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2012年5月19日 (土)

「言葉に出すことが大事」

先日の日経新聞にこんなコラムがあった。曰く・・・

言葉に出すことが大事
     日立製作所会長 川村 隆
 昔は「不言実行」が尊ばれた。大切なことは人に言わなくとも、自分ひとりでひっそりと、しかしきちんと実行するものだ、とされた。昔の男性は、もともと口が重いことを美徳としていた。
 連合艦隊司令長官の山本五十六も口が重い人で、きちんと説明して部下を納得させることをあまりしなかったという。真珠湾攻撃もミッドウェイ海戦も、意義や影響につきあらかじめ語られたならば結果も少しは違ったものになっていたかもしれない。
 軍隊でも会社でも、トップリーダーは部下にやらせようとすることの社会的意義や影響などを言葉に出して説明し、納得の上で実行させるのが肝要である。そうしないと部下から最大限の力を引き出せない。
これは男性が女性に向う時でも全く同じである。女性の決まり文句は「好きなら好きと面と向かってはっきり言ってほしい」ということ。何となく自分を好いてくれているらしい、素振りや目つきがそんな感じというだけではだめで、やはり言葉に出すことが大事らしい。
 会社では、従来の文書類に加え、メールが完全に定着して強力な武器になっており、社内外とも連絡はずいぶん迅速かつ多面的になった。階層を飛び越え、内外を飛び越えて、多様な情報や連絡が飛び交う情報爆発の時代になった。ただ、大切な意思決定やその伝達は、やはり今でも人間が顔と顔を突き合わせて、よし、これで行くぞ、いいな? とやっている。顔を見て、言葉に出して確認をするのである。
 人類が300万年も続けている言葉の使用は、5000年の歴史の文字使用より安心ができ、ましてここ20年のメールよりもはるかに心に届くのである。」(2012/05/14付「日経新聞」夕刊p1より)

ビジネスの世界では、「有言実行」が全て。でもその他の世界では、確かに「不言実行」が美徳・・・。でも現代ではもはや死語??
「不言実行」と聞いて、子どもの頃の通知表を思い出した。確か書かれていた・・・。フト探してみたら、あった。中学1年の時の通信簿の「行動の記録」に「不言実行型。今後もしっかり・・・。期待しています。」というコメントが書かれていた。
このとき、「不言実行」という言葉を知らず、これはどういうことだと母親に聞いた記憶がある。
しかし、大人しかった子ども時代とは裏腹に、大人になってからは不言実行など無縁・・・!? かと言って、「有言実行」の難しさは言うまでもない。そもそも予算がその筆頭。どの会社でも予算を与えられ、それに向かって走る。これこそ有言実行の世界。

社業では、メールの時代になって、随分と便利になった。エビデンスという意味では、「言った」「言わない」が無くなり、揉める事が少なくなった。しかし対人関係がドライになった面もある。よく“隣に座っている人にまで、メールを出す”と新聞などで揶揄されたこともある。それに、感情が入り込むと、メールはトラブルの原因となる。つまり言葉足らずで、表現しきれないとき、無用ないざこざを発生させる。

人間、思っている事を言葉だけで表現する事など、原理的に無理ではないかと自分は思う。だから単なる連絡ならいざ知らず、大事なことは面と向かって話をする事が絶対に必要。会って話をするという事は、言葉だけでなく全身で物事を表現することができる。もちろん、誤解も直ぐに正せる。

メールの時代になって、我々シルバー族が、若い人を本当に羨ましい・・と思う事がある。それは一目惚れの彼女に、自分の意志を伝える手段についてだ。今の若い人はメールでいとも簡単に直接アクセスでき、意志を伝える事ができる。しかし昔は自分の意志を伝える何の手段もない。ドラマでは、下駄箱にそうっと手紙を置いておく・・・なんていう場面もあったが、自分の周囲ではそんな話は聞いた事がなかった。つまり自分など、「不言不実行」で、何十人を“黙って見送った”ことか・・・・

人間、お互いを理解し合う事が、何よりも大事。しかしそれが何よりも難しいことを、トシと共に実感するこの頃である。

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