、社会で向き合わなければ解決できない実態を浮き彫りにする。」(
NHKのここより)

放送後の、担当ディレクターのコメントも載っている。
「「若い人たちに、自分と同じ思いをして欲しくない」。取材に応じて頂いた方々が口をそろえておっしゃっていた言葉です。親にも、兄弟にも、友人にも打ち明けられない不妊治療。涙ながらにお話頂いた苦しみの声が、どうすれば多くの人の心に届くのか。悩み抜いた日々でした。
また、アンケートで寄せて頂いた8000人を超える人々の声。一枚一枚に、壮絶な叫びが込められていました。番組スタッフで何度も読み返すうちに、不妊が急増する社会の背景、さらに夫の無関心によって広がる不妊の実態が浮かび上がってきました。
卵子が、老化する。その事実を直視する番組は、ともすると多くの人を傷つけかねません。2月に同じテーマで放送した「クローズアップ現代」のときもそうでしたが、編集室では何度も議論を繰り返しました。
「卵子の老化」を知らないことで、広がってしまう不妊。一方で、知っていたとしても簡単には妊娠・出産することができない、私たちの社会。「産みたいのに産めない」。そんな叫びを一つでも減らすことができるよう、卵子の老化について多くの人々が考える契機になれば幸いです。またご協力頂いたたくさんの方々に、この場を借りてお礼申しあげます。
ディレクター 丸岡裕幸」(
NHKのこより)

前に同じような番組を見たな・・と思ったら、「クローズアップ現代」だった。その時も「卵子の老化」という指摘に、ビックリしたもの・・・
今回の番組はその集大成。不妊家庭の悩みと同時に、各国の不妊対策への取り組みも紹介していた。それによると、フランスでは35歳を越えると妊娠が難しくなることは常識。そして不妊治療は全額が健康保険で、無料で治療が受けられるが、年齢制限があり42歳まで。そして、不妊治療をおこなうためには、男女が一緒に検査を受けることが条件になっているという。日本と違って、時期を限って手厚くサポート。フランスでは「すべてのことには適した時がある」と言われており、「日本の人たちは不妊についての正しい知識がないために出産の時期が遅れ、結果的に子どもを持てなくなっている」と指摘する。
ラストの、山口大学が行っている治療が圧巻。無精子症の人の精巣を切り開き、わずかな精子を顕微鏡で探して培養・・・。
番組のどのシーンにも、自分たちが無知のために追い込まれた現実に、せめて同じようにならないように、との切実なメッセージが読み取れた。

それにしても「女性の卵子は年齢とともに年を重ね、35歳の女性が出産できる可能性は20歳代の半分になる。」という指摘はショッキング。それでなくても、初婚年齢はどんどん上がっているのに・・・

ともあれ、「35歳以降の卵子の老化」というひと言が警鐘となり、“結婚しない症候群”の若い人の背中を押すことを祈りたいものだ。日本の少子高齢化対策のためにも・・・

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◎この番組の再放送は、2012年7月8日(日)(7日(土)深夜) 午前2:05~午前2:55(50分)ここ)~予告動画あり
取材日誌も詳しい(ここ)。ここを見ると、NHKの本番組に対する熱意が伝わってくる。

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