「結婚しても、子供が出来ても、人は大人になるわけじゃない」
先日の日経新聞夕刊のコラム「プロムナード」にこんな記事が・・・・
「結婚しても、子供が出来ても、人は大人になるわけじゃない
鎌田敏夫
「金曜日の妻たちへⅡ」で、伊武雅刀が言ったセリフです。その後に、こんな言葉がつづきます。「大人になりたいと思ったときに、ひとは大人になるんだ」。大人になるというのは、自分の論理で考え、自分の決断で生きていくということです。学校の成績がよくて、順調に人生の階段を上がってきた彼は、いい妻にも恵まれ、自分の論理で何かを決断しなければならない局面に出合うことがなかったのです。自分の論理で生きるよりも、組織の論理で生きる方が人生は波瀾(はらん)なく過ぎていく。日本の男性のほとんどが、彼のように大人になる必要を感じずに、人生を過ごしていくのではないでしょうか。このドラマの伊武雅刀のように、いい伴侶、いい母親をやってきたと思っていた妻が、突然、自分が思っていたような女ではないと分かったなんて局面に遭遇しないかぎり。こんなとき、組織の論理は助けてくれません。自分で判断し、自分だけの結論を出さなければならない。彼は、初めて「大人」になっていくのです。
農耕民族が形作るのは、基本的に母系社会です。山、河、森、樹、日本人は自然のいたるところに神を感じます。自分を主張する快感よりも、大きなものに包まれて生きる幸せを、先祖代々感じてきたのが日本の農耕民族ではないでしょうか。日本人は、ある意味で大人にならないで生きていけるのです。それに比べて、狩猟民族は、獣を相手にするだけに、狩りのときには個の決断を必要とします。一瞬の迷いが、自分の命を奪ってしまうことがあるからです。自分の身は自分で守る。彼らは、幼いときから、それを教えられます。子供がある年齢になると、父親が拳銃の撃ち方を教えているのをアメリカではよく目にします。女性の胸の間に拳銃を挟むホルスターを売りだしたら、予想以上に売り上げが伸びたという記事も、最近目にしました。あれだけ乱射事件で人が死んでいっても、銃規制をしようとしないのは、彼らの自立思想と密接に関係しているからです。フランス人はアメリカ人とは、また違った大人だと思います。恋愛関係に関しては一切報道しないというのが、フランスメディアの誇りらしいのです。元大統領のミッテランが、成人した愛人の娘と食事しているところを報道した有名週刊誌が、それが好意的な記事だったのにもかかわらず、「私生活を暴かないというジャーナリズムの伝統を破った」と、他のメディアの非難の的になったという話が、『フランスには、なぜ恋愛スキャンダルがないのか?』(棚沢直子ほか著)という本に書かれています。
幼いときから大人になることを強いられる西欧の男性と、生涯大人にならずにすむ日本の男性と、どちらが幸せかと聞かれたら、迷わず日本の男性だと答えます。母親の庇護の元にあった子供時代が幸せだったように、組織の庇護の元に生きて大人にならずにすむのは、人間にとってとても幸せなことだと思うからです。不祥事が起きて、組織の責任者が頭を下げる光景を毎日のように目にしますが、必ず一人ではなく三人以上です。責任の矛先が、それによって個人ではなく組織に向かっていくのです。組織に守られて生きていけるというのは、なんて幸せなことだろうと、一人で決断して生きていくしかない職業を選んでしまったぼくなんかは、いつも思ってしまいます。(脚本家)」(2012/05/25付「日経新聞」夕刊p7より)
この文はうなずく所がある。まあそうだろうな・・・と。
「大人になるというのは、自分の論理で考え、自分の決断で生きていくということです。」、よって「自分で判断し、自分だけの結論を出さなければならない。」、それで「彼は、初めて「大人」になっていくのです。」、だから「結婚しても、子供が出来ても、人は大人になるわけじゃない」・・・・
でも、自分で決断している人にも、大人でない人は多い。しかし結婚をいう共同生活の中で揉まれ、それで大人になっていく・・・というのはあると思う。それに子どもを育てることにより、子どもに教えられて大人になっていく、というのもあると思う。よって「結婚しても、子供が出来ても、人は大人になるわけじゃない」という話にはどうも賛成しかねる・・・
フランス人の「恋愛関係に関しては一切報道しないというのが、フランスメディアの誇りらしいのです。」という話は初めて聞いた。
今日、たまたま電車の中で週刊誌を読んだのだが、やはりどうも自分にフィットしない。有名人のうわさ話ばかり。こんなゴシップ話に時間を使うのはもったいない・・・。それでどうも自分は、週刊誌は苦手・・・・
でもこんなエチケットの国はフランスだけ?? 英国のダイアナ妃の事件や、米国の大統領選のゴシップ宣伝等々。フランスのような国は珍しいのでは??
「組織に守られて生きていけるというのは、なんて幸せなことだろう」という件(くだり)にはドキッと・・・・
確かにサラリーマンは、自分の顔よりも会社の立場の顔で生きている。よって肩書きが無くなると、糸の切れた風船のように心許ない・・・
還暦をとっくに過ぎて、今思うのは、過去の自分がホントウに大人でなかったと・・・・。その時々、自分は大人だと思って行動してきた。それに対して、まったく疑いはしなかった。しかし今振り返ると、それぞれが子ども・・・・
今日は、カミさんと出かけたが、昼食に入った食堂で、長時間待たされて参った。おかげで、約束の時間を遅れてしまった。出て来ない注文の料理にイライラしていると、カミさんが「子どもね~~」。
つまり、男は永久に大人になれなのかも・・・・ね。
| 0
コメント