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2012年5月21日 (月)

近くのソバ屋のおじいさん

今朝は日本中、金環日食の“お祭り”の日。東京地方は曇の予報に比べれば、薄日。ラッキー・・・・。金環食ピークの朝7時半の時刻には、自分はいつもの通り駅前のコーヒーショップ。
見ると、駅前広場には減光メガネをかざして太陽を見る人がたくさん・・・。自分がコーヒーショップに入った日蝕ピークの20分前頃は、何とか直射日光も当たっている。もちろん何の用意もしていない自分は、それとは無関係・・・
コーヒーショップの中からボヤーと外を眺めていると、7時半前後で確かに急速に辺りが暗くなるのは分かった。窓際のスタンド席の、机の上のダウンライトの光が急に明るくなった。つまり、まるで暗雲立ち込めたように周囲が暗くなった。直射日光は見えなかったので、“その瞬間”は曇ったのかも・・・

さて、今日は他愛もない話。
会社の近くに、たぶん70代くらいだろう夫婦でやっている古いソバ屋がある。2週間に1度くらい自分も昼食にソバを食べに行く。そのソバ屋は、調理はおばあさんがやっていて、おじいさんは注文取り。なぜかというと、おじいさんは脳梗塞をやったらしく、まるでロレツが回らない。何を言っているのか、なかなか理解が出来ない。そんなことで、おばあさんが調理をしている。
でもそのおじいさん、客に気楽に声を掛ける。声を掛けられた客は、その言葉を聞き取ろうと一生懸命。そして困った顔をしながらも相槌を打つ。もちろん若い女性客もだ・・・。

前に、駅で電車に乗って、ふとホームを見たら、ちょうど同じ電車から降りたソバ屋のおじいさんがこっちを向いて手を振っている。思わずドアのガラス越しに、自分も手を振ってしまった。しかしこの光景は信じられない・・・。注文取り以外に話もしたことがないおじいさんが、自分に向かって手を振っている・・・・
そうか、おじいさんはたまにしか行かない自分を覚えていたんだ・・・

しばらくして、やはり駅に続く道を歩いていたら、前から来た人が急に立ち止まって、頭を下げる。ギョッとして見ると、やはりそのおじいさん。思わず自分も頭を下げた・・・。
会社関係以外の人から道端で挨拶されるのは実に珍しい・・・

そんなことがあってから、何かそのソバ屋に行きづらく・・・
先日久しぶりに行ったら、そのおじいさんから、また親しげに声を掛けられた。もちろん滑舌は最悪。でも自分なりに「駅で良く会いますね」と言ったと理解して「そうですね」と相槌を打った。それに、自分はそのそば屋に行くと、直ぐに新聞を探すので、「新聞が好きですね」という言葉も分かった。
ところがだ、先日また声を掛けられたのだが、「ん?」と聞き返しても、何を言っているのか分からない。よって、相槌を打つわけにも行かず「分からない」と言ってしまった!!するとおじいさんは、そそくさと調理場に行ってしまった。
ただそれだけのこと・・・・。

半年ほど前だったか、数ヶ月間、店が休んだことがあった。その時は、さすがに心配した。あのおじいさんの具合が悪くなったのかと・・・。そのまま閉店だとばかり思っていたら、散歩で近くを通ったときにまたやっていることを知って嬉しかった。
素知らぬ顔で入ったら、やはりおじいさんが入院していたらしい話をしていた。
しかし、くったくのないこのおじいさんが自分は好き。脳梗塞(かどうか分からないが)を隠そうともせず、堂々と調理場のおばあさんに向かって「たふかほは~~~(たぬきソバ~)」と大きな声で言っている。たまにおばあさんが出て来て「たぬきソバですよね」と確認に来るのがまた楽しい。

人間、生き甲斐が必要。昔ソバの名人でも、今は注文取りとお茶入れ。でもこのおじいさんは頑張っている。70歳なんて何のその・・・・(正確なトシは知らないが・・・)
自分がもし同じようになったら、このように堂々と他人の前に出て行けるだろうか? 引き籠もりにならないだろうか? いやはや尊敬してしまうな・・・。
今度またソバ屋に行って話し掛けられたら、たとえ何を話しているか分からなくても「そうですね~」と言うつもりだ。

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コメント

いい話ですね
おそらく自分でも ちゃんと話ができていないことを知っている おじいさん
それに答えてくれる お客さん
阿吽の呼吸が そこには 見られますね
そんな たのしそうな 蕎麦屋にいってみたくなりました

【エムズの片割れより】
田舎ならでは??でも都内での話です・・・。

投稿: 同世代 | 2012年5月22日 (火) 05:58

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